歴史

半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』を読む

半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』(文春文庫)を読む。昭和20年8月15日の前日8月14日の正午から15日の正午の玉音放送までの24時間を1時間刻みで描いている。およそ300人にもの当事者たちにインタビューを重ねて、大臣たちや軍人たちが終戦を巡って…

司馬遼太郎『この国のかたち 三』を読む

司馬遼太郎『この国のかたち 三』(文春文庫)を読む。司馬のエッセイは優れていて好きだ。司馬の小説はほとんど読んでこなかったけれど、『街道をゆく』は全43巻を2回通読したくらい好きなのだ。 『この国のかたち』は雑誌『文藝春秋』の巻頭言として連載し…

半藤一利『「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦』を読む

半藤一利『「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦』(岩波ブックレット)を読む。「昭和天皇実録」を読み込んで、開戦と終戦に関する昭和天皇の関与を分析している。実は1年半前にも読んでブログに紹介していたのに忘れていた。だが何度読んでも良い本だ。 いよ…

若井敏明『謎の九州王権』を読む

若井敏明『謎の九州王権』(祥伝社新書)を読む。大和王権の前に九州王権があったという主張。そういわれればすぐ古田武彦の九州王朝を連想する。若井も古田のこと十分は意識していて、「はじめに」で古田との違いを述べている。 ……古田武彦氏の九州王朝説と…

釈徹宗『天才 富永仲基』を読む

釈徹宗『天才 富永仲基』(新潮新書)を読む。副題が「独創の町人学者」とある。富永仲基は、江戸時代17世紀に大阪に醤油醸造業の息子として生まれ、懐徳堂に学んだが、病気のため31歳で亡くなっている。 何冊かの著書があるが、現在まで伝わるのは『出定後…

樹村みのり『冬の蕾』を読む

樹村みのり『冬の蕾』(岩波現代文庫)を読む。副題が「ベアテ・シロタと女性の権利」。岩波現代文庫ながらマンガだ。 ベアテ・シロタは22歳で戦後、アメリカ民政局の日本国憲法草案作成に加わった。ベアテの父はユダヤ系ドイツ人だったが、ピアニストで戦前…

藤井青銅『「日本の伝統」の正体』を読む

藤井青銅『「日本の伝統」の正体』(新潮文庫)を読む。著者は作家・脚本家・放送作家とある。仕事柄時代考証など随分していたのだろう。5年前に柏書房から出版されたものを新潮文庫から発行するのは単行本がベストセラーだったのだろう。 こんなものが「日…

原武史『地形の思想史』を読む

原武史『地形の思想史』(角川書店)を読む。面白く読んだが、題名は少し立派過ぎる。ある土地にまつわる歴史を実際に現地を訪ねてある視点からのみ記述している。訪ねた(取り上げた)土地は7カ所。 初めに静岡県浜名湖のプリンス岬を訪ねる。それは地元の…

福井紳一『戦後日本史』を読む

福井紳一『戦後日本史』(講談社+α文庫)を読む。戦後日本史についてきわめて詳しく書かれている。日本近代史はずいぶん読んできたつもりだけれど知らないことがたくさん書かれている。 1964年、アメリカ軍の司令官だったカーチス=ルメイに勲一等旭日大綬章…

吉田裕『日本軍兵士』を読む

吉田裕『日本軍兵士』(中公新書)を読む。副題が「アジア・太平洋戦争の現実」、先の戦争における日本軍兵士の実態を描いていて、それはそれは悲惨なものだったことを教えられた。今まで断片的には読んだり聞いたりしていたが、そのことに絞って書かれてい…

小山俊樹『五・一五事件』を読む

小山俊樹『五・一五事件』(中公新書)を読む。副題が「海軍青年将校たちの「昭和維新」」。保阪正康が朝日新聞の書評で紹介している(6月27日付)。 出版界で久しぶりに刊行された五・一五事件の書だが、本書は重要な視点を示している。第一は事件当日から…

片山杜秀『皇国史観』を読む

片山杜秀『皇国史観』(文春新書)を読む。皇国史観とは、日本の歴史を万世一系である天皇が君臨する神国の歴史として描く歴史観、と取りあえず『広辞苑』を引いて、さらに、明治以来近代日本の大きな枠組みを作り上げているもの、とする。その枠組みが「天…

祝田秀全『近代建築で読み解く日本』を読む

祝田秀全『近代建築で読み解く日本』(祥伝社新書)を読む。近代日本建築史のつもりで読み始めたら違っていた。タイトルを見れば、そう考えた私が間違っていた。建築を歴史の視点から見るという本だった。それはそれでなかなか興味深く読めた。 明治維新後、…

松岡正剛『日本文化の核心』を読む

松岡正剛『日本文化の核心』(講談社現代新書)を読む。カバーに「松岡日本論」の集大成とある。いくつかの新聞の書評で絶賛されていたと思うが、その記事が見当たらない。 松岡は古代からの日本の文化を取り上げて、それを編集して松岡日本論を提出する。そ…

司馬遼太郎『この国のかたち 二』を読む

司馬遼太郎『この国のかたち 二』(文春文庫)を読む。『文藝春秋』の巻頭言として連載したものを24回分まとめている。単行本は30年前に出たものだが内容は古びていない。 この巻頭言は時事的なものではなく、日本の歴史、文化を毎回原稿用紙10枚ほどにまと…

「空有」という思想

東京墨田区立花一丁目1番地に吾嬬神社がある。祭神は弟橘姫、ヤマトタケルの妃だ。ヤマトタケルが浦賀水道を船で横断するとき嵐で船が難破しそうになった。弟橘姫が海に身を投げて海神の怒りを鎮め無事ヤマトタケルが岸に着いたという。その後流れ着いた弟橘…

高松プロダクション・吾嬬撮影所跡

墨田区曳舟駅周辺を散歩していたら十間橋通りの一角に小さなプレートが目についた。「高松プロダクション・吾嬬撮影所跡」とある。そのプレートの文章を引く。 高松プロダクション・吾嬬撮影所跡 所在 墨田区京島三丁目62番 日本映画の製作は、日活、松竹な…

岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』を読む

岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』(岩波新書)を読む。「シリーズ日本近現代史」の第10巻、ちょうど10年前に発行されている。当時一度読んでいるが今回改めて読み直した。 この「シリーズ日本近現代史」は9人の研究者らが1巻から9巻までを分…

江戸川区平井の天祖神社に参拝する

旧中川に沿って散歩していると、小ぶりだが趣のある神社があった。天祖神社だ。神社は小さいが建物は奥に深くなかなか優雅な建築だ。 江戸川区の教育委員会が設置したプレートが建てられている。それによると、 天祖神社 旧平井村の鎮守で1874年(明治7)に…

大沢梅次郎という人

JR総武線亀戸駅から明治通りを北上すると10分ほどで北十間川にかかる福神橋を渡る。右手すぐには関東でも最も古い神社だと私が確証する吾嬬神社があり、反対の左手に公園にしては小ぶりな場所があり、その奥に銅像が立っている。銅像の主は大沢梅次郎と名前…

二代目歌川豊国の墓

東京亀戸に光明寺という寺がある。そこに二代目豊国の墓があるというので拝見してきた。二代目豊国は初代歌川豊国に弟子入りし、師の没後二代目を名乗ったが、すでに兄弟子の国貞が二代目豊国を名乗っており、それがためか浮世絵師を廃業しているらしい。国…

葛飾の熊野神社へ詣でる

昨日「立石」について書いたので、それに関連して同じ葛飾区立石にある熊野神社を詣でた。神社のHPを見て京成電鉄の青砥駅で降りてやはり中川に沿って行ったが、着いて見れば「立石」の古跡からわずか300mほどしか離れていなかった。 神社の両脇に樹齢300年…

葛飾区の立石様に行く

東京葛飾区に「立石様」という古跡がある。初めてそこに行ってみた。京成立石駅で下車し、本奥戸橋の畔を中川堤に沿って川上へ進む。中川はたっぷりした流れの大きな川だ。古い川筋が残っていて川は大きく蛇行している。 しばらく川に沿って行くと左手に小さ…

長谷川修一『旧約聖書の謎』を読む

長谷川修一『旧約聖書の謎』(中公新書)を読む。副題が「隠されたメッセージ」というもので、旧約聖書の各エピソードの史実性を探りながら、その意味するものを読み解いている。これがなかなか面白かった。 取り上げられているのは7つの物語。ノアの方舟と…

司馬遼太郎『この国のかたち一』を読む

久しぶり、20数年ぶりに司馬遼太郎『この国のかたち一』(文春文庫)を読む。1986年から1987年の2年間『文藝春秋』に連載した巻頭言をまとめたもの。結局この連載は10年以上続いたので評判が良かったのだろう。今回読み直してみて改めて司馬の魅力に取りつか…

新珍味のタ―ローメンを食べる

池袋の中華料理店新珍味でタ―ローメンを食べる。タ―ローメンについては店頭の看板に説明がある。 同店が65年の長きに渡りその味を守り続けてきたという、名物《タ―ローメン》は酸味と辛みとニンニクの香りがクセになる、餡かけラーメンです。ラーメンの上に…

吾嬬神社へ初詣

元旦は近所の吾嬬神社へ初詣に行ってきた。吾嬬神社は東京都墨田区立花に位置している。早朝7時ころ行ったが。参拝客は私のほかたった2人だった。実は吾嬬神社はきわめて古い神社なのだ。最寄りの駅は東武亀戸線東あずま駅だし、東吾嬬小学校や橘吾嬬の森小…

竹森神社の由来

東京都中央区小伝馬町に竹森神社という小さな神社がある。神社の由来が書かれたものを写す。 小伝馬町三丁目の守護神である竹森神社は、江戸時代よりこの付近に竹やぶが多く、竹につながる町、竹職人の町ともいわれ、竹藪にちなんで竹森神社としたと言われて…

小林信彦『和菓子屋の息子』を読む

小林信彦『和菓子屋の息子』(新潮社)を読む。副題が「ある自伝的試み」とある。小林の生家は京保年間創業の老舗の和菓子屋だった。店舗兼工場兼住宅は両国にあった。地名が変わって今は東日本橋という。現在の両国は昔は東両国と言った。戦前東京の盛り場…

小林信彦『アメリカと戦いながら日本映画を観た』を読む

小林信彦『アメリカと戦いながら日本映画を観た』(朝日文庫)を読む。昭和7年生まれの著者が太平洋戦争に突入した頃から終戦のころまでどんな日本映画を観てきたかを語りながら、そのことで当時の世相を少年の眼で描いている。とても興味深い社会史になって…