歴史

アメリカインディアン酋長シアトルの美しいメッセージ

ル・クレジオの『歌の祭り』(岩波書店)にアメリカインディアンの酋長シアトルの美しい言葉が紹介されている。以前もここに紹介したが、あまりにも素晴らしいので再掲する。 1855年、諸部族連合会議において、先住民の土地を買い上げようというアメリカ政府…

伊藤俊樹『モンゴルvs.西欧vs.イスラム』を読む

伊藤俊樹『モンゴルvs.西欧vs.イスラム』(講談社選書メチエ)を読む。これがすさまじい内容だった。もう15年前に発行されて評判だった本らしいが、うかつにも知らなかった。すさまじい内容というのは、13世紀のモンゴルのイスラムや西洋への侵略を描いてい…

山内昌之・細谷雄一 編著『日本近現代史講義』を読む

山内昌之・細谷雄一 編著『日本近現代史講義』(中公新書)を読む。昨日読み終えて今朝の新聞を見たら半五段の大きな広告が載っていた(朝日新聞)。新書1冊だけの広告としては異例の扱いだ。“これぞ最新、最前線の「令和の日本史」!”とある。 14人の著者が…

井上ひさし『二つの憲法』を読む

井上ひさし『二つの憲法』(岩波ブックレット)を読む。二つの憲法とは、明治22年に発布された大日本帝国憲法と、昭和21年に公布された日本国憲法だ。井上はこの二つの憲法を比べている。 大日本帝国憲法について、井上が解説する。天皇は帝国議会を開会した…

半藤一利『「昭和天皇実録」を読む』を読む

半藤一利『「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦』(岩波ブックレット)を読む。「昭和天皇実録」を読み込んで、開戦と終戦に関する昭和天皇の関与を分析している。 軍部は日中戦争の泥沼化を打開しようと南部仏印に進駐することを企てる。天皇が各国に影響を及…

岡村秀典『鏡が語る古代史』を読む

岡村秀典『鏡が語る古代史』(岩波新書)を読む。中国の前漢の頃から後漢、三国時代~晋の建国頃までの古代の銅鏡の精密な歴史を辿っている。それは驚くほど詳細を極め、2000年以上もの過去の鏡の製作者たちとその流れを追っている。 いままで古代の銅鏡の歴…

亀戸の石井神社が朝日新聞で紹介されている

朝日新聞のコラム「マダニャイとことこ散歩旅」で東京亀戸の石井神社が取り上げられている(2019年7月11日夕刊)。 神社の奉賛会「おしゃもじ会」の・・会長は「地元では、おしゃもじ様と呼ばれているんです」。神社の歴史は古く、平安時代の811年に弘法大…

松濤の廃墟

渋谷の東急百貨店本店の横の道をまっすぐ首都高に向かって登っていく坂道。松濤1丁目あたりの道に面して廃墟があった。これを撮影したのはもう15年以上前だったが、現在は瀟洒なビルが建っている。 屋敷だったところの右側に立派な門らしい石柱が立っている…

吾嬬神社への初詣

元旦は近所の吾嬬神社へ初詣に行ってきた。吾嬬神社は東京都墨田区立花に位置している。早朝7時ころ行ったが。参拝客は私のほかたった1人だった。実は吾嬬神社はきわめて古い神社なのだ。最寄りの駅は東武亀戸線東あずま駅だし、東吾嬬小学校や橘吾嬬の森小…

地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅近くのお岩水かけ観音について

小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』(集英社新書)を読むと、四谷三丁目のお岩水かけ観音に触れている。 ……四谷三丁目の交差点近くにあるスーパーマーケットの丸正食品総本店前のお岩水かけ観音。かなり目を引く存在なのだが、あの四谷怪談と深…

小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』を読む

小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』(集英社新書)を読む。写真家である小林が大型カメラを担いで、東京の河川を歩き回った記録だ。小林は写真家でありながら『メモワール』とか『ニッポンの奇祭』など興味深いエッセイを書いている。 本書はち…

新宿の小浜藩邸跡

東京新宿の矢来町に小さな矢来公園がある。そこに小ぶりな石碑が立っていて、その下に公園の由緒が書かれている。 小浜藩邸跡 若狭国(福井県)小浜藩主の酒井忠勝が、寛永五年(1628)徳川家光からこの地を拝領して下屋敷としてもので、屋敷の周囲に竹矢来…

筒井清忠 編『明治史講義【人物篇】』を読む

筒井清忠 編『明治史講義【人物篇】』(ちくま新書)を読む。明治史における重要な人物22人を取り上げ、それを20人の研究者が分担して書いている。1項目が15〜20ページと短い。それでも全体は400ページほどある。短いとはいえ、大項目主義の事典と考えればい…

瀬川拓郎『縄文の思想』を読む

瀬川拓郎『縄文の思想』(講談社現代新書)を読む。「縄文の思想」と題されている。瀬川は「はじめに」で、本書は「考古学と神話から具体的な資料にもとづいて縄文の思想をあきらかにします」と書いている。縄文の思想? って思ったが、読み終わって、それに…

太田博樹『遺伝人類学入門』を読む

太田博樹『遺伝人類学入門』(ちくま新書)を読む。副題が「チンギス・ハンのDNAは何を語るか」という興味深いもの。何年か前にチンギス・ハンの遺伝子が広くアジアからヨーロッパに拡がっているという説を読んだことを思い出した。モンゴル帝国がアジアを席…

白井聡『永続敗戦論』を読む

白井聡『永続敗戦論』(講談社α文庫)を読む。同じ著者の『国体論』の評判が良くて購入したが、前著である『永続敗戦論』を去年買ったのにまだ読んでなかったので、これから読んでみた。 日本は1945年8月15日にポツダム宣言を受諾して連合国に敗戦した。それ…

原武史『松本清張の「遺言」』を読む

原武史『松本清張の「遺言」』(文春文庫)を読む。日本政治思想史学者の原が、松本清張の晩年の作品『神々の乱心』と『昭和史発掘』を分析している。『神々の乱心』は未完に終わった小説だが、原は「天皇制と昭和史という二つの大きなテーマを見事に接合し…

河内春人『倭の五王』を読む

河内春人『倭の五王』(中公新書)を読む。倭の五王とは中国の史書『宋書』倭国伝に記された讃・珍・済・興・武を言う。当時5世紀に日本から中国の天子へ書を送った王たちだ。そのことは『日本書紀』や『古事記』に記載がなく、5人の王たちは日本のどの天皇…

中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』を読む

中沢新一『アースダイバー 東京の聖地』(講談社)を読む。2005年に発行された前著『アースダイバー』は、現代の東京が縄文時代の地形と密接な関係を持っていることを解き明かしたものだった。その後『大阪アースダイバー』も発行されたが、これは読んでいな…

山本義隆『近代日本一五〇年』を読む

山本義隆『近代日本一五〇年』(岩波新書)を読む。山本は元東大全共闘代表で、その後駿台予備校で教師をしている。数年前に出版された『磁力と重力の発見』は各方面から絶賛されたが、何分全3巻と大著なので、手が出せないでいた。それが新書という形で出版…

高田里惠子『グロテスクな教養』を読む

高田里惠子『グロテスクな教養』(ちくま新書)を読む。「教養」はふつうプラスの価値観をまとっているが、ときにマイナスの価値観を込めて語られることもある。表紙裏の惹句から、 「教養とは何か」「教養にはどんな効用があるのか」――。大正教養主義から、…

おこげという植物

私が育った長野県の飯田地方は昆虫食のセンターでもあるが、「おこげ」という灌木の新芽をお浸しにして食べていた。春芽吹いた時、それを摘んでお浸しにする。ちょっとでも葉が大きくなると硬くなって食べられない。だから食べられるのはほんの短い期間だ。 …

古部族研究会 編『古諏訪の祭祀と氏族』を読む

古部族研究会 編『古諏訪の祭祀と氏族』(人間社文庫)を読む。先日紹介した「日本原初考」シリーズの2冊目にあたる。その1冊目は『古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究』だった。古代諏訪の原始信仰を研究し、古代日本の政治体制を探っている。 古部族研究会…

佐藤春夫『南方熊楠』を読む

佐藤春夫『南方熊楠』(河出文庫)を読む。南方は柳田国男と並ぶ民俗学の大御所だ。民俗学以外にも植物学や粘菌などの研究で名高い。同時に奇人変人でも類がないほどだった。佐藤は同じ和歌山県出身の南方を戦後間もなくの1952年に伝記にまとめている。 南方…

古部族研究会 編『古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究』を読む

古部族研究会 編『古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究』(人間社文庫)を読む。ミシャグジ信仰について書かれた本が出たなんて嬉しい。古代諏訪の信仰については中沢新一も藤森照信も書いていたし、今井野菊の本を読んだこともあった。古代諏訪に石神信仰があ…

西村京太郎『十五歳の戦争』を読む

西村京太郎『十五歳の戦争』(集英社新書)を読む。1930年生まれのミステリ作家。現在までに500冊の本を書いているというが、今回初めて読んだ。西村もノンフィクションは初めてのようだ。 昭和20年4月1日に西村はエリート将校養成機関「東京陸軍幼年学校」…

橋爪大三郎・大澤真幸『げんきな日本論』を読む

橋爪大三郎・大澤真幸『げんきな日本論』(講談社現代新書)を読む。二人の社会学者による日本の歴史に関する対談だが、古代史から明治維新直前までをテーマにしている。本書は3部に分かれ、はじまりの日本(古代史)、なかほどの日本(中世史)、たけなわの…

片山杜秀『国の死に方』を読む

片山杜秀『国の死に方』(新潮社新書)を読む。これがおもしろかった。片山は音楽評論の世界でも高い評価を受けていて、音楽に関する著書も多いが、もともとの専門は政治思想史の研究者なのだ。音楽評論では吉田秀和賞とサントリー学芸賞を受賞している。 本…

橋本治+橋爪大三郎『だめだし日本語論』を読む

橋本治+橋爪大三郎『だめだし日本語論』(太田出版)を読む。これがわくわくするほど面白かった。橋本治は小説の『桃尻娘』シリーズで人気を博した小説家。その後『枕草子』や『源氏物語』などの古典の現代語訳の仕事も定評がある。橋爪大三郎はきわめて有…

倉本一宏『戦争の古代日本史』を読む

倉本一宏『戦争の古代日本史』(講談社現代新書)を読む。磯田道史が毎日新聞で紹介していた(6月18日)。その書評の末尾。 本書は、現代の日本と朝鮮半島の複雑な関係の淵源を古代までさかのぼって丁寧に論じ、説明してくれる。古代からそこそこの大国であ…