2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ギャラリイKの内海信彦展を見る

東京京橋のギャラリイKで内海信彦展が開かれている(11月4日まで)。タイトルが「ポーランド・アウシュビッツ、マイダネクの犠牲者、そしてウクライナの犠牲者のためのレクイエム」というもの。内海は1953年生まれ、東京都出身。1974年慶應義塾大学法学部政…

Oギャラリーの田島直樹銅版画展を見る

東京銀座のOギャラリーで田島直樹銅版画展「―飛行計画―」が開かれている(11月5日まで)。田島は1968年鹿児島県生まれ、1997年に筑波大学大学院芸術研究科美術専攻を修了し、2012年には同大学で博士号を取得している。1997年にOギャラリーで初個展、その後…

橋爪大三郎『戦争の社会学』を読む

橋爪大三郎『戦争の社会学』(光文社未来ライブラリー)を読む。副題が「はじめての軍事・戦争入門」。橋爪大三郎が東京工業大学で行った「軍事社会学」の講義を書籍化したもの。「はじめに」から、 戦前には、軍があった。軍は、国民のためではなく天皇のた…

ギャラリーアビアントの及川伸一展を見る

東京吾妻橋のギャラリーアビアントで及川伸一展が開かれている(11月4日まで)。及川は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、ギャラ…

千駄木ガレージの井上活魂展を見る

東京千駄木の千駄木ガレージで井上活魂展「デブリ男」が開かれている(10月29日まで)。井上活魂は昨年もここで個展を開いている。日本アンデパンダン展には毎年出品している。 井上はもらったり拾ったりしたスクラップのような素材で作品を作っている。井上…

会田誠『げいさい』を読む

会田誠『げいさい』(文春文庫)を読む。会田誠は売れっ子の現代美術家、でも文章も得意で数々のエッセイのほか、『青春と変態』という小説もある。裏表紙の惹句から、 佐渡出身で芸大志望の僕は多摩美の学園祭を訪れ、カオス化した打ち上げに参加する。酒を…

巷房2および階段下の柴崎和也展を見る

東京銀座の巷房2および階段下で柴崎和也展が開かれている(10月28日まで)。柴崎和也は1982年、大阪府生まれ。2012年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了している。2010年にギャラリー檜B・Cで初個展。その後ガレリア・グラフィカbisやギャラリー檜グルー…

藍画廊の若宮綾子展を見る

東京銀座の藍画廊で若宮綾子展「居間にて」が開かれている(10月28日まで)。若宮は神奈川県横浜生まれ、1989年女子美術大学芸術学部洋画科油絵専攻卒業、1990年同大学芸術学部研究課程を修了している。1993年に藍画廊で初個展、以来毎年のように藍画廊で、…

梶山季之『李朝残影』を読む

梶山季之『李朝残影』(光文社文庫)を読む。梶山季之はかつて『黒の試走車』などベストセラー作家だったが、45歳で病没した。1930年、現在の韓国ソウルで生まれ、15歳のとき終戦とともに帰国した。 「族譜」は朝鮮の旧家の家系図で、古い家系は700年も記録…

SCAIザ・バスハウスのボスコ・ソディ展を見る

東京上野谷中のSCAIザ・バスハウスでボスコ・ソディ展「GALAXY」が開かれている(11月5日まで)。ギャラリーのホームページより、 木材、岩、土といった自然素材を用いた大規模なインスタレーションや絵画で国際的な評価の高いボスコ・ソディ。現在はニュー…

ヒノギャラリーの小林良一展を見る

東京八丁堀のヒノギャラリーで小林良一展「油絵具の欲望」が開かれている(10月28日まで)。小林良一は1957年栃木県佐野市生まれ、1987年東京造形大学美術学科絵画専攻を卒業し、1997年五島記念文化財団美術新人賞を受賞、同財団の助成によりニューヨークに…

ギャルリー東京ユマニテの「コラボレーション:岡本敦生+野田裕示」展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテで「コラボレーション:岡本敦生+野田裕示」展が開かれている(10月28日まで)。ギャラリーのホームページより、 石彫の岡本敦生、絵画の野田裕示によるコラボレーション展を開催いたします。岡本は1980年代から国内外で作…

瞬生画廊の半田強展を見る

東京銀座の瞬生画廊で半田強展が開かれている(10月21日まで)。半田は1948年、山梨県笛吹市石和町生まれ。1970年に国画会展に初出品し、以来毎年出品している。1979年に小田急百貨店新宿店で個展をし、以後隔年で開催していた。また1988年に銀座の瞬生画廊…

山口昌男『本の神話学――増補新版』を読む

山口昌男『本の神話学――増補新版』(中公文庫)を読む。山口昌男は博覧強記の文化人類学者。50年以上前に本書の単行本が出版されてそれで読んでいたが、改めて50年ぶりの再読。本書は、ワイマール文化、ワールブルグ研究所、ユダヤ人の知的環境、モーツァル…

日本美術の二つの様式

恩田侑布子『星を見る人』』(春秋社)の書評を渡辺保が毎日新聞に書いている(2023年9月23日朝刊)。本書で恩田は久保田万太郎の俳句を分析しているが、渡辺は「俳句そのものも面白いが、著者の解釈が面白く、批評の文学になっている」と称える。 さらに渡…

資生堂ギャラリーの石内都展を見る

東京銀座の資生堂ギャラリーで石内都展「初めての東京は銀座だった」が開かれている(10月15日まで)。石内都は1947年群馬県生まれ、神奈川県横須賀市で育つ。以下、資生堂ギャラリーのホームページより、 1979年、初期三部作のひとつ「APARTMENT」で第4回木…

藍画廊の吉岡朝美展を見る

東京銀座の藍画廊で吉岡朝美展を見る。吉岡朝美は1987年北海道生まれ、2010年東北芸術工科大学芸術学部彫刻コース卒業、2012年同大学大学院芸術文化専攻彫刻領域を修了した。 藍画廊では2020年に続いて3回目の個展になる。 画廊の中央に小さな雲のようなも…

櫻木画廊の沓澤貴子展を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で沓澤貴子展が開かれている(10月15日まで)。沓澤は静岡県生まれ、1996年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1998年に同大学大学院油絵コースを修了している。ここ櫻木画廊では1年おきに個展を開いているようだ。 今回沓澤…

ギャラリーゴトウの森本秀樹展を見る

東京銀座のギャラリーゴトウで森本秀樹展が開かれている(10月14日まで)。森本は1951年、愛媛県宇和島出身。ギャラリー汲美をはじめ、ギャラリーゴトウ、小田急デパートなどで数多くの個展を行っている。今年5月にもここで個展を開いている。現在宇和島市…

松沢裕作『生きづらい明治社会』を読む

松沢裕作『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書)を読む。副題が「不安と競争の時代」。裏表紙の惹句から、 日本が近代化に向けて大きな一歩を踏み出した明治時代は実はとても厳しい社会でした。景気の急激な変動、出世競争、貧困・・。さまざまな困難と…

三田晴夫『教養としての近現代美術史』を読む

三田晴夫『教養としての近現代美術史』(自由国民社)を読む。三田は長く毎日新聞の美術記者を務めた人。私もこの人の難しいインスタレーション作品の展評など教えられたことが何度もあった。 さて、不思議な題名だ。『教養としての~』とは何を言いたいのか…

ギャラリーなつかの「たまびやき」太幡心展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」太幡心展が開かれている(10月7日まで)。たまびやきとは、多摩美術大学大学院工芸専攻/陶/選抜作品展のこと。ここでは太幡心を紹介する。太幡は2000年埼玉県生まれ、2022年多摩美術大学美術学部工芸学科陶専…

司馬遼太郎『人間の集団について』を読む

司馬遼太郎『人間の集団について』(中公文庫)を読む。副題が「ベトナムから考える」。司馬は1973年4月に取材のためにベトナムを訪ねた。偶然その数日前にアメリカ兵が引き上げたのだった。 司馬は中国文明の周辺にいる国家群に関心をもっていた。それらの…

山梨俊夫『美術の愉しみ方』を読む

山梨俊夫『美術の愉しみ方』(中公新書)を読む。山梨は神奈川県立近代美術館の館長を務め、国立国際美術館の館長も務めた人。前著『現代絵画入門』(中公新書)は名著だった。 好きな画家を見つけるとか、美術書を読む、美術史を学ぶ、似た画家を比べる、美…

コロナ罹病記

先日コロナに罹病した。ガンサバイバーのためか後期高齢者のためか、それともそれらの複合か、コロナが重症化した。39.4度の高熱を発し、食欲もなく水も飲めなくなって、急に筋肉が利かなくなりほとんど自由を失った。室内のトイレまで普通15歩で行かれると…