2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧
東京銀座のギャラリーカメリアで堀由樹子展「森へつづく」が開かれている(10月4日まで)。堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、ギャラリ…
東京銀座の銀座K'sギャラリーanで山本弘展が始まった(10月3日まで)。銀座K'sギャラリーに併設されたanは小さなスペース、作品は13点しか展示されていない。しかし見応えのある作品を並べているのでぜひ見てほしい。 ・ 山本弘展 2015年9月28日(月)−10…
東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」が開かれている(10月3日まで)。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学工芸学科の陶の選抜展だ。 高田成美:ムーアのように空洞のある立体を作っている。表面は微小な形の集積で、どこ…
東京銀座の銀座K'sギャラリーanで山本弘展が始まる(10月3日まで)。私が書いた「山本弘展に寄せて」を下記に写す。 K'sギャラリーで山本弘展が開かれます。1981年に51歳で亡くなり、その13年後1994年に東京で初めて個展が開かれてから、今回でもう19回目を…
東京銀座のギャラリー58で山下耕平展が開かれている(10月3日まで)。山下は1984年兵庫県生まれ、2007年に佐賀大学文化教育学部デザイン専攻を卒業している。東京では、2011年から毎年このギャラリー58で個展を続けていてもう5回目だ。 山下は初め大きな不…
トマス・フラナガン『アデスタを吹く冷たい風』(ハヤカワ文庫)を読む。本書はもともと1961年にハヤカワ・ミステリから刊行され、長く絶版になっていたものらしい。その復刊希望アンケートで、1998年(ハヤカワ・ミステリ45周年記念)と2003年(50周年記念…
金木犀が薫っていた。近くを探すと金木犀の木があり、ちょうど蕾が開き始めたところだった。子供の頃、家の庭に大きな金木犀の木があって、咲くとあたり一面に花が匂った。だから金木犀は好きな花だった。 それなのに娘はトイレの消臭剤の臭いだと言って嫌う…
村井康彦『茶の文化史』(岩波新書)と角山栄『茶の世界史』(中公新書)を読んだ。『文化史』の初版が1979年、『世界史』が1980年だった。当時どちらも発行後すぐに読んでいるので、35年ぶりくらいの再読だった。 『文化史』は主として日本の事例を扱ってい…
山本さん、写真を撮らせてくださいと言うと、それまで白いポロシャツ1枚だったのが浴衣に着替えてきた。アパートへ続く坂道の側壁がコンクリートでできていて、そこにツタが絡まっている。その壁の前に立ってここで撮れと言う。この時山本弘43歳、1973年の…
宇佐見英治『見る人』(みすず書房)を読む。副題が「ジャコメッティと矢内原」、彫刻家のアルベルト・ジャコメッティと矢内原伊作を取り上げている。宇佐見は矢内原の親しい友人で、矢内原同様ジャコメッティと親密な交友があった。全体が3部に分かれていて…
山本弘「沼辺」油彩、F10号(53.0cm×45.5cm) 1978年制作。山本弘48歳、ほとんど最晩年の作品。1979年は一年中入退院をしていたし、1980年はずっと入院していたはずだ。そして1981年4月に退院し、7月に亡くなっている。 題名の「沼辺」は沼べと読むのだろ…
太田治子『絵の中の人生』(新潮選書)を読む。雑誌『新潮45』に1994年から5年間連載されたもの。1回が4ページ前後と短いが、1枚の絵を取り上げ、それについて書いている。太田は画家について、あるいは描かれた人物について、太田の感じた気持ちを書き綴る…
山本弘のドローイング「道化」。天地397mm、左右305mm。左下にアルファベットのサインHirossiと「道化」というタイトルが書かれていて、裏面に1970.2と書かれている。1970年、山本39歳のときの作品。 この道化は女性だろうか。道化は油彩でも何度も描いてい…
山本弘のドローイング「若い女の顔」。天地338mm、左右228mm。サインと66.5.29の日付が入っている。山本36歳の作品。正確にはあと半月で36歳になる。顔と髪が水彩絵具で薄く着色されている。わずかな色彩で立体感を表している。こんなにきれいな女性のポート…
東京銀座のみゆき画廊で石井紀湖彫刻展が開かれている(9月19日まで)。石井は以前はギャラリー山口で個展を開いていたが、そこが閉廊してからはここみゆき画廊で個展を続けている。いつも抽象的な大きい木彫作品だ。今まで四角な木を組み合わせた作品が多…
先に読んだ安丸良夫『現代日本思想論』(岩波現代文庫)があまりに良かったので、同じ著者の『神々の明治維新』(岩波新書)を読む。副題が「神仏分離と廃仏毀釈」、36年前に初版が出版されたものだ。 明治維新の前後から国学の影響で神道関係者が力を持ち、…
椹木野衣×会田誠『戦争画とニッポン』(講談社)がおもしろかった。美術評論家の椹木野衣と画家の会田誠が、太平洋戦争に際して軍部の要請で描かれた戦争画を巡って対談している。この二人の人選が良かった。 戦時中に軍部の要請で描かれた戦争画は、戦後ア…
山本弘「童」油彩、F4号(33.3cm×24.2cm) 1976年10月制作、山本46歳のときの作品。童=子供が両手を広げて立っている。全体に暗い色調だが、よく見ると背景は何色もの色を塗り重ねてあって複雑な色合いを見せている。子供の頭からは放射状に何本か線が出て…
渡辺淳一が単純作業は女性に向いていると言っている。渡辺淳一『わたしの女神たち』(集英社文庫)から、 もう大分前ですが、ある時テレビを見ていると、将棋の升田九段が出てきて、「女はだめだ。女はものを創り出す創造力がない」というようなことを言って…
去る5月に東京オペラシティの「コンポージアム2015」で現代フィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホのオペラ『遙かなる愛』が上演された。演奏会形式で、バリトン、ソプラノ、メゾソプラノの3人の歌手と合唱団、東京交響楽団と指揮がエルネスト・マルティ…
渡辺淳一『わたしの女神たち』(集英社文庫)を読む。渡辺が40年近く前に書いたエッセイ。これがつまらなかった。だいたい私は渡辺の小説が好きでなくて、初期の『阿寒に果つ』くらいしか読んだことがない。本書でも渡辺は「女神たち」と言いながら、処女か…
中条省平『マンガの論点』(幻冬舎新書)を読む。これが面白かった。本書は幻冬舎の月刊PR誌「星星峡」に2006年7月から連載したマンガ時評で、雑誌が途中終刊となったためネット上のウェブサイトに移して、2014年10月まで続いた。その100回分をほぼ完全に収…
山本弘「山と雲(仮題)」油彩、F6号(41.0cm×31.8cm) 1976年制作、山本46歳のときの作品。左下に漢字の「弘」のサインがある。 頂をやや左に寄せて高い山が描かれている。稜線を水色で縁取っている。この山は何だろう。いつもモチーフにしている飯田市の…
山本弘「早春(伊那路)」油彩、F3号(27.3cm×22.0cm) 制作年は記されていないが、裏面にローマ字のサインがある。1970年代初期に描かれたもの。伊那路とは、長野県南部に流れる天竜川を挟んだ谷を伊那谷といい、そこを通る路を伊那路と言った。木曾では木…
東京神田神保町のギャラリー福果で宮木沙知子展が開かれている(9月12日まで)。宮木は1985年青森生まれ、2010年に女子美術大学芸術学部を卒業し、2012年に同大学大学院修士課程を修了している。2013年にギャラリーForgottenDreamsで初個展、ここギャラリー…
東京京橋のギャラリーなつかで濱田富貴展「―境界・設計図―」が開かれている(9月12日まで)。濱田は1972年福岡県生まれ、1998年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画コースを卒業し、2000年に同大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了している。…
以前ここで二笑亭という不思議な建築を紹介した。渡辺金蔵が建てたきわめて奇妙な住宅だった。それはすでに取り壊されて当時の写真と最近(といっても20数年前)作られた模型しか残ってないが。ただ詳しいことは式場隆三郎『二笑亭奇譚』(求龍堂、のちにち…
山本弘「黄色い顔の女」油彩、F4号(33.3cm×24.2cm) 真っ黄色の顔の女の絵だ。おそらく好きだった長谷川利行に触発されて描いたものではないか。利行にもこのような黄色く塗られた女の絵があった。 色彩のせいか華やかな作品だ。制作年が1978年、山本48歳…
淀川長治が世界を征服した4人の映画監督を紹介している。(『銀幕より愛をこめて』朝日新聞社)。「サイレントの時代」と題した章の中なので、サイレント映画の監督ということなのだろう。 (……)アメリカにはデビッド・ワーク・グリフィスという人と、セシ…