山本弘の作品解説(45)「早春(伊那路)」


 山本弘「早春(伊那路)」油彩、F3号(27.3cm×22.0cm)
 制作年は記されていないが、裏面にローマ字のサインがある。1970年代初期に描かれたもの。伊那路とは、長野県南部に流れる天竜川を挟んだ谷を伊那谷といい、そこを通る路を伊那路と言った。木曾では木曽路と言ったように。
 早春というように、木々はまだ芽吹いていない。右側に立つ木は樹形から桑の木だろう。空は薄曇りのようだ。左側にそびえる山は山容から風越山に間違いない。手前には早春の川が流れている。山本の絵にしばしば見かけるネギ色が川面に使われている。
 3号という小品。これも今月末の銀座K'sギャラリーanの個展に出品する予定。