山本弘のドローイング「若い女の顔」。天地338mm、左右228mm。サインと66.5.29の日付が入っている。山本36歳の作品。正確にはあと半月で36歳になる。顔と髪が水彩絵具で薄く着色されている。わずかな色彩で立体感を表している。こんなにきれいな女性のポートレートは珍しい。すでに脳血栓の後遺症で手足は不自由だったはずなのに。だが脳血栓になる前の手足が自由だったころのドローイングは本当にきれいな線だった。やはり女性のポートレートを見たことがある。山本弘の弟の武夫さんが持っていて見せてもらった。
戦時中、飯田市で山本と幼馴染みだった映画監督の恩地日出夫氏の話を伺ったとき、軍国少年だった山本はいつも戦闘機や戦艦の絵を描いていた、とても上手かったと言われた。デッサンは若いとき、いや子供のときから上手かったようだ。小学生のときに描いた風景画を見たことがあるが、大人顔負けの上手さだった。
このドローイングも今月末から始まる銀座K'sギャラリーの山本弘展に出品する予定。