金木犀が咲き始めた


 金木犀が薫っていた。近くを探すと金木犀の木があり、ちょうど蕾が開き始めたところだった。子供の頃、家の庭に大きな金木犀の木があって、咲くとあたり一面に花が匂った。だから金木犀は好きな花だった。
 それなのに娘はトイレの消臭剤の臭いだと言って嫌う。少し淋しい。
 先日ちょっと顔を出して、山本弘展のために用意している絵をちらっと見て、父さんこの絵は売らないで取っときなという。「雪の三叉路」のことだった。弘さんの絵についてそんな肯定的な事を言ったのは初めてだった。少し嬉しい。