2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹『女のいない男たち』を読む

村上春樹『女のいない男たち』(文春文庫)を読む。とても良かった。村上春樹の長編は異世界を描くことが多いしあまり触手が動かない。けど短篇はとてもおもしろい。最近、川上美映子との対談でぼくは小説がうまいんだと語っていたらしいがその通りだと思う…

ポルトリブレで豊田紀雄コレクション展が始まった

老境新宿のフリーアートスペース ポルトリブレで豊田紀雄コレクション展が始まった(8月7日まで)。さほど広いとは言えない画廊スペースに小品とはいえ、100点を超える作品が並んでいる。豊田さんは画家にしてコレクター、多いときは500点以上を所有してい…

加藤典洋『敗者の想像力』を読む

加藤典洋『敗者の想像力』(集英社新書)を読む。これがとても良かった。初めに敗戦後について語る。小津安二郎の映画が敗れることの経験の深さを表現している。カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』は、国家が原子爆弾ではなくクローン技術を発明する…

酒井忠康『ある日の彫刻家』を読む

酒井忠康『ある日の彫刻家』(未知谷)を読む。世田谷美術館長の酒井が折に触れてつづった彫刻家に関するエッセイをまとめたもの。姉妹書に『ある日の画家』(未知谷)があるが、それに比べると見劣りがするのはなぜだろう。世田谷美術館で開かれた彫刻展に…

ギャラリーf分の1の笹井祐子展を見る

東京お茶の水のギャラリーf分の1で笹井祐子展が開かれている(7月29日まで)。笹井は1966年生まれ、日大芸術学部研究所版画コースを卒業している。最初の個展は1989年にJCBギャラリーで、次いで1991年ギャラリー21+葉で行っている。 笹井は元来版画家だ…

ギャラリーQの高嶋英男展を見る

月曜日から「画廊からの発言−新世代への視点2017」が始まった(8月5日まで)。ギャラリーQでは高嶋英男を取り上げている。高嶋は1989年東京都生まれ。2012年に多摩美術大学大学院美術研究科博士課程前期課程工芸専攻を修了した後、2014年に東京芸術大学大学…

ギャラリー川船の山本麻世展「川底でひるね」を見る

今日から「画廊からの発言−新世代への視点2017」が始まった(8月5日まで)。ギャラリー川船では山本麻世を取り上げている。山本は1980年東京都生まれ、2005年に多摩美術大学大学院美術研究科工芸専攻陶コース博士前期課程を修了している。ついで2008年にオ…

明日から「画廊からの発言−新世代への視点2017」が始まる

明日から始まる「画廊からの発言−新世代への視点2017」は、恒例の10軒の画廊が推薦する40歳以下の若手作家10人の個展だ。現代美術の代表的な貸画廊が選んだ作家たちだから見逃せない重要な企画で、7月24日から2週間開かれる(8月5日まで)。 10の画廊とそ…

ジャコメッティ『エクリ』を読んで

ジャコメッティ『エクリ』(みすず書房)を読む。ジャコメッティが書いた文章を集めたもので、雑誌等に発表したものから、メモ、断章、そして対談を収めている。全部で450ページもあるが、メモ、断章が200ページ近くを占めている。既発表の文章からこのメモ…

「なびす画廊最後の十日 展」が始まった

東京銀座のなびす画廊が「なびす画廊最後の十日 展」を開いている(7月29日まで)。DMの挨拶より、 当なびす画廊は今回の展観をもって閉廊することになりました。 画廊の開設自体は50年代に遡りますが、1985年、新ビル3階の現在地で再発足したのを機に、創業…

紅白図屏風と梅の木

田舎へ行って墓の掃除をしてきた。墓の隣がずいぶん前に収穫放棄された梅林だ。私の田舎は竜狭小梅という小粒の梅の品種が中心で、梅干しではなく梅漬けにされている。この梅林もその小梅なのだが、種の先端が尖っている。それが嫌われて現在は市場価値がな…

国立新美術館のジャコメッティ展を見る

東京六本木の国立新美術館でジャコメッティ展が開かれている(9月4日まで)。細い棒のような人物彫刻のジャコメッティ。南フランスのマーグ財団のコレクションを中心に、初期から晩年まで、彫刻、油彩、素描、版画など130点以上が展示されている。 初期のキ…

銀座メゾンエルメスフォーラムのエマニュエル・ソーニエ展を見る

東京銀座の銀座メゾンエルメスフォーラムでエマニュエル・ソーニエ展「セロニアス・モンクに捧ぐ」が始まった(10月31日まで)。これがとても良かった。 エマニュエル・ソーニエは1952年、フランス、パリ生まれ。ベルギーのブリュッセルほか、フランス各地の…

ジョージ・オーウェル『動物農場』を読む

ジョージ・オーウェル『動物農場』(ハヤカワepi文庫)を読む。山形浩生の新訳とある。ロシア革命を徹底して戯画化している。レーニンがブタのメイジャー、トロツキーがブタのスノーボール、スターリンがブタのナポレオンとなっている。 訳者山形があとがき…

7月15日は山本弘の祥月命日

今日7月15日は山本弘の37回目の祥月命日だ。1981年のこの日亡くなった。アル中治療のため1年以上入院していた飯田市営病院を退院して100日ほどだった。家族を実家へ帰し、ひとりで自死した。51歳だった。 山本弘は15歳で終戦を経験してから、なぜか自殺願…

長谷川祐子『破壊しに、と彼女たちは言う』を読む

長谷川祐子『破壊しに、と彼女たちは言う』(東京藝術大学出版会)を読む。副題が「柔らかに境界を横断する女性アーティストたち」で、20人以上の女性アーティストたちを取り上げている。長谷川が機会あるごとに書いたレビューをまとめたものだが、古いもの…

ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションの「千一億光年トンネル」を見る

東京日本橋蛎殻町のミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションで「千一億光年トンネル」展が開かれている(8月6日まで)。参加作家は浜口陽三をはじめ、奥村綱雄、ネルホル、水戸部七絵。浜口については省くとして、まず奥村から。 奥村は1962年三重県出身。1986年…

マナーとは何か――村上リコ『図説 英国社交界ガイド』を読む(再録)

以前マナーについて書いた(4月30日)。それに付け加えることがあったので、ここに再録して、養老孟司のマナーに関する意見を追加する。 村上リコ『図説 英国社交界ガイド』(河出書房新社 ふくろうの本)を読む。副題が「エチケット・ブックに見る19世紀英…

うしお画廊のコノキ・ミクオ展を見る

東京銀座のうしお画廊で「虎・虎・虎 コノキ・ミクオの金虎展」が開かれている(7月15日まで)。コノキは昭和12年(1937年)生まれ。千葉県匝瑳市の松山庭園美術館のオーナーでもある。今回は個展のタイトルにもあるように虎をテーマにしている。3年前はみゆ…

ウィングフィールド『フロスト始末(上・下)』を読む

ウィングフィールド『フロスト始末(上・下)』(創元推理文庫)を読む。最初の『クリスマスのフロスト』以来6冊目。毎回このミスや週刊文春でミステリー1位に輝いてきたフロストシリーズもこれで終わりとなる。作者のウィングフィールドが2007年に亡くなっ…

高良留美子『その声はいまも』を読む

高良留美子『その声はいまも』(思潮社)を読む。3月に発行された高良留美子最新の詩集だ。高良は1932年生まれ。私が初めて高良の名前を知ったのは吉田喜重監督の映画『水で書かれた物語』の脚本家としてだった。吉田は高良の詩人としての言葉の感覚を映画の…

櫻木画廊の杉原民子展を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で杉原民子展が開かれている(7月16日まで)。杉原は佐賀県出身、東京オリンピックの年に生まれたという。1998年以来、OギャラリーUP・SやギャラリーTEMS、Shonandai My ギャラリーなど多くのギャラリーでもう15回以上個展を開いてい…

ギャラリー砂翁の葛生裕子展を見る

東京日本橋本町のギャラリー砂翁で葛生裕子展が開かれている(7月14日まで)。葛生は1965年東京生まれ、1988年に多摩美術大学絵画科を卒業している。1986年にかねこあーとギャラリーで初個展をし、その後西瓜糖、コバヤシ画廊、藍画廊、ルナミ画廊、秋山画廊…

小林敏明『夏目漱石と西田幾多郎』を読む

小林敏明『夏目漱石と西田幾多郎』(岩波新書)を読む。副題が「共鳴する明治の精神」とある。テーマに興味を持って読んだのではなかった。著者小林に興味があったから。小林はきわめて難解な哲学者廣松渉の弟子なのだ。本人は廣松と木村敏に大きな影響を受…

ギャラリー檜Fの柴崎和也展を見る

東京京橋のギャラリー檜Fで柴崎和也展が開かれている(7月8日まで)。柴崎は1982年、大阪府生まれ。2012年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了している。2010年にギャラリー檜B・Cで初個展。その後ガレリア・グラフィカbisやギャラリー檜グループなどで個…

ジョン・ル・カレ『地下道の鳩』を読む

ジョン・ル・カレ『地下道の鳩』(早川書房)を読む。副題が「ジョン・ル・カレ回想録」で、『寒い国から帰ったスパイ』や『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』、『パーフェクト・スパイ』などで著名なイギリスのスパイ小説作家の回想録だ。楽しみ…

アートギャラリー道玄坂の山本弘展終了

東京渋谷のアートギャラリー道玄坂で行われていた山本弘展が終了した。ちょうど40点を展示したが、中でも50号を3点展示できたのは近年にないことだった。あまり美術関係者が来ることの少ないギャラリーとしては、7日間で100人近くの方にきていただいた。 記…