ジョージ・オーウェル『動物農場』を読む

 ジョージ・オーウェル動物農場』(ハヤカワepi文庫)を読む。山形浩生の新訳とある。ロシア革命を徹底して戯画化している。レーニンがブタのメイジャー、トロツキーがブタのスノーボール、スターリンがブタのナポレオンとなっている。
 訳者山形があとがきで書いている。

 ……レーニン他界にともない、ナポレオンもといスターリンは一気に実権を握ってトロツキーを追い落とし、国外追放した。さらに自分の権力に少しでも脅威を与えそうな存在は秘密警察による粛清で次々に消した。そして、1936年から38年のモスクワ「見世物」裁判では、かつての多くの仲間たちに反革命的な陰謀を「自白」させ、それがトロツキーの企みによるものだと「告白」させたうえで処刑するという露骨な茶番の一部始終を公開した。
 さらにかつて大反対してみせたトロツキーの政策をいつの間にか自分のものとして掲げてみせ、実質的な強制労働による各種の大規模なインフラ整備計画を実施する。政敵はおろか、科学や芸術分野でも恣意的な粛清がつづき、歴史の改変(かつての写真からトロツキーを抹殺するなど)と自分の神格化が徹底的に進められた。……

 20世紀の大悪人とは、スターリンヒトラー毛沢東だろう。