2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

馬場知子展が良かった(でも終わってしまった)

馬場知子展が銀座のギャラリーゴトウ2nd Roomで開かれたが、29日(土)で終わってしまった。「月刊ギャラリー」1月号のギャラリーゴトウの予定に和田知子と書かれていたので、最終日に行ってようやく気づいたのだった。この雑誌は本当に校正ミスが多い。 馬…

東京・京橋の戸村美術で山本弘展が開かれる

東京・京橋の戸村美術で山本弘展が開かれる。ギャラリーゴトウ2nd room以来1年半ぶりだが、今回は以前のギャラリー汲美やギャラリーMoMo、ギャラリー77などとは違って、小品を主体とするのではなく、これが山本弘だと言える20号や30号の作品も並べたいと思…

枇杷の花と乳首の類似性

冬は枇杷の花の開花期だ。しかし枇杷の花は限りなく地味なので、人はなかなかそれに気づかない。下の写真が駐車場の片隅に咲いている枇杷の花だ。花というより埃に近いと言われるかもしれない。 それを一枝折り採って帰ると、娘が花瓶に挿してくれた。室内の…

「スナップショットの魅力」のポール・フスコ

東京都写真美術館で「スナップショットの魅力」と「ニュー・スナップショット」という2つの写真展が開かれている(2月6日まで)。 「スナップショットの魅力」は、ちらしによれば、 本展では、ウォーカー・エヴァンズやアンリ・カルティエ=ブレッソンな…

瀬戸照展を見る喜び

銀座のスパンアートギャラリーで「スーパーリアリズム−細密画3人展−」が開かれている(1月29日まで)。 その一人瀬戸照はコマーシャルの世界でイラストレーターとして出発した。その後子供向けの科学絵本の絵を描いたり、雑誌のイラストを描いたりしている…

みゆき画廊の酒匂譲展は見逃せない!

銀座6丁目のみゆき画廊で酒匂譲展が開かれている(1月29日まで)。酒匂さんの個展はいつも真冬にみゆき画廊で開かれる。1976年から毎年欠かさず、もう今年で36回目だという。真冬の酒匂譲展は、いつも不思議な春の感覚を呼び起こす。画廊が華やかな空間に…

フキノトウを見つけた

先の22日の日曜日、墨田区の小さな植物園の片隅でたった1個だけだが、フキノトウが出ているのを見つけた。ここは陽当たりが良いとは言えない場所だけど、もう蕾を出していた。 ちょうど「歳時記カレンダー」の1月22日のところに虚子の俳句が載っている。 …

2年半ぶりの沓澤貴子展が開かれた

東京銀座のOギャラリーで2年半ぶりの沓澤貴子展が開かれている(1月30日まで)。沓澤は1971年、静岡生まれ。武蔵野美術大学大学院美術専攻油絵コースを1998年に修了している。 新進の抽象絵画の作家として、私は沓澤貴子、亀山尚子、葛生裕子、泉本奈生美…

木原未沙紀個展が魅力的だ

渋谷のポスターハリスギャラリーで木原未沙紀個展が開かれている(1月30日まで)。木原は動物を精密に描いていて、そこにレースやアクセサリーなどを貼り付けている。写実的で装飾的な不思議な作品が出現した。DM葉書に宇野亜喜良の推薦文が載っている。 木…

東京スカイツリーと満月

1月19日の未明、東京スカイツリーの右横を沈んでいく月があった。月齢は満月の1日前だった。30分ほど後にはもう月は沈んでいた。 翌20日はまさに満月だった。午前6時すぎの月はまだスカイツリーの左側にあり、日の出前ながら空はすでに明るく薄い青空に変…

金井美恵子の新刊エッセイ「猫の一年」が滅法面白い

お前の好きな作家は誰かなんて誰にも聞かれないが、好きな作家は、ポーランドのSF作家スタニスワフ・レム、イギリスのスパイ小説作家ジョン・ル・カレ、それに日本の大江健三郎と金井美恵子だ。レムは一昨年だったか亡くなってしまったが、真にノーベル文学…

K'sギャラリーのコレクション展の上田泰江を見てほしい

昨年K'sギャラリーで上田泰江展が開かれて、私も行ったのだったが、最終日だったのでブログでは紹介したものの、実物を見た人は少なかったのではないか。 ・上田泰江展がとても良かった……でも、終わってしまった(2010年10月21日) そこで私は次のように書い…

小林聡子の作品は難しい

銀座1丁目のギャラリー現で小林聡子展「箱とドローイング」が開かれている(1月22日まで)。会場に入るとスタンドの上に置かれた箱状の立体が眼につく。 一方、壁には何やらレリーフのような立体が設置されている。両者はどんな関係があるのだろう。最初、…

日本カメラに掲載された渡辺兼人の「忍冬」

日本カメラ2011年1月号口絵に渡辺兼人の写真「忍冬(すいかずら)」が掲載されている。これがとても良い。いつも通りモノクロ写真だが、今回のテーマは水のある風景らしい。7ページに7点の作品が掲載されている。 「口絵ノート」に載っている渡辺の言葉。…

ギャラリーなつかの新春最初の企画は高浜利也展「-Railwey-」だ

ギャラリーなつかの新春最初の企画は高浜利也展「-Railwey-」で始まった(1月29日まで)。下に掲げた3つの作品はほぼ120cm×120cmという大きな版画(エッチング・アクアチント)だ。高浜利也は1966年、姫路市生まれ。1990年武蔵野美術大学大学院を修了して…

コートギャラリー国立で宮島弘道展を見る

友人から紹介されて国立市にあるコートギャラリー国立へ行って宮島弘道展を見た(1月18日まで)。初めて入ったコートギャラリー国立は広い展示空間だった。そこに大作を何点も並べている宮島弘道の作品も良かった。宮島は1970年、長野県飯田市生まれ。1994…

柳瀬尚紀「日本語ほど面白いものはない」を読む

柳瀬尚紀「日本語ほど面白いものはない」(新潮社)を読む。副題を「邑智(おおち)小学校6年1組 特別授業」と言い、英文学者の柳瀬尚紀が島根県の小学校で授業をした記録だ。 毎日新聞2010年12月19日に掲載された「2010年この3冊」で科学史家の村上陽一…

「小説家たちの休日」で紹介された作家たちの写真

川本三郎・文、樋口進・写真の「小説家たちの休日」(文藝春秋)が面白かったことは以前紹介した。 ・川本三郎の「小説家たちの休日」では65人の作家が取り上げられた(2010年12月17日) ・ 紹介されている65人の作家たちのうち、とくに興味深い5人の写真を…

井上ひさし「この人から受け継ぐもの」を読んで

井上ひさし「この人から受け継ぐもの」(岩波書店)を読んだ。「この人」とは、吉野作造、宮沢賢治、丸山真男、チェーホフ、それに「笑いについて」で言及されるイギリスの風刺作家ジョン・ウェルズなどなどだ。 吉野作造が大正デモクラシーの理論的支柱だと…

「東あずま」という駅名

墨田区の東武亀戸線に「東あずま」という不思議な駅名がある。なぜ漢字と仮名がごっちゃに使われているのか。なぜ素直に「東東」または「東々」と書けないのか。その答えがこの写真だ。 東あずま駅のすぐ近くにこの「東吾嬬小学校」がある。つまり「東あずま…

東京創元社文庫解説総目録とハヤカワ・ミステリ総解説目録

朝日新聞の三八(サンヤツ)広告に、東京創元社の「東京創元社文庫解説総目録」の広告が載っていた。「文庫全点を網羅した完全版目録」と銘打たれているが、文庫判2分冊函入り(分売不可)5,250円となっている。高い!! 一応、広告の本文を写すと、 (文庫創…

「マニラ瑞穂記」−−新国立劇場演劇研修所第4期生試演会を見る

秋元松代・作、栗山民也・演出「マニラ瑞穂記」を新国立劇場リサイタルホールAで見る。同劇場の演劇研修所第4期生による試演会で、申込み順の無料という公演。これが大当たりだった。とても研修生が演じているとは思えない優れた舞台だった。演出もすばらし…

曼陀羅を描く大源麻友個展を見る

東京京橋のアートスペース羅針盤で大源麻友個展が開かれている(1月15日まで)。大源は1985年大阪府豊中市生まれ、昨年京都嵯峨芸術大学大学院を卒業している。個展は昨年の銀座1丁目のギャラリー156に次いで2回目。作家自身のテキストから、 東洋美術史…

「井上ひさしの作文教室」は大変教えられた

井上ひさし ほか「井上ひさしの作文教室」(新潮文庫)は当たりだった。面白くて実用的だ。読むことをお薦めする。 「自分を指す人称代名詞は、ほとんどの場合、全部、削ったほうがいい」「日本語は地域差が非常に大きい言葉」「日本語には階級差もあります…

正月の夜の東京スカイツリー

正月の3日夜に友人が訪ねてきて、マンションの廊下から東京スカイツリーを撮影した。さすがキャノンの高級一眼レフだ。夜景だったがきれいに写っている。 普段の夜だったら、作業員が残業をしているらしく、スカイツリーの上部にはたくさんの灯りがついてい…

黒井千次のエッセイ集「時代の果実」がとても良い

黒井千次のエッセイ集「時代の果実」(河出書房新社)がとても良い。ここ15年ほどに書いたエッセイをまとめたものらしい。3部に分かれているが、最初の章は「人生の収穫」と題して、若い頃の思い出やその頃読んだ本などのことが語られる。 白眉なのは2番目…

井上ひさし作「ムサシ」を映画で見て

昨年亡くなった井上ひさしの最後から2番目の芝居「ムサシ」の評判がとても良かった。でも芝居は料金が高いから見に行かれなかった。非常に残念に思いながら。それが知らない内に映画になっていた。舞台をそのまま撮影しているのだ。演出はもちろん蜷川幸雄…

mmpoloの日記について

このブログは2006年3月14日に書き始め、その年の10月からほぼ毎日書いてきた。書き始めてからおよそ4年9カ月、毎日書くようにしてからも4年3カ月になる。もう1,571日も書いてきたらしい。 ここらで方針を変えて、今後は無理をしないで時々書くようにし…

「北村薫の創作表現講義」を読んで

北村薫「北村薫の創作表現講義」(新潮選書)を読んだ。早稲田大学文学部での表現の講義を録音し再構成したものだという。私も表現には興味をもってきたから、こういう種類の本はかなり読んできたと思う。そういった経験からすると本書のレベルは高いとは言…

毎日新聞の「2010年この3冊」から(下)

毎日新聞の「2010年この3冊」から(上)の続き。*を付けた名前がその本の選者だ。 * *伊東光晴(京大名誉教授・経済学) ●岩澤信夫「究極の田んぼ」(日本経済新聞社) 冬水田に水をはり、イトミミズを発生させる有機農法で、除草剤を使わず、田も耕さず…