枇杷の花と乳首の類似性

 冬は枇杷の花の開花期だ。しかし枇杷の花は限りなく地味なので、人はなかなかそれに気づかない。下の写真が駐車場の片隅に咲いている枇杷の花だ。花というより埃に近いと言われるかもしれない。

 それを一枝折り採って帰ると、娘が花瓶に挿してくれた。室内のテーブルに飾られた枇杷の花は、屋外で見たものと同一のものかといぶかるほど華やかなものに変わっていた。なぜだろう。

 しばらく見ていて分かった。室内で無機的なものに囲まれていて、それで枇杷の葉が華やかに見えるのだ。華やかなものは花ではなく葉だったのだ。では枇杷の花は必要なかったのか。そうではない。ここに花がなかったら、まとまりがないだろう。地味でありながら花は必要不可欠なのだ。
 それは乳首に似ている。乳首は乳房の中心にありながら、本当に魅力があるのは乳房なのだ。しかしながら、もし乳房に乳首がなかったら、何だかそれはお尻みたいに茫漠としてとりとめがないように思われる。枇杷の地味な花と乳首とが類似性を有していることの、それが理由なのだった。