2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アートスペース羅針盤の桑原理早のドローイングがすばらしい

東京京橋のアートスペース羅針盤で開かれている桑原理早展がすばらしい(3月2日まで)。桑原は1986年、東京都出身。略歴を見ると、2013年武蔵野美術大学大学院造形研究科日本がコース修了予定としか書かれていない。何年か前にその美術大学に入学している…

ギャラリーASK?(P)の久木田茜展「つくえのした」が興味深い

東京京橋のギャラリーASK?(P)の久木田茜展が興味深い(3月2日まで)。久木田は1987年生まれで愛知県育ち、2010年に名古屋芸術大学美術学部陶芸コースを卒業し、2010年に多摩美術大学美術学部陶コース研究生となり、2011年に同大学大学院美術研究科工芸専攻…

電車に貼られた書籍の広告が興味深い

電車に貼られたポスターの書籍広告が興味深い。『成長の限界』のJ. ランダースの『2052−今後40年のグローバル予測』(日経BP社)の広告から。 ▲地球の総人口は2040年頃の80億人をピークに、その後減少する。 ▲地球の総GDPは予想外に伸びず、2050年は現在の2.…

有田隆也『生物から生命へ』がすばらしい

有田隆也『生物から生命へ』(ちくま新書)を読む。副題が「共進化で読みとく」とあるように、著者は「共進化」という概念を使って生命を考える。共進化とは2種の生物間で、お互いに利用しあったり、一方が他方を搾取するなどの関係にある状況だと説明され…

みゆき画廊の淀井彩子展がすばらしい

東京銀座6丁目のみゆき画廊で開かれている淀井彩子展−地図・ネガの手−がすばらしい(3月2日まで)。淀井は1966年に東京芸術大学美術学部油画科を卒業し、1968年に同大学大学院油画専攻を修了している。その後フランス政府給費留学生としてパリに留学。一…

山本一力『味憶めぐり』を読む

山本一力『味憶めぐり』(文春文庫)を読む。25軒もの美味しい食べ物屋、料理店を紹介している。類書と違うのは、扱う内容の多彩さであろう。江東区南砂のジャムパンから、王者の風格という築地寿司岩総本店までを、同列に論じている。いずれの店の食べ物も…

ギャラリーなつかのSEINO展が興味深い

東京京橋のギャラリーなつかで開かれているSEINO展が興味深い(2月23日まで)。SEINOは本名清野智子、1980年生まれ。2003年東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業している。その後、国際メディカルアーティストスクールで学び、またイギリスに留学して2008年The…

『空海と日本思想』を読む

篠原資明『空海と日本思想』(岩波新書)を読む。毎日新聞の書評で私が尊敬する三浦雅士が高く評価していた(1月27日)。 空海の思想の基本系(=思想の基本的なありよう)はどのように変奏されてきたか。西行、慈円、京極為兼、心敬、芭蕉、宣長と、吟味さ…

永田和宏『近代秀歌』を読んで

永田和宏『近代秀歌』(岩波新書)を読む。とても楽しい読書だった。「はじめに」より、 本書で私は、近代以降に作られた歌のなかから、100首を選んで解説と鑑賞をつけるという作業を行った。(中略)100首の選びは、できるだけ私の個人的な好悪を持ちこまず…

小沢昭一『芸人の肖像』を読む

小沢昭一『芸人の肖像』(ちくま新書)を読む。小沢さんは昨年12月10日に亡くなった。83歳だった。本書は小沢の生前に企画が決定し、編集作業が進んでいたという。小沢は俳優座養成所を出た新劇俳優でありながら、生家が写真館だったこともあって、カメラに…

山下裕二『日本美術の二十世紀』がとても楽しい

山下裕二『日本美術の二十世紀』(晶文社)がとても楽しい。雪舟、伝源頼朝像、高松塚古墳、雪村、伊藤若冲、白隠、写楽、長谷川等伯らを論じている。タイトルの「〜の二十世紀」というのは、「1956年の雪舟」とか、「1910年の写楽」とか、これらの画家が話…

座・高円寺の研修生修了上演『Great Peace』がすばらしい

座・高円寺の劇場創造アカデミー3期生修了上演『Great Peace』がすばらしい! 戯曲がイギリスの劇作家エドワード・ボンド、演出が2人で、佐藤信(Part1)と生田萬(Part2)、役者はアカデミーで2年間研修してきた3期生たちだ。3時間近い芝居が引き込ま…

新宿2丁目の画廊ポルトリブレの「蚤の市」

新宿2丁目の画廊ポルトリブレで美術品の「蚤の市」が開かれている(2月20日まで、会期中無休)。ふだんポルトリブレに集う仲間や画家たちが持ち寄った小さな作品が数十点壁面を埋めている。「蚤の市」というだけに驚くほど安い価格が付けられている。さら…

村井康彦『出雲と大和』を読む

村井康彦『出雲と大和』(岩波新書)を読む。村井は30年ほど前に『茶の文化史』を読んだことがあって、その本は面白くて印象に残っている。古代史も研究していたのか。 本書は序章と終章のほか4つの章、「出雲王国論」「邪馬台国の終焉」「大和王権の成立」…

本当のマテ茶は何か

最近ペットボトルに入ったマテ茶が売られている。これはマテ茶だろうか。マテ茶は南米のマテの葉から作るお茶の一種だ。本当のマテ茶がレヴィ=ストロースの『悲しき南回帰線』(講談社文庫)に紹介されている。ブラジルのマト・グロッソ地方で、 ……日に二度…

ギャラリーなつかの古井彩夏展が興味深い

東京京橋のギャラリーなつかの古井彩夏展が興味深い(2月16日まで)。古井は1988年東京都生まれ、2011年に女子美術大学立体アート学科を卒業し、現在女子美術大学大学院立体芸術専攻在学中。個展は2009年と2011年の北とぴあ、2012年のギャラリーなつかに続…

立春後の早春の花々

立春後1週間目くらいの近所の花々。春は黄色い花が多い。 福寿草がほとんど満開になっている。手入れをしている人が、思うように株が増えてくれないとこぼしていた。どうも株分けをしないと駄目なようだと。 南向きの建物の壁際ではノゲシが咲いていた。 暖…

みゆき画廊で酒匂譲個展が始まった

今年も銀座6丁目のみゆき画廊で酒匂譲個展が始まった(16日まで)。酒匂は1930年鹿児島県生まれ、1953年に東京藝術大学油絵科を卒業し、1955年に同専攻科を終了している。はじめサヱグサ画廊で個展を開いた後、パリで個展をし、1976年からはこのみゆき画廊…

瀬木慎一『戦後空白期の美術』を読む

瀬木慎一『戦後空白期の美術』(思潮社)を読む。戦後から1963年の読売アンデパンダン展修了までを取り上げている。瀬木はこの時代を最初は身近に目撃し、ついでさまざまな芸術運動に参加した、その具体的な記録としてまとめられている。瀬木が目撃し参加し…

新国立劇場第6期生修了公演『インナーヴォイス』を見る

新国立劇場で演劇研修所第6期生の修了公演『インナーヴォイス』を見る。作:エドゥアルド・デ・フィリッポ、演出が研修所所長の栗山民也。なかなか面白く楽しめた。私はバルコニー席で2,500円だったが、平土間でも3,000円という安さだ。 演劇研修所長の栗山…

大森望「21世紀SF1000』の推薦するSFは(その2:2005-2010年)

SF

大森望『21世紀SF1000』(ハヤカワ文庫)は2001年から2010年までの10年間に日本で発行されたSFを取り上げて、『本の雑誌』に時評として連載したもの。 本書が選んだ2005-2010年の満点★★★★★の作品を拾ってみた。 ・ 2005年の★★★★★ ●グレッグ・イーガン『ディ…

『宇宙になぜ我々が存在するのか』を読んで

村山斉『宇宙になぜ我々が存在するのか』(講談社ブルーバックス)を読む。著者は『宇宙は何でできているのか』『宇宙は本当にひとつなのか』で刺激的な宇宙論を示してくれた。本書の副題は「最新素粒子論入門」となっている。 私たちの体も宇宙も物質ででき…

大森望『21世紀SF1000』の推薦するSFは(その1:2001-2004年)

SF

大森望『21世紀SF1000』(ハヤカワ文庫)は2001年から2010年までの10年間に日本で発行されたSFを取り上げて、『本の雑誌』に時評として連載したもの。「序」に「2001年から2010年まで、21世紀の最初の10年間に出たSF約千冊を刊行順にざっくり紹介したべんり…

「箱組み」という高等技術があった

写真は先月銀座1丁目のギャラリー巷房・2で行われた寺山偏陸展の案内ハガキだ。偏陸は本名でヘンリックと読み、父親が子どもたちに欧米人のような名前をつけたのだという。姓が寺山なのは、寺山修司が亡くなったあと、天井桟敷の劇団員だった偏陸を寺山の…

梯久美子『百年の手紙』を読む

梯久美子『百年の手紙』(岩波新書)を読む。副題が「日本人が遺したことば」で、20世紀の100年間に日本人が書いた100通あまりの手紙を紹介している。最初に置かれたのが田中正造から明治天皇への直訴状だ。足尾銅山の鉱毒を訴えている。ほかには、幸徳秋水…

節分の花

節分だった昨日、近所で春の花々を見かけた。福寿草、木瓜、紅梅、オオイヌノフグリ、ナズナ、姫踊子草、ハコベ。 福寿草(フクジュソウ)が満開だった。 木瓜(ボケ)の蕾が膨らんでいる。 墨田区の香取神社の梅園では、やっと1種類の紅梅が咲いていた。 …

アファナシエフの『ピアニストのノート』を読む

アファナシエフの『ピアニストのノート』(講談社選書メチエ)を読む。アファナシエフはカバーの紹介によれば、「クラシック界の世界的鬼才ピアニスト」。さらに「音楽とは何か? 音楽を演奏するとはどういうことか? 沈黙と時間は音楽とどのような関係を結…

作家の仕事と生活や性格との関係

最近清貧の生活をおくっている画家の絵が話題になっている(id:mmpolo:20121229)。作家の生活の貧しさや人柄の良さが作品の質を担保するだろうか。貧しい画家は全国に5万人どころか50万人は下らないだろう。そのほとんどが貧しい絵を描いているに過ぎない…

成毛眞『面白い本』を読む

成毛眞『面白い本』(岩波新書)を読む。面白いノンフィクションのガイド本で、約100冊を紹介している。この内私はやっと5冊を読んだにすぎない。だが、この5冊はすべて面白かった。すると、これらの100冊も外れは少ないのではないだろうか。私が読んで面…