ギャラリーなつかの古井彩夏展が興味深い



 東京京橋のギャラリーなつかの古井彩夏展が興味深い(2月16日まで)。古井は1988年東京都生まれ、2011年に女子美術大学立体アート学科を卒業し、現在女子美術大学大学院立体芸術専攻在学中。個展は2009年と2011年の北とぴあ、2012年のギャラリーなつかに続いて4回目となる。
 主会場に鉄の大きな作品が2点置かれている。小さなスペースなつかC-viewには小品が並んでいる。大きな作品は茶筅の形にも似た立体(約100kg)と、円形の穴が連なった横長の立体(約80kg)だ。小品は数点並んでいるが、DMハガキに取り上げられたミルククラウンにも王冠にも似たシンプルな美しさを見せる立体や、包丁を4本十字のように組み合わせた危なそうなものが置かれている。この包丁を象った作品は普通の鉄で作られていて、鋼鉄製ではない。そこのところが刃物の立体を制作していた中山ダイスケのコンセプトと全く異なっている。中山の刃物は傷つける・傷つけられるという関係性を重視していた。古井は作品自体の形態を追求していると思う。




 昨年のギャラリーなつかでの個展について紹介した時の文章を再録する。

 鉄の板を曲げてそれらを溶接して作った立体が直接何かの形を表しているというのではなく、細長い球形のようであったり、巨大な指輪のようであったりする。単純な形態でありながら、完成した形であることが納得できる。いや、一見単純に見えながら、なかなか複雑な構造をしている。しかし、そういう理屈を抜きに美しい形なのだ。
ギャラリーなつかの古井彩夏展の鉄の立体が美しい(2012年4月20日

 古井の特徴の一つは形の繰り返しにある。繰り返しであるとはミニマルを内包しているということだろう。ミニマル以後の世代である古井はそれをわずかに内包しながら「形」の創出を志向している。そのことはとても魅力的だ。古井はこれからどんな作品を見せてくれるのだろう。
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古井彩夏展
2013年2月11日(月)−2月16日(土)
11:00−18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1階
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/