2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

春の連休に向島百花園を訪ねる

春の大型連休に東京墨田区の向島百花園を訪ねる。最初にセッコクが咲いていた。藤、紅色のウツギ、卯の花=ヒメウツギ、芍薬、コデマリ、ムラサキツユクサ、睡蓮、ムラサキセンダイハギ、アヤメ、セイヨウサンザシなどが咲いている。 むかし、ふ化したばかり…

ギャラリーαMの高柳恵里展を見る

東京東神田のギャラリーαMで高柳恵里展「比較、区別、類似点」が開かれている(6月10日まで)。高柳は神奈川県生まれ。1988年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了し、1990−1991年イタリア政府給費留学生としてミラノ国立美術学院に留学している。現在多摩…

ユーカリオの久保田智広個展を見る

東京人具前のユーカリオで久保田智広個展が開かれている(5月1日まで)。久保田は1992年東京生まれ、2017年東京芸術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業、2018~19年ウィーン応用芸術大学交換留学、2020年東京藝術大学美術研究科修士課程版画専攻 修了。今回が…

圓井義典『「現代写真」の系譜』を読む

圓井義典『「現代写真」の系譜』(光文社新書)を読む。今まであった写真史と全く異なる優れた写真史が現れた。取り上げられた写真家は、土門拳、植田正治、東松照明、荒木経惟、須田一政、杉本博司、マルセル・デュシャン、佐藤時啓、森村泰昌、畠山直哉。…

トキ・アートスぺ―スのいぐち なほ展を見る

東京神宮前のトキ・アートスぺ―スでいぐち なほ展が開かれている(5月8日まで)。いぐちは東京出身、1996年に学習院大学文学部哲学科を卒業している。2011年このトキ・アートスペースで初個展、以来ほぼ毎年同じ画廊で個展を続けている。 作品は小さなキャ…

アートスペース羅針盤の菊池玲生個展を見る

東京京橋のアートスペース羅針盤で菊池玲生個展――「日本画」のシミュレーション――が開かれている(4月30日まで)。菊池は1993年生まれ、2014年に東京藝術大学日本画専攻に入学し、現在同大学大学院美術研究科博士課程(日本画)在籍中。今までガレリア・グ…

高階秀爾『芸術のパトロンたち』を読む

高階秀爾『芸術のパトロンたち』(岩波新書)を読む。先日読んだ矢代幸雄『藝術のパトロン』が日本の美術コレクターを取り上げていたのに対し、本書はヨーロッパの美術パトロンたちを取り上げている。 ルネッサンス頃のイタリアフィレンツェの同業者組合が彫…

Ritsuki Fujisakiギャラリーの山本れいら展を見る

東京東日本橋のRitsuki Fujisakiギャラリーで山本れいら展が開かれている(5月8日まで)。山本は1995年東京生まれ、10代で渡米し、シカゴ美術館附属美術大学で学んだ。2020年にギャラリーMoMo六本木でグループ展に参加し、2021年に三越前の画廊で初個展を…

身内の語る西郷孤月のこと

西郷孤月は橋本雅邦の弟子、大観、春草、観山とともに四天王と呼ばれた。私の岳父の妻は西郷孤月と親戚で、その生家は西郷と言った。松本市の城山に西郷家の墓があり、そこは松本の武士の墓地だったという。西郷家を中心に松本市に西郷孤月を研究し顕彰する…

矢代幸雄『藝術のパトロン』を読む

矢代幸雄『藝術のパトロン』(中公文庫)を読む。国立西洋美術館設立の基となった松方幸次郎コレクション、三渓園の原三渓、大原美術館を作った大原孫三郎と総一郎親子、福島コレクションの福島繁太郎の4組の大コレクターを取り上げている。 松方幸次郎は川…

ガルリH(アッシュ)の高山瑞展を見る

東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で高山瑞展「やまびこ」が開かれている(4月30日まで)。高山は1993年神奈川県生まれ、2016年に武蔵野美術大学造形学部彫刻学科を卒業し、2018年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。グループ展に…

藍画廊の瀧田亜子展を見る

東京銀座の藍画廊で瀧田亜子展が開かれている(4月23日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。2年間ほど中国へ留学し書を学んできた。毎年ほぼ2回の個展を繰り返してきて、旺盛な制作意欲を示している。 前回の個展から作風に変化が見られてきたが、今回はそれ…

うしお画廊の井上敬一展を見る

東京銀座のうしお画廊で井上敬一展「あしたはあたしの風が吹く」が開かれている(4月23日まで)。井上は1947年、福岡県田川市生まれ。1980年に福岡教育大学美術研究科を修了している。井上は銀座のみゆき画廊で個展をしていたが、みゆき画廊が閉じてからは…

新人アーティストへの吉岡まさみの教え

吉岡まさみは銀座のSteps ギャラリーのオーナーである。同時に美術作家であり、美術評論家でもある。その3役を通じて、新人アーティストにアドバイスをしている。「ギャラリーの言い分」と題されたそれは、A4判12ページに及ぶ長いものだ。ここにその要約を…

中井久夫『私の日本語雑記』を読む

中井久夫『私の日本語雑記』(岩波現代文庫)を読む。これが素晴らしかった。日本語雑記の表題通り雑記なのだが、文章論であり日本語の特徴論でもあり、また言語の起源論にも及んでいる。専門家ではないと謙遜するが、その内容はとても深く「雑記」という表…

いりや画廊の奥田誠一個展を見る

東京入谷のいりや画廊で奥田誠一個展「surface」が開かれている(4月23日まで)。奥田は国立滋賀大学教育学部を卒業している。年齢は50歳代らしい。主に関西方面の画廊で発表してきた。東京では初個展となる。 奥田は焦がした和紙を人型に貼り込んで立体作…

田原総一朗+藤井聡『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』を読む

田原総一朗+藤井聡『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』(アスコム)を読む。雑誌『ちくま』に斎藤美奈子が紹介していた(2021年12月号)。しかし、藤井は安倍政権の元内閣官房参与、MMT(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)を信奉している。MMTでは…

小島びじゅつ室の「絵画という風景 展」を見る

東京大田区南雪谷の小島びじゅつ室で「絵画という風景 展」が開かれている(4月17日まで)。出品作家は涌田優樹と立原真理子。ここでは立原を紹介する。 立原は茨城県生まれ、2006年に女子美術大学芸術学部洋画専攻を卒業し、2008年に東京芸術大学大学院美…

ギャラリー砂翁&トモスの菅野美榮展を見る

東京表参道のギャラリー砂翁&トモスで菅野美榮展が開かれている(4月23日まで)。菅野は群馬県出身、1968年共立女子短期大学を卒業したのち、1971年日本デザインスクールを卒業している。1990年、銀座のギャラリー・オカベで初個展。その後、ギャラリート…

銀座蔦屋書店のイケムラレイコ+塩田千春展を見る

東京銀座のGINZA SIX 6階、銀座蔦屋書店で「手の中に抱く宇宙 イケムラレイコ+塩田千春」刊行記念展覧会が開かれている(4月13日まで)。 イケムラレイコ Lying Head イケムラレイコ イケムラレイコ 二人の合作 二人の合作 イケムラレイコはガラスのLying …

山本弘の作品解説(109)(題不詳)

山本弘(題不詳)、油彩、F10号(45.4cm×53.0cm) 制作年不明、サインなし、実は絵の天地も不明。木枠の下端に当るキャンバスに汚れが付いているので、その辺を下とした。制作年代もタイトルもサインも付いていないのは最晩年にときどき見られる。これもやは…

「ポーラ ミュージアム アネックス展 2022  vol.2」を見る

東京銀座のポーラ ミュージアム アネックスで「ポーラ ミュージアム アネックス展 2022 vol.2」が開かれている(4月17日まで)。このvol.2の参加者は菅野創・北條知子・寺嶋孝佳の3人。菅野はおもちゃのロボットのような動き回るオブジェを出品し、寺嶋は…

TAKU SOMETANIギャラリーのみょうじなまえ個展を見る

東京神宮前のTAKU SOMETANIギャラリーでみょうじなまえ個展「Some Fairy Tales」が開かれている(4月24日まで)。みょうじは2019年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業、2020年にTAKU SOMETANIギャラリーで初個展をしている。 ギャラリーのホームペー…

銀座K’sギャラリーの上野憲男展を見る

東京銀座の銀座K’sギャラリーで開廊20周年記念上野憲男展が開かれている(4月16日まで)。2002年に「上野憲男、カジ・ギャスディン、佐野ぬい3人展」でオープンしたK’sギャラリーが今年20周年を迎えた。 その3人の個展を企画したのだったが、上野は昨年亡く…

ギャラリー・ブルー3143の元木孝美展を見る

東京表参道のギャラリー・ブルー3143で元木孝美展「microcosm」が開かれている(4月10日まで)。元木は1975年神奈川県生まれ、2003年に東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科を修了している。2014年から東北芸術工科大学講師を努める。 今回小さなギャラリ…

小林貴子『句集 黄金分割』を読む

小林貴子『句集 黄金分割』(朔書房)を読む。小林は1959(昭和34)年、長野県飯田市生まれ。松本の「岳」俳句会に所属し編集長を務めている。先に亡くなった稲畑汀子に代わって、4月から朝日俳壇の選者に就任した。 本書は2008(平成21)年~2014(平成26…

ギャルリー東京ユマニテの井上雅之展―多摩美術大学退職記念―を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテで井上雅之展 ―多摩美術大学退職記念― が開かれている(4月23日まで)。井上は1957年神戸市出身、1985年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。2017年第24回日本陶芸展大賞受賞。1980年代から陶を素材に立体作品の制…

矢島渚男『虚子点描』を読む

矢島渚男『虚子点描』(紅書房)を読む。本書について矢島が「あとがき」で書いている。 これは自分の俳誌『梟』に毎号1ページの短文を「虚子雑談」として好きな句や気になる句を季節に従いつつ、青年時代を書いたり、晩年の作品に行ったり、壮年期に戻った…

門田秀雄「美術史から消えた『労働者』」

2月に亡くなった門田秀雄さんの古いエッセイを再録する。これは13年前の2009年11月19日に掲載された(日本経済新聞朝刊)。忘れられた前衛美術家でプロレタリア美術家の岡本唐貴と入江比呂を紹介している。その「美術史から消えた『労働者』」全文を下に引く…

門田秀雄「瀧口修造論試論『批評も思想ぬきで成り立つ』」

昨日の本欄で紹介したが、先月20日、門田秀雄さんが亡くなった。門田さんは優れた美術評論家だったが、代表作になるべき瀧口修造論は未完のまま終わってしまった。ただ15年前に講演をし、その時のレジュメがあるので、ここにそれを再録して紹介する。 * 200…