2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

雨の中のオープンカー、そしてサンダーバード

以前ホンダVTZ250でオートバイ通勤をしていたとき、帰途にわか雨があった。オートバイでは雨具を着ていても雨がしみてくる。交差点で止まったとき、隣りにオープンカーが並んで止まった。やはり雨具を着ている運転手が、お互い雨は困るよねと話しかけてきた…

アートスペース美蕾樹、そしてアラーキー、空山基

渋谷にアートスペース美蕾樹(ミラージュ)というユニークな画廊があった。オーナーは越生あき子さん、年齢不詳の女性だった。元不忍画廊出身、不忍画廊は羽黒洞から分かれているから、老舗の羽黒洞の孫画廊とも言える。羽黒洞にはジョン・レノンが買い物に…

ブレヒト「三文オペラ」

黒テント(旧称・演劇センター68/71)が好きでもう35年も見続けている。正確には好きなのは脚本家兼演出家の佐藤信なのだ。以前は座長だったがいまはどういう立場なのだろう。佐藤信が演出すれば日劇ミュージックホールへも足を運んだし、オペラも見た。新劇…

空の空、空の空なる哉、すべて空なり

加藤周一は最も好きな著者の一人で、むかし男の子が生まれたら周一と名付けようと思っていた。娘が生まれたので毛沢東の一字をもらって名前を付けたが。ゴダールだって映画「パッション」の中で「毛沢東は偉大な料理人だ、○億人の人民を食べさせている」と言…

晩年の村井正誠と猪熊弦一郎

銀座のS画廊のオーナーと話したことがある。年配の画商で長年現代美術を扱ってきたという。村井正誠の晩年の仕事はどう思われますか? 大先輩なのでつい丁寧語になってしまう。先日聞いた針生一郎・加藤好弘・中沢新一の対談では壇上に3人並んでいて、中沢…

猫の絵は難しい

最初に言ってしまうが、猫の絵は難しい。藤田嗣治は別として、どうしても可愛く描いてしまうから絵としてイマイチになってしまう。ほとんどの猫の絵は気に入らない。 そんな中で二人の画家を推薦する。なぜか二人とも銅版画家だ。まず佐藤恵美さん。彼女の描…

初心者におすすめの料理本

若い頃屋台を引いてラーメンを作っていたのに、ここ40年近く料理することから全く離れていた。それが自分で作らなければならない境遇になって、娘からこの本をみて作るといいよと1冊の本を渡された。奥薗壽子「おくぞの流 簡単 激早 たっぷり野菜おかず229…

国立新美術館の「安齋重男の"私・写・録"1970ー2006」展

国立新美術館で「安齋重男の"私・写・録"1970ー2006」を見る。(2007.9.5〜10.22)1970年から現代美術の現場を撮影し続けた記録写真集、展示された数3,000枚という。すごい量だ。これらを見ると現代美術はもうやり尽くされて新しく加えるものはないのではな…

ポトラッチ

何ていう新聞だったか、読者の俳句が掲載されていた。 母 の 日 や 末 子 が く れ し 長 電 話 末子は中国の上海に住んでいるらしい。海外からの長距離電話は高くついただろう。そんな出費をしてまで長電話してくれたのが嬉しいのだ。 自分のために相手が出…

カラスの記憶力

ベランダに植木鉢を並べてある。と言っても手すりの内側の高いところと床面にそれぞれ10鉢ほどだ。10日ほど前、高いところに置いてあるスミレの鉢の一角が荒らされていた。よく見るとウズラの卵くらいの汚い脂肪の塊みたいなのが鉢を掘り返して半ば埋めてあ…

山本弘の写真

山本さん、写真撮らせてくださいと言うと、それまでシャツ1枚だったのが浴衣に着替えてきた。アパートへ続く坂道の側壁がコンクリートでできていて、そこにツタが絡まっている。その壁の前に立ってここで撮れと言う。この時画家山本弘43歳、1973年の9月だ…

山本弘の作品解説(10)「傘」

山本弘「傘」油彩、F10号(53.0cmx45.5cm) 1976年の飯田市勤労福祉センターでの個展で発表された。1994年京橋の東邦画廊での第1回遺作展に展示され、私の知人が50万円で購入してくれた。絵なんて買うの初めてだと言いながら。「月刊美術」の展評に取り上げ…

山本弘の作品解説(9)「削道B」

山本弘「削道B」油彩、F20号(72.7cmX60.5cm) 昨日紹介した「削道A」とともに、1978年10月の飯田市中央公民館の個展で発表された。同じ削道の題名が付いているが共通性は何だろう。一面に拡がる青は山の木々を表しているのだろうか。分からない。 1995年の…

山本弘の作品解説(8)「削道A」

山本弘「削道A」油彩、F20号(72.7cmX60.5cm) 生前最後の1978年10月の飯田市中央公民館の個展で発表された。題名のAは同じ題名の作品があったため、山本がAとBとした。削道の意味は何だろう。山を削って新しく作った道のことだろうか。左下の不定形は以前紹…

山本弘の作品解説(7)「酒飲む人」

山本弘「酒飲む人」油彩、F20号(72.7cmX60.5cm) 1976年9月の飯田市勤労福祉センターでの個展で発表された。この時山本弘46歳。アル中治療のため入院していた病院をこの年の1月退院し、それから2年間禁酒したという。禁酒のせいか神経がピリピリしていて…

「銀座百点」の無知を笑う

もう古い話だが、銀座のタウン誌「銀座百点」の編集部が昆虫写真家の佐々木昆を引っ張り出して銀座の動植物を調査したことがある。中央通りの植え込みやちょっとした緑地、歩道の一角などで、野草や昆虫を見つけて写真で紹介している。その経緯を対談みたい…

手相は当たるものだ。

私手相を見るのよと画廊のオーナーが言った。掌を見せるとしばらく見ていたが、まあ外国に全然縁のない人ねと言った。手相に出ているわ。そういえば仕事絡みでインドに1回行ったことと、社員旅行でシンガポールに行かされたことがあるだけだ。外国に興味が…

虫えいを歌った短歌

本日の朝日新聞の「朝日歌壇」馬場あき子選のトップが次の短歌だ。 ヒョンノキと呼べる由来の虫こぶの笛を鳴らせり柞(いす)の木の下 作者は長谷川安子さんという名古屋の方。選者の評は「ヒョンノキは、柞の木の別名。葉につく虫瘤を笛にするらしい。昔の…

記憶から抜けていた

オヤジの1周忌のとき、4つ上の従姉から「マサヨシは小さい頃家に来ると1日中本ばかり読んでいたに」と言われた。そうか、本を読んでいたのか。この母の実家へ行くのが好きだった。近所には2つ下の従弟も住んでいたし、祖父母にも可愛がられた。それが小…

学名の疑問にちょっとだけ答える

銀座のタウン誌「銀座百点」の10月号に翻訳者の柳瀬尚紀が「美女遍歴」というエッセイを書いている。その中にフグの学名についてこんなことが書かれている。 ただ、いくつか疑問もわく。ラテン語で学名があり、次に横文字の人名があるのだが、それが括弧内に…

植物学者浅野貞夫の憂鬱

以前「浅野貞夫がなぜ「植物生態図鑑」の刊行を中断したか?」というエントリーを書いた。 http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20070418 浅野貞夫は千葉県立長狭高校の生物の教師をしながら、千葉大学教授沼田真の指導のもとに精密な植物生態図を描き始める。1953…

新語辞典

メガネ:小さな物や遠くの物がよく見える。 ギガネ:菌類などごく小さな物や何kmもの遠くの物がはっきり見える。 テラネ:細菌などの微小な物や惑星などがよく見える。 ペタネ:ウイルスのようにごく微小な物やアンドロメダ銀河のように遠い天体が見える。 …

毛はサービス

二十歳の頃友人たちと詩を書いていた。いい詩を書く友人が3人いた。しかしビートニクな詩を書いていた三木良吉は絵の方に転じ、土方をしていたがその後どうしているか不明だ。G.A.は西友へ入社して言葉から離れた。J.K.も商業施設デザインの方に進み、わず…

国立近代美術館の平山郁夫展を見た

竹橋の国立近代美術館で今やっている平山郁夫展を見てきた。平山をきちんと見るのは初めてだ。人気のある画家でシルクロードを描いたシリーズは中高年のファンが多い。ゆったりと砂漠を行くラクダの隊商が大きな画面に穏やかな色調で描かれている。絵を見て…

写真が呼び起こす触感

岩合光昭の「日本の猫」カレンダーの今月は子猫だ。それもすごく小さい。高い塀の上から何か下の方にあるものを全身好奇心で見入っている。その写真を見て、子猫を抱いたときの紙のように軽い体重、抱き上げた子猫が手足を突っ張ったときの、臨月のカミさん…

伝説のゼロ次元のパフォーマンスが再現された

先月末、伝説のパフォーマンス集団「ゼロ次元」が30数年ぶりに出現した。多摩美術大学で、今まで白黒映画でしか見られなかった「いなばの白うさぎ」が実演されたのだ。 この「芸術とシャーマニズム」と題されたシンポジウムを主宰した小関諒子の趣意書より …

5月のあほうどり

雑誌「Weeklyぴあ」の「はみだしYOUとPIA」に長年投稿していた。掲載総数が160点くらいだった。採用率が約40%だったので、投稿数は400点だったのだろう。多い年は年間に36点採用された。週刊誌だから年に50冊発行される。掲載率は70%だ。ペンネームは「5…

人材を育てることは難しい

職場になかなか賢い後輩がいた。性格も素直で言われたことをきちんと実行する。彼は伸びるだろうと思っていたが上司との組み合わせが悪かった。彼の上司は部下を完全に管理したいタイプで、仕事も自分の決めたとおりにやらせていた。コースを外れることを許…

キャバクラ嬢の時給からロシア人ホステスまで

以前接待で何度かキャバクラへ行った。キャバクラの定義はアルバイトの女子大生がホステスを勤めるクラブというのだったろうか。通常のクラブのホステスと違って彼女たちが若いのだ。同時に隣りに座って酒を飲んでしゃべるくらいで、それ以上のサービスはな…

良い骨董商

以前「良い骨董商の見つけ方」というエントリーを書いた。 (http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20070201) 現代美術の画商さんで私が最も信頼する方が、私も大勢の骨董商を知っているが、信用できる人は2人しか知らない。それ以外の骨董商は決して本当のことを…