人材を育てることは難しい

 職場になかなか賢い後輩がいた。性格も素直で言われたことをきちんと実行する。彼は伸びるだろうと思っていたが上司との組み合わせが悪かった。彼の上司は部下を完全に管理したいタイプで、仕事も自分の決めたとおりにやらせていた。コースを外れることを許さなかった。後輩が素直なやつだからこれまた言うとおりに行動した。上司の割合正確なコピーができあがった。しかしながらコピーはコピーなのだ。オリジナルを越えることはできない。つまり質は劣化するのだ。しかも大した上司ではなかった。結局期待したほど大きく伸びることはなかった。
 千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらずという諺を思い出す。千里を駆ける優秀な才能は珍しくはないが、それを調教する伯楽はなかなかいないのだ。