出版社のコピーの甘さ

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 岩合光昭の『日本の猫』カレンダーは平凡社が発行している。9月は愛知県佐久島の猫だ。キャプションが、次のようになっている。

 

暖かな午後、広場に集まります。あとから来たメスが挨拶します。

 

 これから得られる情報は左側の猫がメスだということくらいだ。ほとんど無意味なキャプションだと思う。私の代案は次のとおり。

 

ごろにゃーん。ふん、見てられねーよ。

 

 以前イラストレーターの斎藤雅緒が、出版社の編集者の色校正は甘いと批判し、広告代理店のアートディレクターの色校正はシビアだと評価していた。出版社の編集者は顧客が読者であり、直接の接触は少ない。校正ミスをしても叱られるのは上司からだ。それに対して広告代理店の顧客はクライアントになり、校正ミスでもすればクライアントの担当者から厳しく詰問され、場合によっては賠償問題にもなりかねないし、以後仕事を失うかもしれない。

 むかし西武デパート錦糸町店を開店したとき、開店バーゲンの広告に200万円のダイヤを校正ミスで20万円と表示してしまった。客が殺到したみたいだが、印刷ミスだとて引き取ってもらった。しかし、どうしても帰らない客が数人いて、閉店後までねばっていた。デパートでは最後に彼らになにがしかを支払い帰ってもらったということがあった。ごね得を狙った客?だったのだろう。

 『日本の猫』カレンダーのキャプションが平凡社という出版社のコピーと思えばゆるく甘いのは仕方ないのかもしれない。