東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」展が開かれている(10月2日まで)。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品展だ。今年は学部4年生が4人、3年生が2人参加している。
4年生の作品から、作家の言葉とともに紹介する。
村越敬太「長い時間をかけて作られた古代の巨大な建造物の美しさなど、大きな作品だからこその魅力や存在感を伝えられるように表現しました」。天井まで届く大きさに圧倒される。
太幡心「この作品では(小さな虫が)互いに寄り合い上に這っていく様子を見せ、視界の片隅に見たどこかへ向かうものの力強さを見つけたいと思っています」。大きな陶作品でありながら軽やかな印象だ。虫を表現しているとは気づかなかったが、そういわれればイモムシがこんな風に這い上っている。
岸明里「規則的に並べていた粒も、地の立体に合わせて不規則になっていく。その揺らぎが人の手で作られた心地よさを与えると思う」。とても魅力的な作品だった。小さな粒々がどこまでも続くのは草間彌生を思わせる。これは女性作家に特有の表現なのだ。男性作家にはあまり見ることがない。女性性/男性性というのは価値判断には関係しない。ミニマルな粒々がどこまでも続くというのは、何か女性の生理的なものと関係するのではないだろうか。
大原未有「造形でしか表せない「わたしのせかい」を表現したい」。大原も岸とは別に女性性が色濃く表れていると思う。
次いで3年生の作品を。
伊藤千尋「この鏡には、邪気を祓い福を招く力がある」。これらは手鏡なのだ。
李智民「これは子ども達がボタンをよりスムーズに楽しく留めるためのボタンです。(……)ボタンの一番上から下にかけてグリム童話のストーリーが記されています」。あまりにも小さな作品で驚いた。
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「たまびやき」
2021年9月27日(月)―10月2日(土)
11:00-18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチューンビル1F
電話03-6265-1889