認知
池谷裕二『自分では気づかないココロの盲点 完全版』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「本当の自分を知る練習問題80」。脳には「認知バイアス」という思考や判断のクセがあるという。それを80項目の質問と答えによって教えてくれる。 デパートの食品…
櫻井芳雄『まちがえる脳』(岩波新書)を読む。櫻井は行動神経科学、実験心理学の専門家。本書で脳の仕組みとコンピュータのそれとはまるで違うということを繰返し主張する。正常に働いているコンピュータは間違えることはないが、脳は間違えるようにできて…
宇宙論・太陽系外惑星の研究者須藤靖が「門前のAI習わぬ経を読む」でAIの支配する世界について書いている(『UP』2023年6月号)。 すでにChatGPTを用いた無料英会話家庭教師のアプリが実現しているらしい。英会話に限らず、外国語学習には福音だ(注2)。…
土屋尚嗣『クオリアはどこからくるのか?』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「統合情報理論のその先へ」。土屋は脳から意識が生まれる仕組みを研究している。私の見ている「青」はあなたの見ている「青」と同じか、違うか? 土屋は色の感覚意識のこと…
幸田正典『魚にも自分がわかる』(ちくま新書)を読む。副題が「動物認知研究の最先端」。ホンソメワケベラという小さな熱帯魚が「鏡に映った自分の姿を見て、それが自分だとわかる」という嘘のような驚くべき研究。 長い間、鏡に映る像を見て自己認知できる…
松尾亮太『考えるナメクジ』(さくら舎)を読む。松尾はナメクジの脳機能の研究者、その長い研究歴から、ナメクジは「論理思考をともなう連合学習」もこなすと断定する。論理思考ができるとは「A=BでB=Cであれば、A=C」といった理屈がわかる、ということです…
今年の大仏次郎賞は内海健の『金閣を焼かねばならぬ 林養賢と三島由紀夫』(河出書房新社)に決まった。現実に金閣寺を焼いた僧とそれをモデルに『金閣寺』を書いた三島由紀夫を比較検討している。 私は本書を読んでいないが、選考委員の田中優子の選評に興…
山鳥重『「気づく」とはどういうことか』(ちくま新書)を読む。山鳥は失行症・失語症・失認症・健忘症などの高次脳機能障害の専門家。臨床の現場から脳の認知について独特の研究をしている。山鳥の『言葉と脳と心』(講談社現代新書)も極めて興味深く読ん…
昨日のブログに人は少ない情報から全体を構成できる能力を持っていると書いた。今日はその反対のことを書いてみる。 アブラムシの分類学者の宮崎昌久さんがかつて動物園協会が発行していた『インセクタリウム』に次のようなことを書いていた。人は犬と猫を一…
昨日のブログに美醜は眼ではなく口の形で決まると書いた。それに対して友人が「説得力ある文章でうなづきそうになった。でも私の場合、マスクを外すとがっかりすることが多いのは何故?」とコメントしてくれた。 私も同じ経験をしている。有名なYou Tuberの…
渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』(中公新書)を読む。1年半ほど前に出た本だが、毎日新聞(中村桂子)と朝日新聞(佐倉統)に書評が載り、昨年8月には、朝日新聞に大きく著者へのインタビューも掲載された。 渡辺はまず意識の神経メカニズムを研究する。ク…
先日新聞に春の叙勲の受章者一覧が載っていた。勲章に格別の興味もないのでそのまま次のページを開こうとしたときに、知っている名前に気づいた。「カジ・ギャスディン」という文字が眼に飛び込んできた。よく見ると「カジ・ギャスディン/(バングラディシ…