2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

山本弘の作品解説(76)「子供」

山本弘「子供」、油彩、F10号(53.0cm×45.5cm) 1976年10月制作。左下に「弘」のサイン。中央に子供が描かれている。浴衣を着ているのだろうか。子供の背景の円が何なのか分からない。円の中が暗く、その外側が明るく輝いているようにも見える。顔の両側に筆…

STEPS GALLERYの吉岡まさみ展を見る

東京銀座のSTEPS GALLERYで吉岡まさみ展が開かれている(7月7日まで)。吉岡は1956年、山形県生まれ。1981年に東京学芸大学教育学部美術科を卒業している。1982年に東京のかねこ・あーとGIで初個展、以来同画廊やときわ画廊、巷房などさまざまな画廊で個展を…

中沢新一・河合俊雄 編『思想家 河合隼雄』を読む

中沢新一・河合俊雄 編『思想家 河合隼雄』(岩波現代文庫)を読む。河合隼雄はユング派の精神分析家。河合俊雄は河合隼雄の息子。中沢と河合俊雄の対談、河合隼雄の論文に、中沢、鷲田清一、赤様憲雄、河合俊雄、大澤真幸の諸論文、それに養老孟司と河合俊…

山本弘の作品解説(75)「(題不詳)」

山本弘「(題不詳)」、油彩、F10号(53.0cm×45.5cm) 制作年不明。サインもなし。おそらく最晩年の作品。1978年か、1979年か。中央下部に薄紫色で不定形の円が描かれている。さらにその中に赤黒い絵具で小さな円が描かれている。その周囲や上方には縦の線が…

会田綱雄「伝説」の本歌が分かった

会田綱雄に「伝説」といういい詩がある。 湖から 蟹が這いあがってくると わたくしたちはそれを縄にくくりつけ 山をこえて 市場の 石ころだらけの道に立つ 蟹を食う人もあるのだ 縄につるされ 毛の生えた十本の脚で 空を掻きむしりながら 蟹は銭になり わた…

ギャラリー川船恒例の「夏期正札市展」が始まった

東京京橋のギャラリー川船で恒例の「夏期正札市展」が始まった(6月30日まで)。作品リストを見れば183点の作品が記載されている。 最も高価なものが長谷川利行のサムホール「お化け煙突を望む風景」が180万円、山下菊二のガッシュ作品が95万円、伊藤久三郎…

佐藤元状『グレアム・グリーン ある映画的人生』を読む

佐藤元状『グレアム・グリーン ある映画的人生』(慶應義塾大学出版会)を読む。グレアム・グリーンは『情事の終わり』や『第三の男』、『権力と栄光』などを書いたイギリスの作家。その作品と映画との関係を描いている。1904年生まれのグリーンは、1930年代…

大岡信・谷川俊太郎『詩の誕生』を読む

大岡信・谷川俊太郎『詩の誕生』(岩波文庫)を読む。1975年に高田宏編集による「エナジー対話」の第1号として発行されたもの。『エナジー』はエッソ・スタンダード石油が発行していたPR誌で高田が編集長だった。私の知人が印刷会社の営業マンとして「エナジ…

橋本治『ぼくたちの近代史』を読む

橋本治『ぼくたちの近代史』(河出文庫)を読む。1987年11月15日に池袋の西武コミュニティ・カレッジで行なった6時間の講演を本にしたもの。講演は間に15分と1時間の2回の休憩を挟んで行ったものだという。午後2時から夜の9時まで一人でしゃべり続けたという…

アートギャラリーこはくの菅谷文雄展を見る

さいたま市大和田町のアートギャラリーこはくで菅谷文雄展が開かれている(6月25日まで)。菅谷は1951年生まれ、八木沼笙子に師事している。1975年よりギャルリーヴィヴァンや木の葉画廊など多くのギャラリーで個展を行ってきた。今回は主に枯れ枝など静物を…

クチナシのアザミウマ

クチナシの白い花が満開で官能的な匂いが漂っている。そのクチナシの花に息を吹きかけると、花の芯から黒っぽい小さな虫がわらわらと這い出してくる。炭酸ガスに反応しているのだろうけれど、まさか口臭に反応しているんじゃないかとちょっとだけ傷ついたり…

『フランシス・ベイコン・インタビュー』を読む

『フランシス・ベイコン・インタビュー』(ちくま学芸文庫)を読む。デイヴィッド・シルヴェスターが9回にわたってインタヴューしたもの。以前筑摩書房より『肉への慈悲 フランシス・ベイコン・インタビュー』として出版されたものの文庫化。1962年から1984…

西郷孤月という日本画家のこと

手元に『孤月研究ノート』という本がある。副題が「西郷孤月没後百年記念」とあって、また「孤月会20年の歩み」とも付されている。2013年に松本市の孤月会が編集・発行となっている。 西郷孤月は知る人が多くない日本画家なのだった。孤月は橋本雅邦の弟子で…

菅原潤『京都学派』を読む

菅原潤『京都学派』(講談社現代新書)を読む。 京都学派は、西田幾多郎が独自の思索で提示した哲学に、田辺元が西洋哲学史の全体を見渡した上での位置づけを試みたことによって成立した。具体的に言えば、西田がほぼ独自の道具立てで「純粋経験」「自覚」お…

“食べられる垣根”ウコギ

読売新聞に「“食べられる垣根”ウコギ」という見出しで女性がおにぎりを差しだしている写真が大きく載っていた(6月10日)。女性の後ろに垣根にしている緑の葉が茂ったウコギが写っている。 新緑の季節、山形県米沢市では、生け垣の低木を剪定する人をよく見…

多田富雄『ダウンタウンに時は流れて』を読む

池田清彦『ぼくは虫ばかり採っていた』を読むと、免疫学者の多田富雄を絶賛していた。とくに『ダウンタウンに時は流れて』(集英社)について、涙が流れそうになる、ほかのどんな業績がなくても、これだけで歴史に残るとまで言っている。 多田富雄が偉大な免…

東京オペラシティアートギャラリーの五木田智央展と収蔵品展「日常生活|相笠昌義のまなざし」を見る

東京オペラシティアートギャラリーで五木田智央展と収蔵品展「日常生活|相笠昌義のまなざし」が開かれている(6月24日まで)。 五木田智央は1969年東京都生まれ。美術館のホームページから、 イラストレーションから出発した五木田智央は、60〜70年代のアメ…

eitoeikoの青秀祐展「弾頭の雨が降る夜に、少年は空飛ぶ夢を見る。」を見る

東京新宿神楽坂のeitoeikoで青秀祐展「弾頭の雨が降る夜に、少年は空飛ぶ夢を見る。」が開かれている(6月30日まで)。青は1981年多摩美術大学絵画学科日本画専攻を卒業し、2015〜2018年には多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻非常勤講師を務めた。2010…

東京大学出版会のT嬢のこと

東京大学出版会のPR誌『UP』に人気エッセイ「注文の多い雑文」が不定期で掲載されている。筆者は東京大学の宇宙物理学者で宇宙論・太陽系外惑星が専門の須藤靖教授。2018年の6月号が「その42」とあるから、もう10年前後連載が続いているのだろう。題名の「注…

ヤン・ヨンヒ『朝鮮大学校物語』を読む

ヤン・ヨンヒ『朝鮮大学校物語』(角川書店)を読む。ヤンは在日2世。映画『かぞくのくに』を監督してベルリン国際映画祭国際アートシアター連盟賞ほかを受賞した。またノンフィクションの『兄 かぞくのくに』(小学館文庫)も書いている。どちらもこのブロ…

長谷川櫂『俳句の誕生』を読む

長谷川櫂『俳句の誕生』(筑摩書房)を読む。長谷川は朝日新聞の俳壇の選者だし、読売新聞に「四季」というコラムを持っていて、毎日俳句や短歌を紹介している。以前伯母の俳句が取り上げられたとき、ここに紹介したことがある。「四季」で紹介したコラムを…

フェイアート ミュージアム ヨコハマの内海信彦展「宇宙山水屏風」を見る

横浜市西口のフェイアート ミュージアム ヨコハマで内海信彦展「宇宙山水屏風」が開かれている(6月16日まで)。内海は1953年生まれ、東京都出身。1974年慶應義塾大学法学部政治学科中退。1975年美学校中村宏油彩画工房修了。1981年多摩美術大学絵画科油画専…

恵口烝明詩集『衛星都市の彼方で』を入手した

40年以上探していた恵口烝明詩集『衛星都市の彼方で』(他人の街社)を入手した。たまたまネットで検索したら神保町の古本屋に在庫があるということで、早速に購入してきた。 この詩集は50年近く前に友人が阿佐ヶ谷の古本屋で見つけたもので、私はそのコピー…

山本弘の作品解説(19)「日だまり」

山本弘の作品を紹介してきたが、晩年の象徴的ともいえる作風に達する前は具象的な作品を描いていた。亡くなる10年ほど前の代表作を再掲したい。 「日だまり」、油彩F50号(天地116cm左右91cm) 制作年不明。1972年の日本アンデパンダン展に出品された。当時…

府中市美術館の長谷川利行展「七色の東京」を見る

東京の府中市美術館で長谷川利行展「七色の東京」が開かれている(7月8日まで)。長谷川について美術館の発行しているパンフレットに簡単に紹介されている。 長谷川利行(はせがわとしゆき、1891-1940)、通称リコウ。京都に生まれ、20代は短歌の道を志し、3…

山本弘の作品解説(74)「窓」

山本弘「窓」、油彩、F10号(53.0cm×45.5cm) 1976年制作。赤黒い夕闇の中に明るい窓が光っている。赤黒く塗られた家の手前、右側によく見ると家と同色で横向きの人が描かれている。人の形の輪郭が描かれ、黒いズボンが描かれ、長靴のような靴が線描されてい…

池田清彦『ぼくは虫ばかり採っていた』を読む

池田清彦『ぼくは虫ばかり採っていた』(青土社)を読む。昆虫学者、進化論学者である池田の様々な発言を集めたエッセイ集。これが面白かった。iPS細胞のもたらす未来とか、クローン人間の未来予想図とか、性の決定が複雑なことなどを話題に取り上げている。…

ロレイン・ゴードン、バリー・シンガー共著『ジャズ・レディ・イン・ニューヨーク』を読む

ロレイン・ゴードン、バリー・シンガー共著『ジャズ・レディ・イン・ニューヨーク』(DUブックス)を読む。副題が「ブルーノートのファースト・レディからヴィレッジ・ヴァンガードの女主人へ」とある。ロレインがその女主人で自分の半生を語り、シンガーが…

ギャラリー21yo-jの前田哲明展を見る

東京等々力のギャラリー21yo-jで前田哲明展が開かれている(6月10日まで)。前田は1961年東京都生まれ、1986年に東京芸術大学彫刻科を卒業し、同年安宅賞を受賞している。1991年同大学大学院博士課程満期修了、1997年に文化庁の在外研修員として1年間ロンド…

山本弘の作品解説(73)「土蔵」

山本弘「土蔵」、油彩、F6号(41.0cm×31.8cm) 1976年制作。右下に「ヒロシ」のサインがある。題名どおり土蔵を描いている。土蔵も何度もテーマに取り上げた。建物をしばしば描いたが、多くは寂しそうな一軒家だった。土蔵も一軒家のバリエーションではない…