“食べられる垣根”ウコギ


 読売新聞に「“食べられる垣根”ウコギ」という見出しで女性がおにぎりを差しだしている写真が大きく載っていた(6月10日)。女性の後ろに垣根にしている緑の葉が茂ったウコギが写っている。

 新緑の季節、山形県米沢市では、生け垣の低木を剪定する人をよく見かける。ガーデニングが流行しているのかと思いきや……。
 「新芽をサッと湯がいて食べるんです」。えっ、食べるんですか? 垣根を!?
 米沢では家の垣根にウコギを用い、葉を食用に供してきた。起源は江戸初期に遡る。初代米沢藩主・上杉景勝に仕え、町の礎を築いた直江兼続は、武士たちにウコギの生け垣を作らせたとされる。さらに、米沢藩の中興の祖・上杉鷹山が奨励したこともあって、伝統食になったのだそうだ。

 そしてウコギを使った郷土料理として、ゆでた葉をみじん切りにしてまぶしたお握り、パリッと揚げた天ぷら、細かく切った新芽を焼きみそとあえた「きりあえ」、他の山菜と一緒にだし汁で味を調えた「冷や汁」などと紹介されている。
 私の出身地長野県飯田地方でも同じように垣根にしているウコギの新芽を春先摘んでおひたしにして食べている。ちょっと歯ごたえがあって苦みのある山菜だ。飯田地方ではこのウコギのことをオコゲと呼んでいる。松本に住んでいた義父に聞いたら松本でもオコゲと呼んでいたという。昔植物学者の浅野貞夫先生に訊ねるとヤマウコギだと教えてくれた。
 ウコギを東京では見たことがない。北陸出身だという飲み屋のママも田舎では食べたわよと言っていた。福島県でも食用にしていたと聞いたことがある。日本全国の食用分布を知りたいものだ。