料理

玉村豊男『料理の四面体』を読む

玉村豊男『料理の四面体』(中公文庫)を読む。東大仏文科を卒業、在学中にフランスへ留学する。料理を研究し、ワインのソムリエでもあり、東御市に住み葡萄を栽培しワインを作っている。 本書は料理について基礎から考察している。というと難しそうだが、若…

開高健『食の王様』を読む

開高健『食の王様』(ハルキ文庫)を読む。「旅に暮らした作家・開高健が世界各地での食との出会いを綴った、珠玉のエッセイ集…」と惹句にある。さすが、みごとな食べ物にまつわるエッセイで、そこらのグルメ本とは一線を画する内容だ。 フランス革命で処刑…

閉店したカフェへのメッセージ

東京神楽坂の少し本通を外れたところに繁茂した植物に覆われた廃屋のような建物があった。近づいて見ると植物はキヅタで、入り口の木のドアが閉まっていてそのドアいっぱいに落書きのような文字が書き込まれていた。それを拾ってみた。どうやらここは「ムギ…

『チコちゃんに叱られる』の解答へのささいな疑義

「なんでお母さんのことを先生って呼んじゃうの?」という質問に対して、チコちゃんの答えは「心の辞書で隣に並んだ言葉だから」というものだった。 東京大学の広瀬友紀教授が「人は自分が覚えた言葉を脳の中に記憶し、使えるように整理していきます。この辞…

プルーン灰色かび病

パックで買ったプルーンの1個にカビが生えていた。これは灰色かび病で、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)によって発生する。灰色かび病菌は多犯性で、様々な作物に寄生する。ブドウや桃、桜桃、ナス、トマト、イチゴ、バラ、その他多くの野菜や花きなど。 …

酒村ゆっけ、『無職、ときどきハイボール』を読む

酒村ゆっけ、『無職、ときどきハイボール』(ダイヤモンド社)を読む。以前、東大教授で、宇宙論・地球系外惑星の専門家須藤靖が朝日新聞の書評欄に、酒村ゆっけ、『無職、ときどきハイボール』(ダイヤモンド社)を紹介していた(4月10日付)。 須藤はテレ…

日本一焼き肉店が多いまち

朝日新聞が長野県飯田市を「日本一焼き肉店が多いまち」と報じている(5月24日夕刊)。「飯田市 マトンもジビエも馬の腸も」と。 人口1万人あたりの焼き肉店数「日本一」――。全国の焼き肉店数ランキングが4月下旬に好評され、長野県飯田市が1位の座を守っ…

ヤギのミルクを飲む

毎日新聞のコラム「今週の本棚・なつかしい一冊」に柚木麻子・選 『ハイジ』=J・シュピーリ作、矢川澄子・訳(福音館書店)が取り上げられている(11月14日付け)。 大人になって一番良かったことは、小さな頃、活字で読んで「これはなんだろう?」と不思…

新珍味のタ―ローメンを食べる

池袋の中華料理店新珍味でタ―ローメンを食べる。タ―ローメンについては店頭の看板に説明がある。 同店が65年の長きに渡りその味を守り続けてきたという、名物《タ―ローメン》は酸味と辛みとニンニクの香りがクセになる、餡かけラーメンです。ラーメンの上に…

高山なおみ『諸国空想料理店』を読む

高山なおみ『諸国空想料理店』(筑摩書房)を読む。吉祥寺にあったエスニック料理の店Kuu Kuu(クウクウ)のシェフだった高山が店で出す料理のレシピとそれにまつわるエピソードを書いている。文章が生き生きしていて、料理も半端なく美味しそう。 初めてペ…

土井善晴『一汁一菜でよいという提案』を読む

土井善晴『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)を読む。土井は著名な料理研究家、その土井が家庭料理に対して一汁一菜でよいと大胆な提案をしている。その一汁一菜とは基本的にご飯に味噌汁に漬物だけのことだ。 毎日3食、ずっと食べ続けたとして…

大八というラーメン店があった

東京六本木に大八という名前のラーメン店があった。地下鉄日比谷線の六本木駅を降りて国立新美術館またはSHOUNANDAI MY ギャラリーへ行くとき、近道で東京ミッドタウン前に斜め左に抜ける小路がある。小路を入ってすぐのところにその大八があった。今は写真…

あこがれの草ボケの酒

画家の山口晃が東京大学出版会のPR誌『UP』に漫画「すゞしろ日記」を連載している。雑誌は月刊誌で連載はこの11月号で116回になる。てことはもう9年を超えているのだ! 雑誌がA5判と小さいのに、その1ページを24コマに割っている。まとめた単行本も羽鳥書…

牛脂注入肉のニュースで思い出した

牛脂注入肉という加工肉の記事が朝日新聞に載っていた(11月14日)。 ほとんど脂のない赤身の肉が、剣山のような機械を通り抜けると、霜降り肉のような姿に変わっていた。その間、わずか1、2分。(中略) 赤身肉の塊がベルトコンベヤーを流れていく。主に…

本当のマテ茶は何か

最近ペットボトルに入ったマテ茶が売られている。これはマテ茶だろうか。マテ茶は南米のマテの葉から作るお茶の一種だ。本当のマテ茶がレヴィ=ストロースの『悲しき南回帰線』(講談社文庫)に紹介されている。ブラジルのマト・グロッソ地方で、 ……日に二度…

糞は食えるか?

若い頃、もう30年以上前になるが、横浜で屋台をしていた。夜、屋台でラーメンを作って売っていたのだ。これはテキ屋の仕事で、大元に組長がいた。その下に代貸しがいて、代貸しが屋台の組織を仕切っていた。その下にわれわれがオヤジと呼んでいた直接の責任…

冷凍うどんを推薦する

東京大学出版会のPR誌「UP」2011年12月号に須藤靖のエッセイ「注文の多い雑文 その17 宇高連絡船のUDON」が載っている。須藤の専門は宇宙論・太陽系外惑星とのこと。「UP」の読者は多いとも思えないし、須藤のエッセイを読む人はさらに少なく、これから紹介…

日の出製麺所のさぬき純生うどん

8月の末頃、銀座のなびす画廊で彫刻展を開いていた香川県在住の作家、藤原慎治さんと話した。話が讃岐うどんのことになって、以前高松出身の知人と高松へ出張したとき、すごくうまい讃岐うどんを食べさせてもらったことを話した。その店は場末の地味な小さ…

場末の酒場、再び

床屋で髪を切ってもらっていたら主人が、この前来られたとき場末の酒場の本を読んでいましたね、あれ面白かったですかと聞いてきた。面白かったですよとと答えると、あの本に立石の「うちだ」は載っていますか? いい店なんですよ。午後の2時から開店するん…

友人宅のナメコ

友人から写真付きメールをもらって、彼の家の裏手で趣味で作っている原木からナメコがたくさんできたという。この写真がそれだが、昨年訪問したときにもらったのがすごく美味しかった。そのことを伝えたら今年もできたと教えてくれた。採りに来ないかと。即…

味の素のいろいろな使い方

9月25日朝日新聞の全面広告で「ためして! AJIテク」という味の素の新しい使い方の紹介が掲載された。一般の消費者から寄せられたものの一部を公開したものらしい。 01.トーストに「味の素」!? チーズトーストをつくる時に、ふりかけて焼きます。コクが出…

飯田市のとんかつ専門店「かつ禅」

飯田市のホテルでこれを書いている。こちらへ来るとたまに行く店がある。とんかつ専門店の「かつ禅」だ。店主が高校のクラブで一緒だった同窓生だ。われわれは天文班(クラブをそう言った)だった。高校にはすばらしい口径6インチ(15cm)の屈折式赤道儀…

カキのバタ焼き

カキフライのメニューを用意している店はそこそこあるが、カキのバタ焼きがある店は少ない。フライだと衣?がある分、カキ自体が大きくなくても量感が出せるし、あるいは数が少なくても恰好がつく。バタ焼きでは大きなカキを使用しなければならないので、必…

激辛が売りの蒙古タンメン

JR亀戸駅近くに激辛の蒙古タンメンを売り物にしたラーメン屋N・・がある。私は2倍の辛さまでしか食べてないが、その上に3倍と5倍がある。辛さに対しては特に不満はない。問題なのはタンメンに入っている大量の野菜だ。これがおいしくない。味が抜けてしま…

塩分摂取に関する娘の講義

父さん、食塩の摂りすぎが良くないことは知ってるよね。大人の男の人で1日標準が10gって言われているけれど、父さんはもう年であまり運動しないから8gを目安にしてね。父さんの朝食はトーストだけだから、お昼と夕飯の2回で8gを摂ると考えると1回4gな…

強烈に臭い発酵食品

雑誌「フェネック」4月号に発酵食品の研究者小泉武夫教授が「発酵食品講座」を書いている。そこで強烈な匂いの食品が3つ紹介されている。韓国の「ホンオ・フェ」とスウェーデンの「シュール・ストレンミング」、そしてイヌイットの「キビヤック」だ。 まず…

湯島の手打古式蕎麦

湯島天神の近くに手打古式蕎麦という蕎麦屋がある。ここはよそでは見られない不思議な蕎麦を出す。蕎麦が真っ黒なのだ。これを大根のしぼり汁に生醤油をかけたもので食べる。聞けば黒いのは甘皮ごとひいているためだという。古い製法なのだそうだ。 これが見…

ワインについて、悪趣味な話

山崎カズヒトさん(id:caesarkazuhito:20090114)がワインについて書いているので、私もワインに関する悪趣味な思い出をちょっと。 昔カミさんと喧嘩したあと、和解したいと思ってワインをプレゼントしたことがある。カミさんは赤ワインの重いのが好きだった…

本陣房の蕎麦

私が2番目に好きな蕎麦屋が新橋の本陣房だ。ここは「せいろもり」と「田舎もり」が基本で、田舎もりは黒くて太くてやや硬い。どちらも670円。せいろと田舎が1枚ずつの二色もりが1,000円だ。久しぶりに二色もりを食べてみたが、私はせいろの方が好きだ。 こ…

自慢の一品

自慢の一品である。何の変哲もないフォークだが。 30年前頃、虎の門のスパゲッティ屋ハングリータイガーに時々行っていた。ここのバジリコが好物だった。オリーブオイルがたっぷり使われていた。このビルの上には「室内」を発行していた工作社があった。工作…