2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

青柳いづみこ『パリの音楽サロン』を読む

青柳いづみこ『パリの音楽サロン』(岩波新書)を読む。副題が「ベルエポックから狂乱の時代まで」。カバーの紹介文を引く。 コンクールがなかった19世紀から20世紀初頭、音楽サロンの女主人は芸術家たちを支援し、彼らはサロンから世に出ていった。時代が進…

梅野記念絵画館の山本弘展のちらし

東御市梅野記念絵画館での山本弘展「All is vanity. 虚無と孤独の画家――山本弘の芸術」のちらしが届いた。会期は2023年9月9日(土)―11月26日(日)のほぼ2カ月半という長期間。そのちらしから、 信州飯田で生涯の大半を過ごし、51歳で自死した異色画家、…

開高健『食の王様』を読む

開高健『食の王様』(ハルキ文庫)を読む。「旅に暮らした作家・開高健が世界各地での食との出会いを綴った、珠玉のエッセイ集…」と惹句にある。さすが、みごとな食べ物にまつわるエッセイで、そこらのグルメ本とは一線を画する内容だ。 フランス革命で処刑…

中央公論新社 編『対談 日本の文学 作家の肖像』を読む

中央公論新社 編『対談 日本の文学 作家の肖像』(中公文庫)を読む。1960年代の後半に中央公論社から『日本の文学』全80巻が刊行された。その月報の対談を編集したもの、全3巻の最終巻。25篇が収録されている。この巻が一番面白かった。 柳田国男と折口信…

トキ・アートスペースの加山隆展を見る

東京外苑前のトキ・アートスペースで加山隆展が開かれている(7月30日まで)。加山は1963年長野県飯田市生まれ、1989年に愛知県立芸術大学美術学部油絵科を卒業している。1990年から1993年にかけてドイツに滞在し、1991-1992年にドイツカッセル大学自由芸…

ギャラリーN神田社宅の濱田路子展を見る

東京神田のギャラリーN神田社宅で濱田路子展が開かれている(7月29日まで)。濱田は1985年東京都生まれ、2010年多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻を卒業し、2012年同大学院美術研究科絵画専攻版画領域を修了している。2011年に初個展、その尾後ギャラリ…

ギャラリー58の中内亜由美展を見る

東京銀座のギャラリー58で中内亜由美展が開かれている(8月5日まで)。本展は7つの画廊が共同企画している「画廊からの発言 新世代への視点2023」のひとつ。中内は1985年福井県生まれ、2009年に福井大学教育地域科学部を卒業し、2011年に金沢美術工芸大学…

コバヤシ画廊の福濱美志保展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で福濱美志保展が開かれている(8月5日まで)。本展は「画廊からの発言 新世代への視点2023」の一環。福濱は1992年東京生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻を卒業している。2018年にcafé*lampで初個展、その後…

「画廊からの発言 新世代への視点2023」が始まる

東京銀座・京橋を中心とする現代美術の画廊が共同主催する「画廊からの発言 新世代への視点2023」が明日より始まる。これは7軒の画廊が推薦する40歳以下の若手作家7人の個展だ。現代美術の代表的な貸画廊が選んだ作家たちだから見逃せない重要な企画で、7…

ツバメの子殺し

マンションの玄関前にツバメの雛が落ちていた。当然もう死んでいる。3年ほど前にも同じことを体験して調べたので知っている。これはツバメの子殺しだ。「バードリサーチ ツバメ図鑑」に子殺しについて次のような解説がある。 ツバメの巣は無傷のまま、中の…

国立新美術館の蔡國強展を見る

東京六本木の国立新美術館で蔡國強展が開かれている(8月21日まで)。蔡は1957年中国生まれ、1986年から9年間日本で過ごし、1995年からはニューヨークで活動している。蔡について、美術館のホームページには、つぎのように解説されている。 1957年末に中国…

養清堂画廊の辻元子展を見る

東京銀座の養清堂画廊で辻元子展が開かれている(7月22日まで)。辻は1997年女子美術大学洋画専攻を卒業し、1999年に東京芸術大学大学院版画専攻を修了している。1997年から版画協会展に出品し、その年山口源新人賞を受賞していて、2005年に会員となる。199…

石畑由紀子『エゾシカ/ジビエ』を読む

石畑由紀子『エゾシカ/ジビエ』(六花書林)を読む。石畑は1971年北海道帯広市生まれ、初め自由詩を書いていたが、30代後半になって短歌を詠み始めたという。本書が第1歌集となる。 恋愛は人をつかってするあそび 洗面台に渦みぎまわり ゆびさきでのぼりつ…

eitoeikoの本間純展を見る

東京矢来町のeitoeikoで本間純展「Now and Things」が開かれている(7月22日まで)。本間は1967年東京生まれ、1990年多摩美術大学卒業、2019年文化庁新進芸術家海外研修制度特別研修員としてベルリンに派遣される。 DM葉書の文章を引く。 インターネットやA…

コバヤシ画廊の渋谷和良展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で渋谷和良展が開かれている(7月22日まで)。渋谷は1958年東京生まれ、1981年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業し、1983年に同大学大学院美術研究科版画専攻修士課程を修了している。2002年から1年間、文化庁在外派遣研修員として…

斎藤美奈子『出世と恋愛』を読む

斎藤美奈子『出世と恋愛』(講談社現代新書)を読む。副題が「近代文学で読む男と女」。 斎藤の視点はいつも皮肉で辛辣で面白い。 最初にいっておくと、近代日本の青春小説はみんな同じだ。「みんな同じ」は誇張だが、そう錯覚しても仕方ないほど、似たよう…

今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』を読む

今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』(中公新書)を読む。副題が「ことばはどう生まれ、進化したか」。 初めにオノマトペを考えていく。オノマトペとは、ドロドロとか、ジャンジャンとか、ゲラゲラのような擬音語、擬態語などを指すことば。オノマトペは「感…

村上靖彦『客観性の落とし穴』を読む

村上靖彦『客観性の落とし穴』(ちくまプリマ―ブックス)を読む。 大学の授業で学生から「先生の言っていることに客観的な妥当性はあるのか」と質問されることがあるという。村上は、「客観性」「数値的なエビデンス」は、現代の社会では真理とみなされてい…

hpgrpギャラリー東京の江頭誠展を見る

東京表参道のhpgrpギャラリー東京で江頭誠展「四角い花園」が開かれている(7月15日まで)。江頭は1986年三重県生まれ、2011年に多摩美術大学美術学部彫刻学科を卒業している。2015年に岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞、今回その受賞作「神宮寺宮型八棟造」…

ギャラリーSAOH & TOMOSの東真里江個展を見る

東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで東真里江個展が開かれている(7月15日まで)。東は1991年長崎県生まれ、2012年に佐世保市看護専門学校を卒業している。2017年より独学で絵を描き始める。と、履歴にはこうあったが、画家から油彩の技法の基礎を学んだ…

唐沢孝一『都会の鳥の生態学』を読む

唐沢孝一『都会の鳥の生態学』(中公新書)を読む。副題が「カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰」というもの。唐沢は都会の鳥=都市鳥について半世紀以上にわって観察してきたという。その長年の研究実績から具体的なエピソードが満載されている…

ギャラリーなつかの須貝芽生銅版画展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで須貝芽生銅版画展が開かれている(7月19日まで)。須貝は2000年山形県生まれ、2023年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻を卒業している。2022年にカフェギャラリーで初個展、今回が2回目の個展となる。 須貝は具象的な…

PARCELの森靖展を見る

東京日本橋馬喰町のPARCELで森靖展が開かれている(7月11日まで)。森は1983年愛知県生まれ、2009年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻を修了している。2010年に山本現代で初個展、PARCELでは2020年に続いて2回目の個展となる。相変わらず巨大…

ガルリSOLの川島史也展を見る

東京銀座のガルリSOLで川島史也展が開かれている(7月15日まで)。川島は1989年栃木県足利市生まれ、2012年宇都宮大学教育学部美術教育専攻を卒業し、2019年筑波大学大学院人間総合科学研究部博士後期課程芸術専攻を修了している。2019年に茨城県のギャラリ…

ギャラリーアビアントの石山修武・深沢軍治展を見る

東京吾妻橋のギャラリーアビアントで石山修武・深沢軍治「まだまだ変わる展」が開かれていた(7月5日まで)。石山は1944年生まれの著名な建築家、またギャラリーせいほうでしばしば美術作品の個展を開いている。深沢は1943年山梨県生まれ、1971年に東京芸…

Stepsギャラリーの吉岡まさみ展を見る

DM葉書 東京銀座のStepsギャラリーで吉岡まさみ展「chain breaker」が開かれている(7月15日まで)。吉岡は1956年、山形県生まれ。1981年に東京学芸大学教育学部美術科を卒業している。1982年に東京のかねこ・あーとGIで初個展、以来同画廊やときわ画廊、巷…

ギャルリー東京ユマニテbisの今実佐子展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで今実佐子展が開かれている(7月8日まで)。今は1991年東京都生まれ、2014年に筑波大学芸術専門群総合造形領域を卒業し、2016年同大学大学院総合科学研究科博士前期課程を修了している。2014年につくば市で初個展、都…

ギャラリーなつかの狩野涼風展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで狩野涼風展「-asobi-」が開かれている(7月8日まで)。狩野は1998年東京都生まれ、2021年東海大学教養学部芸術学科美術学課程を卒業し、2023年同大学芸術学研究科造形芸術専攻を修了している。学外での個展は初めてとなる。 …

ギャラリー川船恒例の「夏期入札展示会」が始まった

東京京橋のギャラリー川船で恒例の「夏期入札展示会」が始まった(7月8日まで)。 入札の方式は「二枚札方式」、これは入札カードに希望価格の上値(上限)と下値(下限)の二つの価格を書いて入札するもの。他に入札者のない場合は下値で落札する。上値が…

岡野原大輔『大規模言語モデルは新たな知能か』を読む

岡野原大輔『大規模言語モデルは新たな知能か』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「ChatGPTが変えた世界」、まさに今話題のチャットGPTを取り上げたものだ。チャットGPTは2022年11月に登場し、公開から2か月間で全世界の月刊利用者が1億人に達した極…