東京外苑前のトキ・アートスペースで加山隆展が開かれている(7月30日まで)。加山は1963年長野県飯田市生まれ、1989年に愛知県立芸術大学美術学部油絵科を卒業している。1990年から1993年にかけてドイツに滞在し、1991-1992年にドイツカッセル大学自由芸術科で学んでいる。1989年飯田市美術博物館市民ギャラリーで初個展、以来ドイツのギャラリーなどで個展を繰返し、2003年からはここトキ・アートスペースでもう15回個展を続けている。
加山は毎日描いている。そしてその画面をサンドペーパーで削っている。加山の作品は明確な形態が描かれていないように見える。描いたものを繰返し削っているからか。写真では分かりにくいが、画面には微かな筆触が残っている。描いて削ってその繰り返しによって残ったわずかな痕跡が加山の作品なのだ。
毎日描いては削る。残るのはわずかな痕跡だ。禁欲的ともシジフォスの行為とも言い得るかもしれない。以前は画面に小さな点が残されていた。今回はそれもほとんど残っていない。加山の進化はどこに向かっているのだろうか。
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加山隆展
2023年7月25日(火)-7月30日(日)
12:00-19:00(最終日は17:00まで)
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トキ・アートスペース
東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F
電話03-3479-0332
http://tokiart.life.coocan.jp/