東京外苑前のトキ・アートスペースで小林花子展が開かれている(4月28日まで)。小林は1971年東京都生まれ、1995年武蔵野美術大学彫科を卒業し、1997年愛知県立芸術大学大学院美術研究科を修了している。その後トキ・アートスペースでもう10回個展をしている。
画廊の手前の空間には天井から床まで白い糸が垂直に下ろされている。その数は100本ほど。白い糸は生糸を撚った紬糸とのこと。床には細い柱みたいな木柱が立てられている。その表面に白い模様が描かれていると思ったが、紬糸を張っている。
たくさんの糸の林を通りぬけて奥の空間に行くと、6枚の古材の板が並べられており、その板の表面に模様のように紬糸がステッチされていて(ステッチの言葉の使い方これでいいのかな?)、それが華やかに古材を彩っている。
それらは古い民家に使われていた古材の記憶とか古材の霊魂とかを紬糸によって具現化しているかのようだ。どこかアニミズムにも通じるような。古材が紬糸によって装われて再生したかのように。
少なくともトキ・アートスペースという空間が〈空虚〉という語の反対語としての〈充実〉した空間に変わっている。興味深いインスタレーションだ。
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小林花子展「山際にふれる」
2019年4月15日(月)-4月28日(日)
12:00-19:00(最終日17:00まで)水曜日休廊
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東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F
電話03-3479-0332
http://tokiart.life.coocan.jp/
地下鉄銀座線外苑前駅から徒歩5分ほど