2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧
丸谷才一が「月とメロン」(文春文庫)で百目鬼恭三郎の「現代の作家101人」(新潮社)を取り上げて、「いかにもこの筆者らしいヅケヅケした筆致、大胆不敵な書きぶりで、しかしツボはキチンと押さへて書いてゐて、玄人筋には好評でありました」と書いていた…
赤瀬川原平「個人美術館の愉しみ」(光文社新書)がおもしろかった。類書の少なくない分野だが、それらのガイドブックとは、ブタと真珠、猫と小判ほども違う。芥川賞を受賞した人だから文章がうまい。本業が美術家だから絵に対する見どころが違う。東海道新…
銀座2丁目のメグミ・オギタ・ギャラリーで金子國義展が開かれている(11月6日まで)。金子は1936年埼玉県生まれ、日大芸術学部を卒業後、独学で油絵を描き始める。澁澤龍彦を知り、また唐十郎の状況劇場の舞台美術を手がけ役者として出演もする。画集「ア…
京橋のブリジストン美術館で野見山暁治展が始まった(12月25日まで)。今秋いちばんの楽しみだ。銀座6丁目のみゆき画廊でも11月に個展が予定されている。京橋のK'sギャラリーでは今週の月曜日から「野見山暁治水彩画展」が始まっている(12月24日まで)。 …
今日は友人Kの25年目の祥月命日だ。半年ほど前にKの眠る飯田市の正永寺へ参ったら、Kの木の墓標が倒れていた。24年たてば木は腐るのだ。いや、立派な石塔にすべきだなんて言うつもりはこれっぽっちもない。立派な墓石は遺族の虚栄心にすぎない。それは死者と…
銀座3丁目のコバヤシ画廊で野沢二郎展[水面の陰翳]Shadows on Water surfaceが開かれている(10月29日まで)。野沢は茨城県生まれ、今年53歳になるという。1982年に筑波大学大学院を修了している。これまで「VOCA展'97」や同年の「バングラディシュ.アジ…
中沢新一「日本の大転換」(集英社新書)を読む。2度読む。新書でわずか156ページの薄さ、著者もあとがきで「このパンフレット」と言っている。しかし何という重い本だろう。本書のテーマは東日本大震災とその結果起こった福島第一原発の事故をめぐって日本…
ベランダの鉢植えの野菊の葉が黒ずんでいる。ルーペで見ると赤い小さな粒々が見える。これはハダニだ。葉を加害するので葉ダニ、動物には寄生しない。だが植物にとっては大敵で、大量に発生すると葉が黒ずんだり、逆に白っぽくなったりする。当然生育にも影…
安西祐一郎「心と脳−−認知科学入門」(岩波新書)を読む。安西は2年前まで慶應義塾の学長だった。「まえがき」で、 心のはたらきにかかわる現象を、伝統的な学問分野や文系理系医系の区分にとらわれず、「情報」の概念をもとにして理解しようとする知的営み…
日本橋堀留町のギャラリーunseal contemporaryで中田いくみ展「かもめについて」が開かれている(10月29日まで)。中田いくみは1982年生まれ、成城大学で学んだ後、バンダイビジュアル研究所でイラストレーションを専攻した。DMはがきのテキストから、 今思…
山本弘「青年」油彩、およそM25号(79.8cmx54.7cm) 1968年の飯田市中央公民館での個展で発表された。何を隠そう、この絵のモデルは20歳の時の私だ。横向きにも見えるが、おそらく正面を向いている顔なのだろう。10年ほど前、勤めていた会社の女性にこの絵の…
川本耕次「ポルノ雑誌の昭和史」(ちくま新書)を読む。昭和史とはいうものの、戦後のカストリ雑誌に少し触れているくらいで、実質的には1970年代以降の歴史が取り上げられている。 ポルノ写真雑誌の最初は一般の書店で販売されることのない、いわゆる通販本…
ギャラリイKで開かれている「表現される現在2011−ゼロイスト3.11」という企画展は、企画・主催がTSA ANNUAL 2011実行委員会となっている。これは斎藤義重が校長をつとめた東京芸術専門学校(TSA)の卒業生有志によって企画されているグループ展で、もう十数…
4年前、発行されたばかりの時に買っておいた大野晋「日本語の源流を求めて」(岩波新書)をやっと読んだ。日本語の源流に南インドのタミル語が深く影響しているという著者の主張が何だか信じられないような気がしていて、それでなかなか手に取る気になれな…
長野県の飯田市美術博物館で企画展「室内の絵画−静物と人物−」が開かれていて、山本弘の作品が14点も展示されている。会期は11月20日まで。山本のほかは、正宗得三郎7点、須山計一と吉川安雄が2点ずつ、清水監、今村泰造、菱田武夫、勝野睦人が1点ずつ。…
丸谷才一のエッセイ集「月とメロン」(文春文庫)を読んだ。雑誌「オール讀物」に連載したものだ。ちょっと軽いが蘊蓄が深くて気ままな読書にぴったりだ。例によって、おもしろいところをつまみ食いすると、 百目鬼恭三郎に『現代の作家一○一人』という本が…
司馬遼太郎「街道をゆく 12 十津川街道」(朝日文庫)を読み直す。今回28年ぶりに読み直そうと思ったのは、奈良県十津川渓谷が台風による大雨の被害を受け、大きな土砂災害がニュースで報じられたからだ。十津川は以前司馬遼太郎が「街道をゆく」で旅してい…
「ショウボート昭和」というLPレコードを持っている。劇団黒テントが黒色テント68/71と名乗っていた頃、今から30年以上前に劇団から直接買った。ジャケットから、 黒色テント68/71は、1975年(昭和50年)1月より、佐藤信作、演出による「喜劇昭和の世界」三…
東京都中央区堀留町のギャラリー人形町VISION'Sで「FACE Vol.1」が開かれている(10月22日まで)。小林ひとしが企画して、小川佳夫、沓澤貴子、平井正義、吉川民仁の4人が取り上げられている。3人が1960年代生まれなのに対して、沓澤貴子は1971年静岡生ま…
東京銀座6丁目のみゆき画廊で村上潔=あきびんご展が開かれている(10月15日まで)。村上は1948年、広島生まれ。絵本作家としてあき びんごの名前も持っている。出身の安芸・備後から採ったという。くもん出版から発行された「したのどうぶつえん」は評判が…
西原理恵子の「上京ものがたり」(小学館)のあるエピソードを見たくてパラパラめくっていたが、結局また始めから読み直してしまった。西原の人間観察は本当に鋭い。 「私」は四国の田舎から上京し美大に入学するが、学費や生活費を稼ぐために歌舞伎町で水商…
三越前にあるギャラリー砂翁とギャラリートモスで開かれている及川伸一展がとても良い。及川は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、…
地下鉄車内の額面広告(窓の上の広告)に葬儀社のポスターが貼られている。キャッチコピーが、 「誕生日を祝ってあげたかった…」そんな 娘さんの想いから生まれたお別れの時間でした。 と書かれている。 そしてボディーコピーがつづく。 急逝されたお父様の…
近所で秋の花が咲いている。 彼岸花、別名曼珠沙華(マンジュシャゲ)、山口百恵はマンジュシャカと歌った。作詞は阿木燿子。友人が住む高麗では巾着田の彼岸花が満開だろう。 秋桜(コスモス)、これも山口百恵が歌っている。作詞はさだ まさし。 萩、秋の…
東京京橋の青樺画廊で圓田奈都美展が開かれている(10月8日まで)。圓田は1988年愛知県生まれ、今年多摩美術大学日本画専攻を卒業している。今回が初個展だ。写真の作品はS100号、ほぼ162cm四方の大きさだ。 少女が向こうを向いてしゃがみこんでいる。赤い…
東京銀座2丁目のギャラリー零∞(zero hachi)で吉田理沙展「a little vanishment」が開かれている(10月13日まで)。吉田は1985年東京都生まれ、現在多摩美術大学大学院彫刻科2年に在学中。 作品は既成のコンクリート板を小片の矩形に切断し、着色して並べ…
駅ビルのスーパーに缶詰のコーナーがある。そのかに缶のコーナーには商品が置いてない。そこにはカードが立てられていて「ご希望のお客様は、お気軽にスタッフまでお申し付けください」と書かれている。 その商品を見てみると、 1,995円 日本海名産 かに脚肉…
10月10日、軽井沢に千住博美術館が開館する。それを記念して銀座の永井画廊で「軽井沢千住博美術館 開館記念展」が開かれている(10月21日まで)。千住は1958年東京都生まれ、1982年東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業している。1995年ヴェネツィア…
東京渋谷区代官山にあるパーソナルギャラリー地中海でさとう陽子新作展が始まった(10月15日まで)。さとうは1958年東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。また平…
東京台東区浅草橋の画廊マキイマサルファインアーツで麻生志保展[Re]が始まった(10月11日まで)。麻生は1978年東京生まれ、2003年に武蔵野美術大学日本画科を卒業している。初個展を2003年にギャラリー銀座フォレストで行ったのを皮切りに、銀座のぎゃらり…