優れた才能に出会う喜び、圓田奈都美展

 東京京橋の青樺画廊で圓田奈都美展が開かれている(10月8日まで)。圓田は1988年愛知県生まれ、今年多摩美術大学日本画専攻を卒業している。今回が初個展だ。写真の作品はS100号、ほぼ162cm四方の大きさだ。

 少女が向こうを向いてしゃがみこんでいる。赤い服に飛行機の柄があり、それ(飛行機)が周辺の空間に流れ出している。左上に葡萄の葉みたいなのが描かれており、中央下方にネコジャラシが描かれていて、それが少女の足の裏にまで達している。中央上から塔のようなものが倒立しているように見えるので作家に聞くと東京タワーだという。
 何という繊細な作品だろう。一見してきわめて優れた作品だと思った。圓田はこれをあまり考えることなくさらさらと描いている。感覚=センスが優れているのだ。このような優れた才能が生まれている現場に立ち会えるので画廊回りはやめられない。
 学校での評価はどうだったかと聞くと、良くなかったという。なぜか? 先生が岡村桂三郎だというので納得した。画風が真逆なのだ。山口晃も芸大では先生に劇画みたいだと言われ、級友たちからはイラストみたいだと言われていた。
 作品の値段を聞くとびっくりするような安いことを言う。今まで売ったことが一度もない。おそらく早々にどこかの画廊の専属になるのではないか。今週、ここ京橋で優れた作家が誕生した。
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圓田奈都美展
2011年10月3日(月)〜8日(土)
12:00〜19:30(最終日は〜17:00)
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青樺画廊
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビル3階
電話03-6856-2006
http://key-seika.cool.ne.jp/
地下鉄銀座線京橋駅より徒歩2分
警察博物館INAXビルの間を入った右手
昔のギャラリー山口、アートスペース羅針盤の隣のビル