東京京橋のギャラリイKで葉緑素為吉展「からっぽ」が開かれている(2月19日まで)。画廊の中央に透明なコップ(グラス)が丸く集められて置かれている。グラスは市販のもので、中はからっぽ、下部に20色くらいのテープが巻かれている。グラスはちょうど100個。何の工夫もなくただ丸く置かれているように見える。
画廊の広さは約30平米、その中央に1平米ほどのスペースでグラスが置かれている。ふつう作品ならそれなりに展開して置くとか、造形的に美しく置くとか、少なくともこんな風にぶっきらぼうに設置することはないだろう。
すると、そのぶっきらぼうさがキモなのだろう。工夫の跡を示さない。一見日常的な様相を示している。だが、ここは画廊だ。日常的な風景ならそれは大きな違和感を示すだろう。
作品としての完成度に対する否定としての作品と捉えるべきなのかもしれない。まともな作品に対する否定としての作品なのだ。便器を作品として展示したデュシャンの作品の系譜に連なるのだろうか。
葉緑素為吉はそれを声高ではなく、気負い立つことなく、しれっとして展示している。それもすごいことだ。
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葉緑素為吉展「からっぽ」
2022年2月14日(月)―2月19日(土)
11:30-18:30(土曜日は17:00まで)
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
電話03-3563-4578