2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

キダチチョウセンアサガオが咲いている

キダチチョウセンアサガオが咲いている。別名エンジェルトランペットとかダチュラとか呼ばれる。主に地下茎から抽出した成分は、聴覚性幻覚・急性痴呆・行動異状を引き起こすという。植松黎の「世界の毒草」に詳しい記述がある(『一冊の本』2017年8月号)。…

笹井宏之歌集『ひとさらい』を読む

笹井宏之歌集『ひとさらい』(書肆侃侃房)を読む。笹井宏之はWikipediaによれば、「15歳の頃から身体表現性障害という難病で寝たきりになり日常生活もままならず」、「2005年に「数えてゆけば会えます」で第4回歌葉新人賞を受賞。2007年、未来短歌会入会、…

ギャラリーN神田社宅の江口暢彌展を見る

東京神田のギャラリーN神田社宅で江口暢彌展「ニアリーイコール?ノットイコール?」が開かれている(5月29日=今日まで)。江口は1997年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了している。もともとは日本画を学んでいた。5年前からスペインに渡り、スペイン…

櫻木画廊の中津川浩章展「線を開放する」を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で中津川浩章展「線を開放する」が開かれている(6月6日まで)。中津川は1958年静岡県生まれ。和光大学で学び、個展をギャラリイK、パーソナルギャラリー地中海などで数回ずつ開き、その他、ギャラリーJin、ギャラリー日鉱、マキイ…

鈴木真砂女『鈴木真砂女』を読む

岩合光昭カレンダー『日本の猫』の5月25日の項に「卯波立つ」とあった。卯波は『広辞苑』によれば、「卯月(陰暦4月)のころに海に立つ波。卯月波。〈季・夏〉。」とある。卯波と言えば、東京銀座の京橋に近い路地にその名前の小料理屋があった。並木通りに…

日本一焼き肉店が多いまち

朝日新聞が長野県飯田市を「日本一焼き肉店が多いまち」と報じている(5月24日夕刊)。「飯田市 マトンもジビエも馬の腸も」と。 人口1万人あたりの焼き肉店数「日本一」――。全国の焼き肉店数ランキングが4月下旬に好評され、長野県飯田市が1位の座を守っ…

テーブルヤシの丈詰め

ここに2枚の写真がある。1枚目の写真は子猫がバードウォッチングをしている。2枚目の写真は子猫もインコもいない。どちらにも共通しているのがテーブルヤシだ。 この子猫は4年前に18歳で亡くなっている。子猫はおそらく2000年に撮影したものだろう。2枚目の…

版画偽造事件のその後

読売新聞に「偽版画100点超押収」「大量流通 押印・紙質異なる」「巨匠の作品多すぎる」「業界団体 大阪の画商追及」との記事が1面と27面に載った(2021年5月23日付)。 1面 27面 27面つづき 昨年12月に大阪の画商から多数の版画が押収され、平山郁夫、東山…

ギャラリーアビアントの高橋理和展「軽さについて」を見る

DM葉書 東京吾妻橋のギャラリーアビアントで高橋理和展「軽さについて」が開かれている(5月30日まで)。高橋は1953年京都府舞鶴市生まれ、1972〜73年にスペインマドリッドプラド美術館において模写の勉強をしている。1977年東京造形大学美術学部油絵科卒業…

ギャラリー枝香庵の田端麻子展を見る

DM葉書 東京銀座のギャラリー枝香庵で田端麻子展が開かれている(5月30日まで)。田端は1972年神奈川県藤沢市生まれ、1996年に多摩美術大学油画専攻を卒業している。2年ぶりの個展だという。 いつも通りに平面作品のほかに立体作品を展示している。1センチ…

ギャラリー58の「アヴァンギャルド・ポスター・コレクション」を見る

東京銀座のギャラリー58で「アヴァンギャルド・ポスター・コレクション」が開かれている(5月22日まで)。展示されている戦後の前衛美術を代表する作家たちは、赤瀬川原平、秋山祐徳太子、池田龍雄、篠原有司男、ゼロ次元、中村宏、三木富雄、吉野辰海らだ…

牧野信一「西瓜喰ふ人」を読む

牧野信一の短篇小説「西瓜喰ふ人」を読む。牧野は明治29年生まれで、昭和11年に39歳で自死している。私小説の作家であまり関心を持たなかった。しかし、大江健三郎と古井由吉が対談『文学の淵を渡る』(新潮文庫)で牧野を絶賛している。牧野をとびきりの名…

山内薫『本と人をつなぐ図書館員』を読む

山内薫『本と人をつなぐ図書館員』(読書工房)を読む。山内は東京都墨田区立図書館に40年以上勤務し、一貫して障害者サービス、子どもへのサービスを担当してきた。本書出版の頃は、高齢者や知的障害者へのサービスを積極的に行っている、と略歴にある。 肢…

小沼純一『武満徹逍遥』を読む

小沼純一『武満徹逍遥』(青土社)を読む。内容によく沿ったタイトルだと思う。武満徹に寄り添った散歩。360ページを超える本書に33編の武満に関するエッセイ。武満徹という作曲家を巡る何とも薄味の評論集。小沼を読むのは初めてなので略歴を見る。「1959年…

吉本隆明『夏目漱石を読む』を読む

吉本隆明『夏目漱石を読む』(ちくま文庫)を読む。吉本が1990年から1993年にかけて4回にわたって講演したものに手を入れたものだという。基本、これが講演録なのでとても分かりやすい。漱石の個々の作品について丁寧に語っている。教えられることが多かった…

eitoeikoの「桜を見る会」を見る

DM葉書 東京神楽坂のeitoeikoで「桜を見る会」が開かれている(5月29日まで)。はじめ5月15日までだったが、コロナ禍でいったん中断し、5月12日から29日まで会期を延長した。 出品している作家は、岡本光博、中村洋子、古屋郁、本間純、アハメッド・マナン…

ギャルリー東京ユマニテの野田裕示展「100の庭」を見る

DM葉書 東京銀座のギャルリー東京ユマニテで野田裕示展「100の庭」が開かれている(5月29日まで)。野田は1952年和歌山県生まれ、多摩美術大学を卒業した翌年すでに伝説の南画廊で個展を開いている。その後ギャルリー東京ユマニテで個展を繰り返してきた。2…

藍画廊の今道子展を見る

DM葉書 東京銀座の藍画廊で今道子展が開かれている(5月22日まで)。今は1955年、神奈川県鎌倉市生まれ。1978年、創形美術学校版画科卒業後、東京写真専門学校を中退。1991年、第16回木村伊兵衛写真賞を受賞している(以上Wikipediaより)。 今は生の魚を使…

山梨俊夫『風景画』を読む

山梨俊夫『風景画』(集英社)を読む。副題が「テーマで見る世界の名画」として、68点の‘名画’を山梨俊夫が解説している。 全体が3部に分かれ、「自然と都市」「物語の舞台」「想像の構成」となっている。「自然と都市」では1世紀の古代ローマから始まるが、…

ノイバラが咲いている

JR総武線亀戸駅前の植え込みにノイバラが咲いている。ノイバラは野生種の地味なバラで、普通わざわざ植栽されることはない。ましてや、駅前の植え込みは専門の業者が管理しているだろう。なぜにわざわざこんな一等地に野生のバラなんかを植えているのか。 も…

吉田秀和『ブラームス』を読む

吉田秀和『ブラームス』(河出文庫)を読む。吉田秀和は2012年に98歳で亡くなるまで長年にわたって音楽評論を書き継いできた。それらは時々の新聞雑誌に掲載され、出版された書籍も数多く、さらに全集も発行されている。本書は、吉田が発表してきたブラーム…

海外の長篇小説ベスト100から

少し古いが雑誌『考える人』が海外の長篇小説ベスト100を特集していた(2008年春号)。このテーマなら13年前だがあまり古びてはいないだろう。これがなかなか興味深い。 129人の作家や批評家など、さまざまな書き手129人にアンケートを依頼し、各人のベスト1…

10年前の安齊重男展「絵画試行」について

DMハガキ 今から10年前の2011年に東京銀座のギャラリー現で安齊重男展「絵画試行」が開かれた。安齊は、「現代美術の伴走者」を自称し、国内外の現代美術の現場を写真によって記録してきた(wikipediaより)。2007年には、国立新美術館で大規模な「安齊重男…

クルミの詩

娘が殻付きクルミを買ってくれた。殻付きクルミを見ると山内薫の詩「クルミ」を思い出す。 クルミ 山内薫 クルミは脳 ポケットに入れるとポケットは考えはじめる 太陽を見るには どうすればいいか あちらのポケットには 何が入っているかと くつに落とすとく…

馬場悠男『「顔」の進化』を読む

馬場悠男『「顔」の進化』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「あなたの顔はどこからきたのか」とある。馬場は人類学者で、人類形態進化学を専門とし、ジャワ原人の発掘調査に長年取り組むとある。 まず動物の顔の進化を教えてくれる。機能が形を作って…

加藤典洋『戦後入門』を読む

加藤典洋『戦後入門』(ちくま新書)を読む。カバーの袖の惹句から、 日本ばかりが、いまだ「戦後」を終わらせられないのはなぜか。この国を呪縛する「対米従属」や「ねじれ」の問題は、どこに起源があり、どうすれば解消できるのか――。世界大戦の意味を喝破…

関龍夫という画家がいた

前回、吉行淳之介関係で紹介した関龍夫さんについて書いてみる。関は1899(明治32)年長野県飯田市生まれ、早稲田大学に学び、川端画学校を卒業する。岡精一、山本鼎、林倭衛に師事する。東宝文芸部舞台科に入社する。また昭和17年43歳で独立美術展に初入選…

入手しそこなったもの2点

むかし入手しそこなってほんの少し悔やんでいることがある。安室奈美恵のサインと吉行淳之介の色紙だ。 伯母が再婚した相手は茨城県の医者だった。その伯父の娘婿Sさんがやはり医者で病院長をしていた。ある時伯母が私に安室奈美恵さんのサイン欲しかったら…

泣き女と魂呼ばい

畑中章宏がエッセイ「わざとらしさ」で泣き女(なきめ)と魂呼(たまよ)ばいについて書いている(『図書』2021年5月号)。 日本の民俗に、野辺送りや埋葬など、葬送習俗の中で儀礼的に号泣する「泣き女」、あるいは「ナキオンナ」という役割をもつ人がいた…