書評

佐藤正午『小説の読み書き』を読む

佐藤正午『小説の読み書き』(岩波新書)を読む。岩波書店のPR誌『図書』に2年間連載したもの。作家佐藤正午が著名な12冊の小説を取り上げて感想を書いている。これが面白い。作家らしく文体などのある種細部にこだわり、それを追求していく。 中勘助の『銀…

佐藤優の書評、冨山和彦著『コロナショック・サバイバル』が興味深い!

佐藤優が冨山和彦著『コロナショック・サバイバル』(文藝春秋)を毎日新聞に紹介している(6月6日)。それがとても興味深い。 冨山氏は、新型コロナウイルスがもたらす経済危機は3段階で到来すると予測する。第1波がローカルクライシスだ。〈出入国制限はも…

AI関連の話題

土曜日の朝日新聞書評にAI関連の書籍の紹介が上下に並んで掲載されていた。瀬名秀明『ポロック生命体』(新潮社)と、谷口将紀・宍戸常寿『デジタル・デモクラシーがやってくる!』(中央公論新社)だ。後者の副題が「AIが私たちの社会を変えるんだったら、…

絲山秋子『御社のチャラ男』の書評

絲山秋子『御社のチャラ男』(講談社)の書評が朝日新聞に載っていた(3月28日)。書評子は辛口斎藤美奈子、チャラ男について簡単にまとめているが、私の理解しているチャラ男とあまりにもピッタリ合っていて驚いた。 チャラ男の定義は一言ではいえないが、…

加藤典洋『僕が批評家になったわけ』を読む

加藤典洋『僕が批評家になったわけ』(岩波現代文庫)を読む。「批評とは何か」を考えて本書を書いたという。批評には文芸批評という狭義の批評と、評論という広義の批評があるという。この辺からもうよく分からない。 加藤は初期に『文藝』という雑誌から新…

大修館書店『スタンダード佛和辞典』のこと

いま読んでいる本にフランス語の単語が載っていた。意味を調べようと本棚から何年振りかで仏和辞典を取り出した。中に新聞記事が挟まっている。書評のようだ。私はしばしば書評を購入した当の本に挟み込んでおく。しかしこの仏和辞典は古く、そんな古い本の…

3大紙の書評欄

読売新聞 朝日新聞 毎日新聞 読売新聞と毎日新聞の書評欄は毎週日曜日にそれぞれ3ページが充てられている。朝日新聞は土曜日に4ページ充てている。書評欄下の広告スペースは出版社にとって読書家が最も注目する場所だと思っていた。 3月1日の読売新聞の書評…

朝日新聞書評委員が選ぶ「今年の3冊」

毎日新聞、読売新聞に続いて、朝日新聞書評委員が選ぶ「今年の3冊」が発表された(12月28日)。書評委員20人×3冊=60冊、その中から気になったものを挙げる。 石川健治(東京大学教授) 『高村光太郎の戦後』(中村稔著、青土社・2860円)本書は、己を虚しく…

読売新聞読書委員が選ぶ2019年の3冊

毎日新聞に続いて読売新聞でも読書委員が選ぶ2019年の3冊というのを発表している(12月22日)。読書委員の人数が21人、3冊ずつ選んで63冊が挙げられているけれど、私が気になったのは3冊だけだった。なぜか昔から毎日新聞の書評には引っかかるものが多いのに…

毎日新聞書評委員による2019年この3冊(下)

毎日新聞の書評欄で「2019 この3冊」(下)として、書評委員に今年のベストを挙げてもらっている(2019年12月15日)。その中から気になったものを拾ってみる。 中村桂子(JT生命誌研究館長) 『進化の意外な順序 感情、意識、創造性と文化の起源』アントニオ…

毎日新聞書評委員による2019年この3冊(上)

毎日新聞の書評欄で「2019 この3冊」(上)として、書評委員に今年のベストを挙げてもらっている(2019年12月8日)。その中から気になったものを拾ってみる。 荒川洋治(現代詩作家) 『いやな感じ』高見順著(共和国・2970円)本書は、高見順(1907-1965)…

柳瀬尚紀「日本語ほど面白いものはない」を読む

柳瀬尚紀「日本語ほど面白いものはない」(新潮社)を読む。副題を「邑智(おおち)小学校6年1組 特別授業」と言い、英文学者の柳瀬尚紀が島根県の小学校で授業をした記録だ。 毎日新聞2010年12月19日に掲載された「2010年この3冊」で科学史家の村上陽一…

毎日新聞の「2010年この3冊」から(下)

毎日新聞の「2010年この3冊」から(上)の続き。*を付けた名前がその本の選者だ。 * *伊東光晴(京大名誉教授・経済学) ●岩澤信夫「究極の田んぼ」(日本経済新聞社) 冬水田に水をはり、イトミミズを発生させる有機農法で、除草剤を使わず、田も耕さず…

毎日新聞の「2010年この3冊」から(上)

年末恒例の毎日新聞の「2010年この3冊」が12月12日と26日に掲載された。毎日新聞の書評執筆者35人が105冊の本を選んでいる。その中から私が興味を持った本を挙げてみた。*を付けた名前がその本の選者だ。 * *江國香織(作家) ●ラッタウット・ラープチャ…

「日本一の桜」のタイトルに釣られて読んでしまった

講談社現代新書の新刊「日本一の桜」を買って読んだ。季節柄みごとな桜が紹介されていると思ったのだ。そうではなかった。日本一の桜を管理・育成している人たちのことを取材した本だった。どの章にも「桜守」という語が頻出する。著者はこの本を「桜守」と…