斎藤美奈子が「旅する文學 岐阜編」で、岐阜県を舞台とする小説を紹介している(朝日新聞、2023年3月31日夕刊)。
(……)ひと言でいうとこれは地方から見た明治維新の裏面史だ。維新に夢をつなぐも裏切られた主人公青山半蔵(モデルは作者の父)の苦悩は地方経済が疲弊している21世紀の現在とも響き合う。藤村で唯一読むべき作品である。
船橋聖一『白い魔魚』(新潮文庫)について「要はラブコメ……」と言い切って、
小島信夫『美濃』(講談社文芸文庫)について、作者の分身らしき作家が旧知の詩人に年譜の作成を依頼するところからはじまる。〈……作家は晩年に入れば、自伝を書いておいた方がいい〉と考えたのだ。
しかし、わかるのはそこまでで、あとはもう完全にカオス。岐阜について何かを語ってはいるが、常人の日本語理解力を超越した世界。説明は不可能だ。一生に一度は味わいたい小島信夫体験である。
では、小島信夫を理解できる常人ではない人は誰か? それは保坂和志をおいてないだろう。
・小島信夫『寓話』という小説
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