読売新聞読書委員が選ぶ2019年の3冊

 毎日新聞に続いて読売新聞でも読書委員が選ぶ2019年の3冊というのを発表している(12月22日)。読書委員の人数が21人、3冊ずつ選んで63冊が挙げられているけれど、私が気になったのは3冊だけだった。なぜか昔から毎日新聞の書評には引っかかるものが多いのに、読売新聞は趣味が合わないような気がする。

坂井豊貴(経済学者/慶応大学教授)

大木毅著『独ソ戦』(岩波新書、860円)
数千万人が落命した「絶滅戦争」。人類社会にここまで絶望的な惨禍が起こることに戦慄する。せめてこれに学ぶことは、今日の人類の義務であろう。

 

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

 

 

山内志朗倫理学者/慶応大学教授)

古田徹也著『不道徳的倫理学講義』(ちくま新書、1000円)
不道徳であってこそ、倫理的、これは目から大ウロコ。その鍵が「運」ということにあることを説得的に論じる。倫理学の名著登場!
井筒俊彦著『スーフィズム老荘思想』上・下(慶應義塾大学出版会、各5400円 仁子寿晴訳)
井筒俊彦を代表する著作。翻訳不可能としか思えない名著が日本語になった。生きているうちに出会えたことを幸せに思う。感涙の書である。

 

不道徳的倫理学講義: 人生にとって運とは何か (ちくま新書)

不道徳的倫理学講義: 人生にとって運とは何か (ちくま新書)

 

 

 

スーフィズムと老荘思想 上 (井筒俊彦英文著作翻訳コレクション)

スーフィズムと老荘思想 上 (井筒俊彦英文著作翻訳コレクション)

 

 

 

スーフィズムと老荘思想 下 (井筒俊彦英文著作翻訳コレクション)

スーフィズムと老荘思想 下 (井筒俊彦英文著作翻訳コレクション)