東京神宮前のギャラリーKTO原宿でさとう陽子展「詩に場所を探す」が開かれている(11月26日まで)。さとう陽子は東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。
画廊正面壁に120Fの大きな作品「光景身体」が展示されている。天地194cm、左右130cmという大きさで、制作に6年間かけている。
他にさとうの作品には大きなドットで造形するものが多い。これは中西夏之へのオマージュだろうか。また厚塗りと薄塗りを混在させるのはフォートリエを思い出す。地と図の複雑な構造もさとうの特徴だ。
4月のさとうの個展に際して私は次のように書いた。それを再録する。
ゲシュタルトでいう図と地をさとうの絵画に当てはめてみると、図と地で成り立っているように見えて、その地がさらに下位の地に対して図となっているように見える。地の複層性というか図の複層性というか、今風に言えばレイヤー構造をなしていると言ってもいいかもしれない。複雑な構造とマチエールの特異さがさとうの特徴だろう。中心がないことでどこかオールオーバーにも近く、またそれを否定しているようにも見える。さとうの絵画は安易な定義を拒んでいる。それが魅力とも言えるのではないか。
さとうはきわめて知的な作家で、見る者の安易な理解を許さないようだ。
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さとう陽子展「詩に場所を探す」
2024年11月9日(土)-11月26日(火)
13:00-18:00(水木金=休廊)
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ギャラリーKTO原宿
東京都渋谷区神宮前4-25-7 コーポK103
電話03-6881-9936