学者

志村真幸『未完の天才 南方熊楠』を読む

志村真幸『未完の天才 南方熊楠』(講談社現代新書)を読む。熊楠は驚くべき才能を多方面に発揮しながら、その仕事のほとんどが未完成に終わった。柳田国男とともに民俗学の基礎を築いたものの、途中で喧嘩別れしてしまった。キノコの新種をいくつも発見して…

松本元・松沢哲郎『ぼくたちはこうして学者になった』を読む

松本元・松沢哲郎『ぼくたちはこうして学者になった』(岩波現代文庫)を読む。副題が「脳・チンパンジー・人間」という脳科学者松本と霊長類学者松沢の対談集。二人の優れた学者が子供時代から小中高校を経てそれぞれ東大、京大に入り、自分の研究テーマを…

追悼・小松茂美先生

朝日新聞6月26日夕刊の「惜別」という欄に「古筆学者・小松茂美さん」が取り上げられている。見出しが「名筆の分析 独学で究める」とある。5月21日死去(心不全)85歳と。 平安から鎌倉時代の文献や断片の筆者を特定し、背景を追求する。そんな「古筆学」…

山口昌男「学問の春」を読んで思い出した

山口昌男「学問の春」(平凡社新書)を読んだ。副題が「〈知と遊び〉の10講義」というよく分からない標題。でも「講義のまえに」では、「本書は1997年に札幌大学文化学部で行われた山口昌男「文化学総論」(ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』を読む)の講義を…

髭が伸びる時間の研究

アメリカにはつまらない研究をしている学者がいるという記事を読んだことがある。その例として、髭の伸びる時間を研究した学者を紹介していた。24時間、毎時間ごとに髭を剃ってその重さを量ったところ、午前10時ころ最も髭が伸びたのだという。 私は毎朝ほぼ…

小松茂美先生

日頃お世話になっているKさんから、先祖代々伝わる尊円法親王の書についてその真贋を確かめる手だてはないだろうかと相談された。 尊円法親王は鎌倉〜南北朝の人。伏見天皇の第六皇子で出家してこの名で呼ばれた。また青蓮院とも。 書の大家で青蓮院流の祖だ…