マンガ

中田いくみ「つくも神ポンポン」展を見て新刊コミックを読む

東京西池袋のブックギャラリーポポタムで中田いくみ「つくも神ポンポン」展が開かれている(3月31日まで)。中田いくみは1982年生まれ、成城大学で学んだ後、バンダイビジュアル研究所でイラストレーションを専攻した。初め銀座のギャラリー銀座フォレストで…

吉田秋生『海街diary9 行ってくる』を読む

吉田秋生『海街diary9 行ってくる』(小学館フラワーコミックス)を読む。悲しいことにこれが最終巻だという。2007年から11年かかって9巻が出た。毎回楽しみで手に取ってきた。 あらすじ、 すずは父の死後、鎌倉に住む母親違いの3人の姉と暮らしているが、…

「すゞしろ日記」の大そうじ

山口晃の「すゞしろ日記」が今回は大そうじがテーマだ(『UP』2019年1月号)。 最初に『マカロニほうれん荘』のギャグが引用される。主人公は「なつかしい」と思っているが奥さんには通じない。 ついでそうじ個所を表にしている。そうじの手順を図示すること…

山口晃『すゞしろ日記 参』を読む

山口晃『すゞしろ日記 参』(羽鳥書店)を読む(見る)。山口は東京大学出版会のPR誌『UP』にこのタイトルで毎月マンガを連載していて、もうそれが今月5月号で158回になっている。つまり13年間続いているのだ。それを50回ごとに単行本にまとめている。本書は…

東大出版会のPR誌『UP』の「すゞしろ日記」ほかを読む 

4年ほど前、佐藤信主宰の鷗座公演で、ベルナール=マリ・コルテスの芝居『森の直前の夜』を見た。佐藤の演出は実験的で、役者がひとり舞台中央に立ったまま2時間近く喋りつづけるというものだ。上半身は動かすものの、足は1カ所に立ったままだった。ほとん…

東大教師が新入生にすすめない本

東大出版会のPR誌『UP』の4月号は毎年「東大教師が新入生にすすめる本」というアンケートの結果を紹介している。今年のみI部を東大教師によるアンケート、II部はUP誌に執筆している方によるアンケートとなっている。アンケートの質問は、 1.私の読書から――…

中田いくみ『かもめのことはよく知らない』を読む

、 中田いくみ『かもめのことはよく知らない』(KADOKAWA)を読む。中田は画家だが、最近はマンガも描いている。私は彼女の画家としての仕事が好きで、このブログでも何度か紹介している。単行本としては初めての仕事だ。 「夜のとばり」は、少年が転校して…

『孤独のグルメ2』を読む

久住昌之・原作+谷口ジロー・作画『孤独のグルメ2』(扶桑社)を読む。以前『孤独のグルメ』を読んでその紹介をしたのが今年の4月だった。今回の『孤独のグルメ2』には、『週刊SPA!』2009年6月9日号に掲載された静岡市の汁おでんから、2015年5月19日号の…

斎藤宣彦『マンガ熱』を読む

斎藤宣彦『マンガ熱』(筑摩書房)を読む。副題が「マンガ家の現場ではなにが起こっているのか」とあり、斎藤が11人のマンガ家たちにインタビューしたものを集めている。そのマンガ家たちは、島本和彦、藤田和日郎、藤子不二雄A、しりあがり寿、くらもちふさ…

いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』がおもしろい

いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』(講談社学術文庫)を読む。これがとてもおもしろい。1990年代後半に講談社から『現代思想の冒険者たち』全31巻が刊行された。ハイデガーから始まり、フッサール、ウィトゲンシュタイン、カフカ、ニーチェ、マルクス…

『孤独のグルメ』を読む

久住昌之(原作)×谷口ジロー(作画)『孤独のグルメ(文庫版)』(扶桑社文庫)を読む。これは先日久住昌之著『東京都三多摩原人』(朝日新聞出版)を読み、それで久住が原作を書いている本書に興味を持ったため。何巻にもわたるシリーズがあるかと思ったら…

吉田秋生『海街diary7 あの日の青空』を読む

吉田秋生『海街diary7 あの日の青空』(小学館フラワーコミックス)を読む。6巻が出たのが一昨年の夏だった。半年ほど前から書店のコミック売場をひと月に1回くらい覗いていた。以前は庵野モヨコとか南Q太とか、魚喃キリコとかも読んでいたけれど、ここ何…

吾妻ひでお『逃亡日記』を読む

吾妻ひでお『逃亡日記』(日本文芸社)を読む。文庫とは謳ってないないが判型は文庫本だ。吾妻は2005年に『失踪日記』で漫画三賞を受賞している。それは日本漫画家協会大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞の3つで、この3…

中条省平『マンガの論点』が面白い

中条省平『マンガの論点』(幻冬舎新書)を読む。これが面白かった。本書は幻冬舎の月刊PR誌「星星峡」に2006年7月から連載したマンガ時評で、雑誌が途中終刊となったためネット上のウェブサイトに移して、2014年10月まで続いた。その100回分をほぼ完全に収…

東京都写真美術館のPRマンガが傑作だ

東京都写真美術館(写美)で発行しているニュース別冊「ニャイズ」が面白い。作者は既婚OLカレー沢薫、PRマンガらしいけれど、実に自由に描いている。美術館のスタッフをおちょくったり、内実をスクープしたり、いいんだろうかとちょっと心配してしまう。 主…

『サミット学園』と『Mr.ボォ』の連載初回

本棚の読まない本の間から新聞マンガの切り抜きが出てきた。いずれも朝日新聞に連載された『サミット学園』と『Mr.ボォ』の第1回目だ。それぞれ1993年の6月1日と1996年4月1日だ。でも、ほとんど憶えていない。Wikipediaで調べてみた。まず『サミット学…

『海街diary6 四月になれば彼女は』を読む

吉田秋生『海街diary6 四月になれば彼女は』(小学館フラワーコミックス)が発売された。5巻が出たのが去年の冬だったから待ちこがれていた。 「あらすじ」から、 父の死後、鎌倉に住む母親違いの3人の姐に引き取られた〈すず〉。4人が家族になっての生活…

『エロマンガ・スタディーズ』を読む

永山薫『エロマンガ・スタディーズ』(ちくま文庫)を読む。エロマンガはエロ漫画だ。その歴史を分析している。著者は非常に真面目で実証的だが、対象がエロ漫画だから、内容はきわめて過激だ。図版が少なからず掲載されているが、文庫という制約もあってと…

山口晃『すゞしろ日記 弐』が楽しい

山口晃『すゞしろ日記 弐』(羽鳥書店)を読む。画家山口晃が東京大学出版会の月刊PR誌『UP』に毎月もう8年以上連載しているマンガを単行本にしたもの。第1巻にあたる『すゞしろ日記』は同じ版元から2009年に発行されている。この『UP』の判型はA5判とい…

穂村弘と瀧波ユカリの対談がおもしろい

資生堂のPR誌『花椿』に穂村弘の対談が連載されていて、これが楽しい。2月号は瀧波ユカリと対談している。瀧波については知らなかったが、『臨死!! 江古田ちゃん』というマンガの作者ということだ。 穂村 『臨死!! 江古田ちゃん』を読んだ男性はみんな、瀧…

吉田秋生『海街diary 5 群青』を読む

吉田秋生『海街diary 5 群青』(小学館フラワーズ コミックス)を読む。最近本書が、マンガ好きの書店員、同志らが中心となって選ぶ『マンガ大賞 2013』に選ばれた。私は1巻からこの5巻までずっと読んでいるが、今一番興味がある。吉田秋生といえば、『BAN…

やまだ紫の『樹のうえで猫がみている』を読む

やまだ紫の『樹のうえで猫がみている』(筑摩書房)を読む。詩とイラストをそれぞれ一つずつ、見開き2ページに配置している。全部で43篇、94ページ。往復の通勤で2度も読んでしまった。 その詩「視線」とイラスト数点を紹介する。 かがみ込んで カーペット…

萩尾望都『なのはな』を読む

萩尾望都といえば『ポーの一族』は私でも知っているし、今年紫綬褒章を授章した漫画家だ。毎日新聞の書評欄にその萩尾望都の新作『なのはな』(小学館)が紹介された(2012年5月6日)。筆者は「阿」と署名している。 サブカルチャーの筆頭といえるマンガは…

吉田秋生の「海街diary4 帰れない ふたり」を読む

吉田秋生の「海街diary」の待望の4巻が出た。「帰れない ふたり」(小学館)だ。以前にも書いたが、これは吉田秋生の「BANANA FISH」とか「YASHA−夜叉−」のようなヒーローものから家族をテーマにした青春ものへの回帰だ。4巻に記された「あらすじ」から、 …

松屋銀座の「ルパン三世展」を見る〜黒テントのこと〜ル・カレ

松屋銀座の「ルパン三世展」を見た(8月22日まで)。「ルパン三世」はモンキー・パンチによって1967年『漫画アクション』に連載マンガとして始まった。その後1971年にアニメ化される。本展ではマンガの原画、アニメの設定画、セル画、フィギュア、秘蔵資料…

吾妻ひでおの「地を這う魚」を読んで

吾妻ひでおの自伝マンガ「地を這う魚」(角川文庫)を読む。副題が「ひでおの青春日記」とあり、赤羽の印刷工場の工員から漫画家のアシスタントになり、やっと漫画雑誌の付録に短篇を描かせてもらえるようになるまでが描かれている。 吾妻ひでおらしくシュー…

秋月リス「OL進化論」で知ったOLたちの不思議な思考

もう10年以上前になるだろうか。娘が愛読していた秋月リスの4コマ漫画「OL進化論」をときどき見せてもらっていた。OLたちの思いがけない思考が面白かった。それらのなかで今でも一番印象に残っているのは、普段から憧れていた男性より急にデートを誘われた…

南Q太「スロウ」は過激か

南Q太は吉田秋生とともに好きなマンガ家だ。二人とも男みたいな名前だが女性だ。同性愛を取り上げるところも似ている。南Q太「スロウ」(祥伝社)はレズの子が主人公だ。成就することのない切ない愛が描かれるが、内容は18禁だ。智明(ちあき)は高校の後輩…

井伏鱒二とつげ義春の類似性

つげ義春が井伏鱒二の小説を好み、地方へ行ったら井伏の小説のような経験ができるかと思ったと書いていた。今度40年振りに井伏鱒二の「山椒魚」(新潮文庫)を読み直してみたら本当に驚くほど似ている。 まず井伏鱒二の「言葉について」から、 日本海の××島…

山口晃「すゞしろ日記」発行される

山口晃が東京大学出版会のPR誌「UP」にこの7月号で52回も連載している「すゞしろ日記」がまとめられて羽鳥書店から出版された。B5判2,625円。元々はA5判という小さな判型で、その1ページに24コマも詰め込んでいる。でも毎回楽しみなページだ。 過去に2…