吉田秋生『海街diary 5 群青』を読む

 吉田秋生海街diary 5 群青』(小学館フラワーズ コミックス)を読む。最近本書が、マンガ好きの書店員、同志らが中心となって選ぶ『マンガ大賞 2013』に選ばれた。私は1巻からこの5巻までずっと読んでいるが、今一番興味がある。吉田秋生といえば、『BANANA FISH』とか『櫻の園』とか『ハナコ月記』などほとんど読んだけど、『海街diary』シリーズもとても良い。吉田は本当に多彩な作家だ。
 主人公は両親を亡くし、母親違いの姉たちに引き取られて鎌倉で暮らしているサッカー好きの中学生の少女だ。3人の姉たちはしっかり者だったり酒癖と男運が悪かったり、少しずれていたりする。そして親しい食堂の小母さんが亡くなったり、同級生の男の子でサッカー部のキャプテンが、病気で脚を切断したりする。そんなとき「空はこんなに青いのに」とか「こんな気分なのに/空はどこまでも青い」とか「でも/晴れた日は空が青い」というシーンがはさまれる。
 繰り返される「空が青い」という言葉を読んで、ジャズのスタンダード・ナンバー"Lover come back to me"(恋人よ我に帰れ)を思い出した。

The sky was blue, and high above
The moon was new, and so was love
This eager heart of mine was singing
Lover, where can you be?

 吉田秋生もこの曲を聴きながらマンガを描いているのではないだろうか。本書に関する不満は1巻から5巻までを5年半もかけて出版していることだ。早く続きが読みたいのに。


海街diary(うみまちダイアリー)5 群青 (flowers コミックス)

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