Googleレンズ

 Googleレンズは娘がスマホにインストールしてくれた。その機能は、

Google lens(グーグルレンズ)」は、カメラをかざすと映った情報を瞬時に読み取り、検索したり、情報をテキスト化したりしてくれる便利な機能で、AndroidiPhoneで利用できます。精度は完璧とは言い難いですが、日常生活レベルでは役立ってくれそうです。

 とされている通り、日常でとても便利にしている。知らない植物がネモフィラだとかガザニアとか、ドイツアヤメとか、オオツルボなど皆このアプリに教わった。娘がアパートの横に咲いている花を撮ったらアパート名が表示されたという。驚いてよく見たらアパートの看板が写っていて、それをスマホが読んだのだった。
 しかし、先日白いカラーという花を撮ってみたら、「カモ」と出た。人は絶対にこのような誤りはしないものだ。それで思い出したのが渡辺慧だ。渡辺は分類には価値が関係するという。価値=人にとって役立つもの、を離れたら、海と空がどちらも青いからと同一のものに分類されてしまう。昔これを読んだとき、強い違和感があったが、Googleレンズがまさに周囲に孤立した白いものをカモと分類している。
 渡辺慧の言葉の出典を探してみたが分からなかった。渡辺の『認識とパタン』(岩波新書)には、パタン認識にはたいへんな恣意性があると言う。

しかし、翻ってそれでは、分類などは別に意味がないとはいえません。現に人間は適当に類を作って、それに頼って、我々の文化を築き、我々は生きているのです。
 ですから、それに成功しているというのは、我々が役に立つ直感と、役に立つ美的感情を持っていると言う照明でありましょう。特に私がここで「役に立つ」という形容詞を用いたことにご注意願いたいと思います。役に立つというのはわれわれの価値の実現に貢献するということです。

 海と空の事例は同じ渡辺の『生命と自由』(岩波新書)に載っているのだろう。手許になかったから図書館が開いたら確認しよう。

 

 

認識とパタン (1978年) (岩波新書)

認識とパタン (1978年) (岩波新書)

  • 作者:渡辺 慧
  • 発売日: 1978/01/20
  • メディア: 新書