2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

江本創展「−−妖(あやし)の森に棲む−−」を見る

東京銀座の青木画廊で江本創展「−−妖(あやし)の森に棲む−−」が開かれている(2月5日まで)。江本は1970年、兵庫県生まれ。1995年に筑波大学大学院修士課程芸術研究課を修了している。1999年まで版画(主に銅版画、リトグラフ)を制作。その後、現在の標…

水木しげる『ねぼけ人生』を読む

水木しげる『ねぼけ人生』(ちくま文庫)を読む。ゲゲゲの鬼太郎のマンガ家水木しげるの文章による自伝。子どもの頃、ガキ大将で学校の成績が悪かったこと。小学校を卒業して印刷屋の住み込みになるが、すぐ首になる。その後も版画屋とか松下電器に就職しよ…

相川俊英『奇跡の村』を読んで

相川俊英『奇跡の村』(集英社新書)を読む。過疎化によって消滅するのではないかと噂されている地方自治体。その中でよく健闘している3つの村や町を訪ねて、それらの秘密を解き明かしている。 最初に取り上げられたのが長野県下伊那郡下條村。飯田市よりさ…

大道寺将司句集『残の月』を読む

大道寺将司句集『残の月』(太田出版)を読む。「残の月」の「残」はルビが振ってあって「のこん」と読む。大道寺将司は「東アジア反日武装戦線」のなかの「狼」というグループのメンバーだった。1974年の三菱重工爆破事件で逮捕され、死刑が確定している。…

安岡章太郎『文士の友情』を読んで

安岡章太郎『文士の友情』(新潮文庫)を読む。副題が「吉行淳之介の事など」とあるから、吉行ファンとしては読まざるを得ない。しかし半ば過ぎまで読んで、どこか記憶にあるようなエピソードが散見する。しかし読んだというはっきりした記憶はない。念のた…

北杜夫『見知らぬ国へ』を読む

北杜夫『見知らぬ国へ』(新潮文庫)を読む。2011年に亡くなった北杜夫の1969年以降のエッセイを集めたもの。読書について、追悼集、旅などのエッセイ、それに『北杜夫全集』月報からが集められている。このうち、追悼集と月報からが良かった。 「懐かしい人…

犬の前では裸も平気

朝日新聞連載の「悩みのるつぼ」で10代の女性が「自分は羞恥心がない」と相談している(2016年1月16日)。 私は10代半ばの女性です。でも10代の女であるにもかかわらず、羞恥心が欠けているようなのです。(後略) 彼女は男性の担任教師が教室にいるときでも…

秋山画廊の歳森勲展が興味深い

東京千駄ヶ谷の秋山画廊で歳森勲展が開かれている(1月28日まで)。歳森は40代後半くらいとのこと、詳しいことは分からない。 画廊へ入って一段高いところから画廊空間を見下ろすと、中心に箱状のものが設置されていて、左右の壁面に平面作品が並べられてい…

片山杜秀『見果てぬ日本』を読む

片山杜秀『見果てぬ日本』(新潮社)を読む。副題が「司馬遼太郎・小津安二郎・小松左京の挑戦」というもの。小松に未来への総力戦、司馬に過去へのロマン、小津に現在との持久とのキャッチを付している。 小松は未来を語る。1970年の大阪万博のテーマ「人類…

鳩の死

朝、マンションの中庭を通ると羽が散らばっていた。近づいてよく見ると鳩が死んでいた。何か天敵に襲われたような様子だった。近づいて写真を撮っていると、すぐ近くの倉庫の屋根に止まっていたカラスが一声カーと鳴いて飛んでいった。すると、これはカラス…

色川武大『友は野末に』を読む

色川武大『友は野末に』(新潮社)を読む。副題が「九つの短篇」、昭和50年代から61年にかけて書かれた短篇集。1篇だけ46年のものが入っている。それに加えて、嵐山光三郎との対談、立川談志との対談、そして作家が亡くなったあとで未亡人色川孝子がインタビ…

ギャラリー現のダニエル・ゲティン&ゲルダ・マイセ展「Screens and Soft Stones」が興味深い

東京銀座のギャラリー現でダニエル・ゲティン&ゲルダ・マイセ展「Screens and Soft Stones」が開かれている(1月23日まで)。2人はスイス出身の男女のユニットで、でもそれ以上の事は私には分からない。きわめてコンセプチュアルな作品を展示している。 …

模索舎という書店へ行ってみた

先月朝日新聞に模索舎という名の書店が紹介されていた。まだ営業しているんだと驚いた。模索舎は40年ほど前何度か出入りしていた。客として本を買っていただけだが。新宿の目立たない片隅に出店していて、政治的に過激な本を扱っていたという印象がある。政…

櫻木画廊の沓澤貴子展「Mutable Sky」を見る

東京植野桜木の櫻木画廊で沓澤貴子展「Mutable Sky」が開かれている(1月24日まで)。沓澤は1971年、静岡県生まれ、1996年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1998年に同大学大学院油絵コースを修了している。2001年ガレリアラセンで初個展を開き、…

みゆき画廊50周年記念展

東京銀座のみゆき画廊で「みゆき画廊50周年記念展」が開かれている(1月23日まで)。50年という歴史を誇るみゆき画廊だが、入っているビルが建て替えられるため、いよいよ3月一杯で閉廊することになった。 この度50周年記念展として、280名の彫刻、絵画の…

ギャラリー砂翁の佐藤杏子展を見る

東京日本橋三越前のギャラリー砂翁で佐藤杏子展が開かれている(1月20日まで)。佐藤は1954年、茨城県土浦市生まれ。1980年、多摩美術大学大学院を修了している。1978年から日本版画協会展に毎年出品し、1995年に準会員優秀賞受賞。1989年ギャラリー砂翁&…

原和の13回忌

友人の原和が12年前の今夜(13日の深夜〜14日にかけて)亡くなった。今夜は彼の13回忌に当たる。亡くなる直前の夜9時頃電話をしてきて、54年付き合ってくれたけどさよならと言った。酔っていてろれつが回らなかった。ぐでんぐでんだった。20歳の頃から死ぬ…

ギャラリーなつかの伊東敏光展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで伊東敏光展が開かれている(1月30日まで)。伊東は1959年、千葉県生まれ。1985年に東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業し、1987年に同大学大学院美術研究科を修了している。1998年にはドイツのデュッセルドルフ美術大学に短期留…

梅崎春生『悪酒の時代 猫のことなど』を読む

梅崎春生『悪酒の時代 猫のことなど』(講談社文芸文庫)を読む。副題が「梅崎春生随筆集」。梅崎は大昔、もう50年ほど前に『桜島・日の果て』あたりを読んだきりだった。本書の題名に「猫のことなど」とあって興味を持った。随筆集としては面白くて楽しめた…

街で見られた抽象絵画

これは銀座の歩道の一部で舗装工事をしているところだ。養生している部分をアップで撮影したもの。一見抽象絵画のようにも見える。事実、ニューヨークの街角で壁のシミとか建物の一角などで、これと似たようなものを見つけて撮影し、銀座のギャラリーで個展…

高井有一『時のながめ』を読む

高井有一『時のながめ』(新潮社)を読む。最近、といってもここ20年間に書かれたエッセイ集。高井は1932年生まれ、現在83歳。高井の著書は立原正秋の伝記『立原正秋』を読んだことがあるきりだが、とても良かった記憶がある。本書も期待に違わずすばらしか…

ギャラリーアビアントの「さまざまな書 墨田!展 -V-」を見る

東武線と地下鉄浅草駅から吾妻橋を渡ってすぐのギャラリーアビアントで「さまざまな書 墨田!展 -V-」が開かれている(1月18日まで)。 會津八一から熊谷守一、井上有一、種田山頭火、島崎藤村など、物故の有名な書家、作家、画家から、まだ現役の書家、作…

色川武大『うらおもて人生録』がおもしろい

毎日新聞に「昨日読んだ文庫」というコラムがあり、文化放送ディレクターの首藤淳哉が『うらおもて人生録』を取り上げている(2015年11月15日)。 失敗を重ね、ほとほと自分に嫌気が差したときに決まって手に取る1冊が色川武大著『うらおもて人生録』(新潮…

福岡伸一の巨乳論に疑問

福岡伸一が朝日新聞に巨乳論を展開している(2015年12月24日)。「福岡伸一の動的平衡」という連載コラムの4回目、その「完璧な対にこそ美しさ」を紹介する。 巨乳に惹かれる男は多い。なぜ? この疑問を生物学的に解こうとすると行き着く先は必ず進化の物語…

作間敏宏展「治癒」を見る

東京千駄木のギャラリーKINGYOで作間敏宏展「治癒」が開かれている(1月17日まで)。画廊の一角に今回の展示についての作間の言葉が貼られている。 1995年に農業用ビニールハウスをそのまま使ったインスタレーション「治癒」を制作したとき、そこでのビニー…

正月の花

近所の小さな植物園で正月の冬の花が咲き始めた。 まず福寿草。 それからカンアオイ(寒葵)も咲いている。写真の中央の褐色の口を開けた蛇みたいなのが花だ。およそ被子植物中もっとも地味な花のひとつではないか。カンアオイはウマノスズクサ科、常緑性多…

酒匂譲個展が開かれている

東京銀座のみゆき画廊で酒匂譲個展が開かれている(1月9日まで)。酒匂は1930年鹿児島県生まれ、1953年に東京藝術大学油絵科を卒業し、1955年に同専攻科を終了している。はじめサヱグサ画廊で個展を開いた後、パリで個展をし、1976年からはこのみゆき画廊…

練馬区立美術館の庭の彫刻

東京都練馬区立美術館の庭の彫刻が楽しい。美術館のちらしから、 ここは練馬区立美術の森緑地 不思議な動物たちが住みついた。 天然芝を敷きつめた園内に潜むのは、 20種類・32体のファンタジーな彫刻群。 誰もが知っている動物が、 誰も見たことのないアー…

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』を読む

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(角川文庫)を読む。西原が育った高知県の漁師町は貧しい町で皆が貧乏だった。だから誰も自分が貧しいと嘆かなかった。皆同じだったから。母は父と離婚して両親の住むこの町に越してきて自分が生まれた。…

初詣

初詣に行く。家を出たときはスカイツリーにまだ日が当たっていなかった。 まず吾嬬神社へ詣でる。いつもほとんど参拝客を見ないが、この神社はおそらく東京では最古の神社だろうと推測する。 ・吾嬬神社(2006年12月24日) 吾嬬神社を出て明治通りの北十間川…