植物
港区外苑前の民家にボケの木があった。春には深紅の花が咲き、隔年くらいにボケの実が生った。ボケの実は誰も採らないようで、翌春にはしぼんだ実が木に残っていた。 深紅の花がきれいだったので、昨年の初夏にこっそり20cmくらいの小枝を折り取った。帰宅し…
塚谷裕一『漱石の白百合、三島の松』(中公文庫)を読む。副題が「近代文学植物誌」とあり、植物学の専門家である塚谷が日本近代文学に登場する植物についてあれこれ論評している。 本書に興味を持ったのは、須藤靖が「注文の多い雑文 その59」で推薦してい…
「浅野貞夫植物生態図」という絵葉書がある。精密な線描で植物の生態を描いている。浅野貞夫は植物学者で、文章なしで植物を表現することを心掛けた。地上部はもとより、花や果実、種子、地下部までを1枚の図に描き表わした。そのために時に何年もかけて図を…
春の大型連休に東京墨田区の向島百花園を訪ねる。最初にセッコクが咲いていた。藤、紅色のウツギ、卯の花=ヒメウツギ、芍薬、コデマリ、ムラサキツユクサ、睡蓮、ムラサキセンダイハギ、アヤメ、セイヨウサンザシなどが咲いている。 むかし、ふ化したばかり…
秋のバラが咲いている。花屋にもバラの花が並んでいる。実はヨーロッパで愛でられたバラは春にしか咲かなかった。秋に咲くバラは比較的新しいのだ。大場秀章『バラの誕生』(中公新書)によると、18世紀に中国のコウシンバラがヨーロッパにもたらされた。こ…
パックで買ったプルーンの1個にカビが生えていた。これは灰色かび病で、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)によって発生する。灰色かび病菌は多犯性で、様々な作物に寄生する。ブドウや桃、桜桃、ナス、トマト、イチゴ、バラ、その他多くの野菜や花きなど。 …
東武亀戸線の線路わきに赤い小型の花が咲いている。近づいて見るとマルバルコウだった。マルバルコウはヒルガオ科の帰化植物、トウモロコシ畑の雑草として問題になっているという。 マルバルコウについて、『日本帰化植物写真図鑑』(全国農村教育協会)から…
都会の街路樹にプラタナスが植えられていることが多い。現在そのプラタナスにプラタナスグンバイが大発生している。おそらく40年くらい前から日本に侵入した侵入害虫だ。樹によってはすべての葉にびっしりと寄生しているが、昔問題になったアメリカシロヒト…
ベランダのガジュマルにガジュマルクダアザミウマが寄生している。その成長の姿を追ってみた。 7月26日 7月26日 新葉に2頭のつがいがいる。おそらく雄と雌なのだろう。 7月27日 7月27日 7月27日 翌日、新葉は両端が閉じられつつあった。 7月28日 7月2…
ベランダのガジュマルの鉢植えの葉が2、3枚ケロイド状になっている。今までの経験から、これはアザミウマの被害だと分かった。そしてガジュマルに寄生するアザミウマはガジュマルクダアザミウマに違いない。 被害葉を採取し、綴じ合わされた葉を開いてみる…
キダチチョウセンアサガオが咲いている。別名エンジェルトランペットとかダチュラとか呼ばれる。主に地下茎から抽出した成分は、聴覚性幻覚・急性痴呆・行動異状を引き起こすという。植松黎の「世界の毒草」に詳しい記述がある(『一冊の本』2017年8月号)。…
ここに2枚の写真がある。1枚目の写真は子猫がバードウォッチングをしている。2枚目の写真は子猫もインコもいない。どちらにも共通しているのがテーブルヤシだ。 この子猫は4年前に18歳で亡くなっている。子猫はおそらく2000年に撮影したものだろう。2枚目の…
JR総武線亀戸駅前の植え込みにノイバラが咲いている。ノイバラは野生種の地味なバラで、普通わざわざ植栽されることはない。ましてや、駅前の植え込みは専門の業者が管理しているだろう。なぜにわざわざこんな一等地に野生のバラなんかを植えているのか。 も…
近所の小さな公園でカンアオイが咲いている。カンアオイはアオイ科ではなくウマノスズクサ科、多年草の小型植物。地を匍匐して繁茂する。葉の模様がきれいなものが多いので観葉植物として栽培されている。関東以西に分布する日本固有種。 以前、飯田市で撮影…
ベランダにスミレの繁茂したプランターがある。その向こうにローズマリーを植えた鉢が並んでいる。スミレのプランターの一角に小さな植物が生えている。よく見ればこれはローズマリーの幼植物だ。種がこぼれて実生で育ったのだろう。小さく見えるが発芽後3年…
銀座界隈で画廊回りをしていたとき、有楽町マリオンの植え込みの植物の葉が絣状に虫に食われているのに気が付いた。近づいてよく見てみると、黒っぽい幼虫が葉を食害していた。虫の形からハムシの幼虫だと推測した。植物は何だろう? 桜の一種だろうか? 帰…
連休の頃は団地の花壇にシラン(紫蘭)の花が満開だった。いまは葉が生い茂っている。その葉の一部に黄色い汚れのようなものが目立っている。何だろう。近づいて見ればシランさび病だった。かなり蔓延している。 さび病菌によって起こるさび病は種々あるが、…
ベランダの鉢植えの野菊が少しおかしい。鉢土は濡れていて乾いていないのに、葉が内側にカールしている。葉の色も汚れたような感じだ。ルーペで見てみる。葉の表面にごく小さな黒っぽい粒々がびっしり付いている。 すぐに分った。これはアザミウマの幼虫(若…
紫陽花が咲いている。日本古来のガクアジサイに加えて、それがヨーロッパへ渡って改良され、西洋アジサイとかハイドランジアという名前で街のあちこちに青、ピンク、白などの花を咲かせている。 ここにアジサイの句を紹介する。 あ ぢ さ ゐ や 南 溟 遠 く …
運動不足解消で近所の裏道を散策している。カメラを持って珍しい花やきれいな花を撮っている。知らない花も多いが、Googleレンズに教えてもらっている。もっともこのアプリすごく専門的なことを知っている反面全く違うことを教えてくれたりするので帰宅して…
気になる名前があって、それはカモミール茶だ。以前パートナーだった人が好んで飲んでいた。いわゆるハーブティーの一種で、紅茶のように淹れて香りがある。カモミールというハーブを乾燥して作るらしい。 このカモミールは標準和名をカミツレという。別名が…
テーブルヤシの高さが1m20cmにもなった。植木鉢の高さを含めると1m50cmだ。これは葉の長さを含めない。冬季室内に入れるので天井に届いてしまいそうだ。 もともと娘が小学生のときポット苗を買ってきたものだ。娘が買ったのだが管理は私の担当になる。15年…
近所の団地脇を散策していると、団地の駐車場と道路を隔てる植え込みに白い花が咲いているのが見えた。近づいて見ると、これはノイバラだった。どうしてこんなところにノイバラが? いずれ誰かが植えたものだろうが、ノイバラをざわざわ栽培する人は少ない。…
娘がスマホにGoogleレンズというアプリを入れてくれた。これが大変な優れもので、スマホのカメラで撮影すると即座に対象の名前を教えてくれる。旧中川の河川敷に作られている花壇の花はネモフィラであり、同じくドイツアヤメとかオオツルボとかガザニアとか…
昨日このブログに以前ツタバウンランの種を播いて歩いたと書いた。すると友人が「地味で珍しい植物の種子を採取して育て、またその種子をあちこち蒔いて歩く趣味があるとは知りませんでした」とコメントしてくれた。それで思い出したことがあった。ツタバウ…
この写真はツタバウンランだ。初めて見たのはもう45年前の虎ノ門だった。住宅の一角に観葉植物の鉢の中味を棄てたような場所にこの植物が生えていた。初めて見る植物だった。小学校の5、6年生のときの担任だった宮島光男先生が植物が専門で、身近な植物は教…
年末、書棚の整理をしていたら古い雑誌が出てきた。『緑と水のひろば』49号だ。平成19年9月発行とあるから12年前になる。「特集 巨樹・名木に会いに行こう!」と表紙にある。本書は東京都公園協会の発行で、内容も東京都内に限られている。 本書によると、巨…
植松黎『カラー図説 毒草の誘惑』(講談社+α文庫)を読む。40種類の毒草が取り上げられている。毒草=有毒植物の図鑑であるが、エッセイとして面白く優れている。この人なら何を書いても面白いだろうと思わせるほどだ。 ケシについては20ページを費やして、…
植松黎『毒草を食べてみた』(文春新書)を読む。ドクウツギからトリカブト、ケシ、チョウセンアサガオなど44種類の毒草について、植物学的な説明やどのように有毒か、有毒成分は化学的にどんなか、またそれにまつわるエピソードを書いている。これがとても…
ベランダの植木鉢にスミレの花が咲いている。このスミレの名前がややこしい。スミレというのはこの写真の種の名前でもあるが、スミレ属の植物の総称でもある。種としてのスミレの学名はViola mandshuricaという。スミレ以外にもスミレの仲間にはタチツボスミ…