ノイバラの大きな株があった

 近所の団地脇を散策していると、団地の駐車場と道路を隔てる植え込みに白い花が咲いているのが見えた。近づいて見ると、これはノイバラだった。どうしてこんなところにノイバラが?

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 いずれ誰かが植えたものだろうが、ノイバラをざわざわ栽培する人は少ない。知人に庭で大きなノイバラの株を育てている人がいた。その人は農林水産省の研究所でいも類の育種を研究していた。たくさんのいもを集めて掛け合わせ、新しい品種を作っていた。その人が趣味で自宅の庭で薔薇の新種を育成していた。また珍しい薔薇の品種を手に入れると挿し木したりして増やしていた。その時台木に使うのがノイバラなのだ。
 駐車場脇に生えているノイバラの履歴を想像した。おそらく団地の住人がベランダできれいな薔薇を育てていたのだろう。大きくなり過ぎたのか転居にあたってか、ここに移殖したのだろう。
 植木屋で売られているきれいな薔薇は、普通ノイバラの台木に接ぎ木したものを売っている。ノイバラは丈夫なのだ。ただ、接ぎ木した薔薇が弱ったときなど、台木のノイバラが強くなって脇芽を出すことがある。脇芽を摘めば良いのだが、そのままにしておくとノイバラが取って代わってしまう。きれいな薔薇の鉢植えがいつの間にかノイバラの鉢植えに変わってしまう。
 おそらくこのノイバラの大きな株もそのような履歴でここに生えているのではないだろうか。
 私は薔薇の育種などという優雅な趣味はないが、少し小品盆栽をやっている。薔薇を小品盆栽にするのはノイバラが最適なのだ。挿し木をしてもいいのだが、とりあえず取り木をしようと伸長している若枝を地面に触れるように曲げ、その上に石を置いてきた。うまくすれば夏の終わりころには地面に接した部分から根が出ているかもしれない。それを切り取ってきて鉢に上げるのだ。これを持ち込むという。もっとも持ち込んで形になるのは10年かかるかもしれない。私は生きていないだろうが。