音楽

片山杜秀『革命と戦争のクラシック音楽史』を読む

片山杜秀『革命と戦争のクラシック音楽史』(NHK出版新書)を読む。2019年4月~6月、朝日カルチャーセンターで行われた講座「クラシック音楽で戦争を読み解く」の内容を再構成したもの、とある。ところどころ講義中を思わせる言葉遣いが残されているのは、片…

岡田暁生『音楽と出会う』を読む

岡田暁生『音楽と出会う』(世界思想社)を読む。第1章「音楽は所有できるのか?」を読み始めて、この読書は失敗だったと思ったが、章の終りに「My songがOur songになるとき」という小見出しがあって、伝説的な《ケルン・コンサート》のレコードの大ヒット…

伊熊よし子『35人の演奏家が語るクラシックの極意』を読む

伊熊よし子『35人の演奏家が語るクラシックの極意』(学研プラス)を読む。クリスティアン・ツィメルマン、チョン・キョンファ、ダニエル・バレンボイム、アンネ=ゾフィー・ムター、アファナシエフ、ギドン・クレーメル、サイモン・ラトルなど錚々たる名手…

近藤譲『ものがたり西洋音楽史』を読む

近藤譲『ものがたり西洋音楽史』(岩波ジュニア新書)を読む。優れた西洋音楽通史であって、ジュニアだけに読ませるのはもったいない。近藤は現代音楽の作曲家であり、実にていねいに各時代の音楽を語ってくれる。 とても興味深く読んだと言いたいところだが…

片山杜秀+山崎浩太郎『平成音楽史』を読む

片山杜秀+山崎浩太郎『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)を読む。聞き手が田中美登里となっていて、これは衛星デジタル音楽放送「ミュージックバード」の121チャンネル、「ザ・クラシック」で2018年8月19日に放送された4時間番組を本に起こしたものな…

『バルトーク音楽論選』を読む

ベーラ・バルトーク『バルトーク音楽論選』(ちくま学芸文庫)を読む。ハンガリーの作曲家バルトークの音楽論をちくま学芸文庫オリジナルで編集したもの。バルトークといえば民俗音楽を収集し、それを自分の作曲の糧にもした作曲家だ。最初の章でどのように…

片山杜秀『鬼子の歌』を読む

片山杜秀『鬼子の歌』(講談社)を読む。副題が「偏愛音楽的日本近現代史」というもの。雑誌『群像』に2年半ほど連載していた日本のクラシック音楽の作曲家たちの代表曲の紹介と解説。片山は日本政治思想史の専門家だから、読み応えのある見事な評論集になっ…

片山杜秀『音楽放浪記 日本之巻』を読む

片山杜秀『音楽放浪記 日本之巻』(ちくま文庫)を読む。先日読んだ『音楽放浪記 日世界巻』の姉妹編だ。本書の元はやはり月刊誌『レコード芸術』2000年から2008年にかけて連載した「傑作!? 問題作!?」で、それをアルテスパブリッシングという出版社が『音盤…

片山杜秀『音楽放浪記 世界之巻』の参考音盤ガイドが興味深い

片山杜秀『音楽放浪記 世界之巻』(ちくま文庫)の巻末の参考音盤ガイドがとても濃い~内容で興味深い。その一部を紹介する。 6.さようなら、クライスラー「オール・アメリカン・ショーケース」 マントヴァーニ・オーケストラ〔輸・Vocalion〕 クライスラ…

片山杜秀『音楽放浪記 世界之巻』を読む

片山杜秀『音楽放浪記 世界之巻』(ちくま文庫)を読む。本書の元は月刊誌『レコード芸術』2000年から2008年にかけて連載した「傑作!? 問題作!?」で、それをアルテスパブリッシングという出版社が『音盤考現学』と『音盤博物誌』という2冊の本に単行本化した…

片山杜秀『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』を読む

片山杜秀『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』(文春新書)を読む。これが素晴らしい。片山は近代日本政治思想史の専門家、でありながら音楽評論家としても一流で、音楽に関する著書で吉田秀和賞を受賞している。私も何冊も片山の政治史の本をここで紹…

青柳いづみこ『ピアニストたちの祝祭』を読む

青柳いづみこ『ピアニストたちの祝祭』(中公文庫)を読む。これは2014年に出版された単行本の文庫化。単行本を読んだときにブログに紹介したが、今回手抜きしてそれを再録する。 青柳いづみこ『ピアニストたちの祝祭』(中公文庫)を読む。自身もピアニスト…

亀山郁夫『ショスタコーヴィチ』を読む

亀山郁夫『ショスタコーヴィチ』(岩波書店)を読む。ソ連で最も著名な作曲家ショスタコーヴィチ。大きな栄誉とともに権力に媚びたとして激しい批判にもさらされてきた。国家的褒賞を13回も受けながら、スターリンの批判に心身とも深く傷ついてきた。亀井は…

ロレイン・ゴードン、バリー・シンガー共著『ジャズ・レディ・イン・ニューヨーク』を読む

ロレイン・ゴードン、バリー・シンガー共著『ジャズ・レディ・イン・ニューヨーク』(DUブックス)を読む。副題が「ブルーノートのファースト・レディからヴィレッジ・ヴァンガードの女主人へ」とある。ロレインがその女主人で自分の半生を語り、シンガーが…

クルト・ヴァイルの歌曲

読売新聞に鈴木幸一による田代櫂『クルト・ヴァイル』(春秋社)の書評が載っている(1月28日)。 ドイツの作曲家クルト・ヴァイル(1900年〜50年)といっても、音楽通ですら、ブレヒトとつくった「三文オペラ」や、米国に亡命後の「セプテンバー・ソング」…

岡田暁生『クラシック音楽とは何か』を読む

岡田暁生『クラシック音楽とは何か』(小学館)を読む。さすが岡田暁生だ、とても分かりやすいクラシック音楽の入門書だ。クラシック音楽は3つの時代に分けられると書く。18世紀前半までのバロック、18世紀後半からのウィーン古典派、19世紀のロマン派、こ…

メジューエワ『ピアノの名曲』を読む

イリーナ・メジューエワ『ピアノの名曲』(講談社現代新書)を読む。副題が「聴きどころ 弾きどころ」で、まさにこのような内容。著者のメジューエワはロシアのゴーリキー生まれ。5歳よりピアノを始めモスクワの音楽大学で学んだあと、オランダロッテルダム…

片山杜秀『クラシックの核心』を読む

片山杜秀『クラシックの核心』(河出書房新社)を読む。バッハ、モーツァルト、ショパン、ワーグナー、マーラー、フルトヴェングラー、カラヤン、カルロス・クライバー、グレン・グールドの9人の音楽家を取り上げている。雑誌『文藝別冊』の特集に掲載したも…

柴田克彦『山本直純と小澤征爾』を読む

柴田克彦『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)を読む。帯の惹句に「埋もれた天才と世界の巨匠」とある。さらに「日本のクラシック音楽の基礎を築いた二人の波乱万丈な人生」と。小澤征爾の言葉として、「僕はいつも彼の陰にいました。でも対抗心なんてまった…

浦久俊彦『138億年の音楽史』を読む

浦久俊彦『138億年の音楽史』(講談社現代新書)を読む。タイトル通りの奇妙な本。ビッグバンから138億年が経っていることからこの題名がある。ビッグバン直後にも音はあっただろうから、音楽の物語は宇宙の誕生までさかのぼれるのではないか。そんなところ…

柴田南雄生誕100年記念演奏会を聴く

サントリーホールで柴田南雄生誕100年・没後20年記念演奏会があった(11月7日)。「山田和樹が次世代につなぐ〜ゆく河の流れは絶えずして〜」と題されたもの。どうせ現代音楽だから前売り券など買わなくても当日券がたくさん余っているだろうと開演1時間前に…

青柳いづみこ『ショパン・コンクール』を読む

青柳いづみこ『ショパン・コンクール』(中公新書)を読む。とても楽しい有益な読書だった。ピアニストで文筆家の青柳いづみこが2015年のショパン・コンクールのことを書いている。それも実況中継を聞いているような面白さだ。 青柳はリサイタルも行うプロの…

ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストは語る』を読む

ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストは語る』(講談社現代新書)を読む。アファナシエフはロシア(旧ソ連)出身のピアニスト、1968年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し、のちにベルギーに亡命した。数年前にも『ピアニストのノート』(講談…

中島みゆきの「歌姫」

中島みゆきの「歌姫」が好きで何度も聴いている。『寒水魚』というアルバムの中の1曲だ。その歌詞の一節「握りこぶしの中に/あるように見せた夢を/もう2年もう10年/忘れ捨てるまで/スカートの裾を/歌姫 潮風になげて/歌姫 夢も悲しみも欲望も/歌い流…

『マーラーを語る』が面白かった

ヴォルフガング・シャウフラー 編『マーラーを語る』(音楽之友社)が期待以上に面白かった。副題が「名指揮者29人へのインタビュー」で、この副題が本書を十全に語っている。指揮者はアルファベット順に並んでいる。アバド、バレンボイム、ブーレーズ、ハイ…

片山杜秀『クラシックの核心』を読む

片山杜秀『クラシックの核心』(河出書房新社)を読む。バッハ、モーツァルト、ショパン、ワーグナー、マーラー、フルトヴェングラー、カラヤン、カルロス・クライバー、グレン・グールドの9人の音楽家を取り上げている。雑誌『文藝別冊』の特集に掲載したも…

岡田暁生『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?』を読む

岡田暁生『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?』(人文書院)を読む。副題が「音楽史における第1次世界大戦の前後」という。岡田は『オペラの運命』『音楽の聴き方』『西洋音楽史』『オペラの終焉』などクラシック音楽に関する優れた評論を書いている。…

菊地成孔『ユングのサウンドトラック』を読む

菊地成孔『ユングのサウンドトラック』(河出文庫)を読む。副題が「菊地成孔の映画と映画音楽の本」となっており、さらに〈ディレクターズ・カット版〉と謳っている。以前刊行された単行本を大幅に改訂したので、そう謳ったらしい。 菊地はジャズを主体とし…

サーリアホのオペラ『遙かなる愛』を聴いて

去る5月に東京オペラシティの「コンポージアム2015」で現代フィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホのオペラ『遙かなる愛』が上演された。演奏会形式で、バリトン、ソプラノ、メゾソプラノの3人の歌手と合唱団、東京交響楽団と指揮がエルネスト・マルティ…

ツィンマーマンの「レクイエム」が素晴らしかった

今年のサントリー芸術財団「サマーフェスティバル2015」ではツィンマーマンの「ある若き詩人のためのレクイエム」を聴いた。日本初演、素晴らしかった。現代音楽のコンサートではときどきこのような大当たりに出会うことがある。 「ある若き詩人のためのレク…