音楽

青柳いづみこ『ショパン・コンクール』を読む

青柳いづみこ『ショパン・コンクール』(中公新書)を読む。とても楽しい有益な読書だった。ピアニストで文筆家の青柳いづみこが2015年のショパン・コンクールのことを書いている。それも実況中継を聞いているような面白さだ。 青柳はリサイタルも行うプロの…

ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストは語る』を読む

ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストは語る』(講談社現代新書)を読む。アファナシエフはロシア(旧ソ連)出身のピアニスト、1968年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し、のちにベルギーに亡命した。数年前にも『ピアニストのノート』(講談…

中島みゆきの「歌姫」

中島みゆきの「歌姫」が好きで何度も聴いている。『寒水魚』というアルバムの中の1曲だ。その歌詞の一節「握りこぶしの中に/あるように見せた夢を/もう2年もう10年/忘れ捨てるまで/スカートの裾を/歌姫 潮風になげて/歌姫 夢も悲しみも欲望も/歌い流…

『マーラーを語る』が面白かった

ヴォルフガング・シャウフラー 編『マーラーを語る』(音楽之友社)が期待以上に面白かった。副題が「名指揮者29人へのインタビュー」で、この副題が本書を十全に語っている。指揮者はアルファベット順に並んでいる。アバド、バレンボイム、ブーレーズ、ハイ…

片山杜秀『クラシックの核心』を読む

片山杜秀『クラシックの核心』(河出書房新社)を読む。バッハ、モーツァルト、ショパン、ワーグナー、マーラー、フルトヴェングラー、カラヤン、カルロス・クライバー、グレン・グールドの9人の音楽家を取り上げている。雑誌『文藝別冊』の特集に掲載したも…

岡田暁生『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?』を読む

岡田暁生『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?』(人文書院)を読む。副題が「音楽史における第1次世界大戦の前後」という。岡田は『オペラの運命』『音楽の聴き方』『西洋音楽史』『オペラの終焉』などクラシック音楽に関する優れた評論を書いている。…

菊地成孔『ユングのサウンドトラック』を読む

菊地成孔『ユングのサウンドトラック』(河出文庫)を読む。副題が「菊地成孔の映画と映画音楽の本」となっており、さらに〈ディレクターズ・カット版〉と謳っている。以前刊行された単行本を大幅に改訂したので、そう謳ったらしい。 菊地はジャズを主体とし…

サーリアホのオペラ『遙かなる愛』を聴いて

去る5月に東京オペラシティの「コンポージアム2015」で現代フィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホのオペラ『遙かなる愛』が上演された。演奏会形式で、バリトン、ソプラノ、メゾソプラノの3人の歌手と合唱団、東京交響楽団と指揮がエルネスト・マルティ…

ツィンマーマンの「レクイエム」が素晴らしかった

今年のサントリー芸術財団「サマーフェスティバル2015」ではツィンマーマンの「ある若き詩人のためのレクイエム」を聴いた。日本初演、素晴らしかった。現代音楽のコンサートではときどきこのような大当たりに出会うことがある。 「ある若き詩人のためのレク…

『友川カズキ独白録』を読む

『友川カズキ独白録』(白水社)を読む。歌手の友川カズキが編集者の佐々木康陽相手にしゃべったものをまとめたもの。これがすごくおもしろかった。友川について、巻末の紹介に「歌手のほか、詩人、競輪愛好家、酒豪としても知られる」とある。 私は共感とか…

『服は何故音楽を必要とするのか?』という不思議な本を読む

菊地成孔『服は何故音楽を必要とするのか?』(河出文庫)を読む。とても不思議な本で、パリ、ミラノ、東京で行われるファッション・ショーで使われる音楽と、そのメゾンの服との関係を考察するというもの。菊地ははこの音楽のことを「ウォーキング・ミュー…

村上春樹 編・訳『セロニアス・モンクのいた風景』を読む

村上春樹 編・訳『セロニアス・モンクのいた風景』(新潮社)を読む。ジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクに関するアメリカの雑誌や単行本からの抜粋12編を編集したもの。それに村上春樹のモンクに関するエッセイと「私的レコード案内」を載せている。12…

青柳いづみこ『ピアニストたちの祝祭』を読む

青柳いづみこ『ピアニストたちの祝祭』(集英社インターナショナル)を読む。自身もピアニストであり、文筆家でもある青柳のピアニスト論は読んでいつも楽しく、しかも教えられることが多い。本書は主に雑誌『すばる』に書いたエッセイをまとめたもので、音…

青澤隆明『現代のピアニスト30』を読む

青澤隆明『現代のピアニスト30』(ちくま新書)を読む。1987年生まれのユジャ・ワンから1925年生まれのアルド・チッコリーニまで、現代活躍する30人のピアニストを取り上げている。日本人ピアニストとしては内田光子と清水和音の2人。 出版されてすぐ購入し…

『リヒテルは語る』を読む

ユーリー・ボリソフ/宮澤淳一 訳『リヒテルは語る』(ちくま学芸文庫)を読む。スヴャトスラフ・リヒテルはロシアのピアニスト。リヒテルとの対話をボリソフが記録したもの。ほとんどテープに録音したかのような自然な会話だが、すべて後日ボリソフが書き留…

青柳いづみこ『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』がすばらしい!

青柳いづみこ『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』(白水社)がすばらしい。アンリ・バルダ? 聞いたことのないピアニストだ、大昔のピアニストか? と思ったが、本の表紙に写っているピアニストの写真は古いものには見えない。読んでいくと分かるのだが、19…

佐村河内守のネットの評価

ここ何日か本ブログへのアクセス数が増えていた。どうしたのかとアクセス解析を見たら、ほとんど2007年5月14日のページに集中している。この日は亡くなった武満徹に対する吉松隆の批判を引用していた。 なんで今これが話題になっているのか。改めて読んでみ…

吉田秀和を読む楽しみ

吉田秀和『名曲のたのしみ、吉田秀和 第1巻』(学研)を読む。副題が「ピアニストききくらべ」、これはNHKFMで42年近く続いた放送から、吉田による語りの部分をほぼそのまま活字に起こしたもの。主に、毎月月末に放送していた「私の試聴室」から選んでいる…

「作曲家の個展 2013」権代敦彦を聴く

サントリーホールで「作曲家の個展 2013」権代敦彦を聴いた(10月11日)。権代は1965年生まれ、12歳の頃聴いたメシアンの音楽に惹かれ、作曲を志す。メシアンの音楽を通じ、カトリックへの関心が深まり、洗礼を受け、教会オルガニストも努める。 サントリー…

ガリーナ・ヴィシネフスカヤのヴォカリーズ

朝日歌壇にガリーナ・ヴィシネフスカヤのヴォカリーズの歌が載っていた(2013年6月24日)。作者は八尾市の水野一也氏。 金色の蜂蜜のような母音にてヴィシネフスカヤの歌うヴォカリーズ それがYOU TUBEにもアップされていた。 ラフマニノフ「ヴォカリーズ」…

青柳いづみこ『我が偏愛のピアニスト』を読む

青柳いづみこ『我が偏愛のピアニスト』(中央公論新社)を読む。青柳は現役のピアニストにして文筆家、ピアニストをはじめとする音楽に関する著作が多い。恩師を描いた『翼のはえた指 評伝安川加壽子』では吉田秀和賞を受賞し、仏文学者の祖父を描いた『青柳…

伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないのか?』がおもしろい

伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないのか?』(NHKブックス)がおもしろい。変なタイトルだが、副題は「音楽と心の進化誌」。伊東は作曲家、指揮者で東京大学作曲指揮研究室准教授でもある。猫や犬は鏡を見てそれが自分だと認識することができない、それがタイトルの…

アファナシエフの『ピアニストのノート』を読む

アファナシエフの『ピアニストのノート』(講談社選書メチエ)を読む。アファナシエフはカバーの紹介によれば、「クラシック界の世界的鬼才ピアニスト」。さらに「音楽とは何か? 音楽を演奏するとはどういうことか? 沈黙と時間は音楽とどのような関係を結…

片山杜秀『クラシック迷宮図書館』を読む

片山杜秀『クラシック迷宮図書館』(アルテスパブリッシング)を読む。本書は、雑誌『レコード芸術』に連載した「この本を読め!」をまとめて単行本にしたもの。音楽書の時評という類書のない企画だ。74冊が紹介されている。時評という性格のため、種々雑多…

吉田秀和『永遠の故郷−薄明』を読んで

吉田秀和『永遠の故郷−薄明』(集英社)を読んだ。これは『永遠の故郷』シリーズの2冊目、この「薄明」のほかに「夜」「真昼」「夕映」がある。『永遠の故郷』は吉田秀和が生涯で印象に残った歌曲97曲を取り上げ、原詩と吉田による訳詩、楽譜の一部を織り込…

グレン・グールドは局所性ジストニアだったのか?

青柳いづみこ『グレン・グールド』(筑摩書房)に、グールドが局所性ジストニアだったかも知れないとの記述が出てくる。 もっとも、グールドの右手の動きが左手より劣っていたかというとそんなことはない。各指は完全に分離・独立しており、中指、薬指、小指…

青柳いづみこの『グレン・グールド』がすばらしい

青柳いづみこの評伝『グレン・グールド』(筑摩書房)がすばらしい。著者がしばしばリサイタルを開いている現役のピアニストであることから、ピアノの演奏技術についても詳しく分析している。しかしそればかりではなく、たくさんのコンサートの記録−録音や映…

中川右介『グレン・グールド』を読む

中川右介『グレン・グールド』(朝日新書)を読む。24歳で最初のバッハの『ゴルドベルク変奏曲』を録音し、独特の演奏が高い評価を集め一躍有名になった。本書副題に「孤高のピアニスト」とあるように、人気の高いピアニストだったにも関わらず、32歳で突然…

『東京大学のアルバート・アイラー』を読む

菊地成孔+大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』(文春文庫)を読む。副題が「東大ジャズ講義録・歴史編」とあり、2巻本の上巻で、下巻が「東大ジャズ講義録・キーワード編」となる。これが途方もなくおもしろかった。本書は2005年5月にメディア綜…

ギャラリーQの茂呂剛伸個展の太鼓

東京銀座1丁目のギャラリーQで茂呂剛伸個展が開かれている(7月14日まで)。茂呂の展示しているのが彼が作った太鼓だ。茂呂は1978年北海道江別市生まれ。幼少より和太鼓奏者として世界各地を回ったという。一時期アフリカのガーナに渡り、演奏と太鼓制作を…