経済

『人口大逆転』の書評が興味深い!

佐藤義雄が紹介する『人口大逆転』(グッドハート、プラダン著、日本経済新聞出版)の書評が大変興味深い(読売新聞、2022年8月14日)。それは次のように書かれている。 著者はこれまでの約30年間の世界経済のトレンドを分析し、今後の展開を予想する。この…

児玉博『堤清二 罪と業』を読む

児玉博『堤清二 罪と業』(文春文庫)を読む。副題が「最後の告白」。セゾングループの総帥堤清二は2013年に亡くなった。児玉博はその前年2012年に堤に7回に渡ってインタビューを行った。その結果が本書だが、単行本は堤が亡くなった3年後に発行された。 …

田原総一朗+藤井聡『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』を読む

田原総一朗+藤井聡『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』(アスコム)を読む。雑誌『ちくま』に斎藤美奈子が紹介していた(2021年12月号)。しかし、藤井は安倍政権の元内閣官房参与、MMT(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)を信奉している。MMTでは…

小山登美夫『“お金”から見る現代アート』を読む

小山登美夫『“お金”から見る現代アート』(講談社+α文庫)を読む。現代アートの代表的なギャラリスト小山登美夫が現代アートと呼ばれる最近の美術ついて、主に経済的な面から紹介している。「現代アートビジネスの入門書」というのが惹句。もっとも本書の親…

大賀典雄『SONYの旋律』を読む

大賀典雄『SONYの旋律』(日本経済新聞社)を読む。副題が「私の履歴書」、日経新聞の連載に大幅に手を入れて書き直したもの。これがとても面白かった。 なぜテノール歌手の大賀がソニーの経営者になったのか長年の疑問だったが、本書を読んでその謎がよく分…

日本経済新聞社編『私の履歴書 経済人35』を読む

日本経済新聞社編『私の履歴書 経済人35』(日本経済新聞社)を読む。日経に長く連載されている「私の履歴書」から経済人5人を編集している。ロイヤルホストの創業者江頭匡一、ディズニーランドの実質的創立者高橋政知、ウシオ電機の牛尾治朗、近畿日本鉄道…

斎藤幸平『人新生の「資本論」』を読む

斎藤幸平『人新生の「資本論」』(集英社新書)を読む。私が3月に購入した本は20万部突破と帯にうたっていたけれど、最近書店で見たものには39万部となっていた。こんな難しい本がベストセラーじゃん! 「人新生」とは、人類が地球を破壊しつくす時代と、こ…

小島庸平『サラ金の歴史』を読む

小島庸平『サラ金の歴史』(中公新書)を読む。新聞の新刊広告を見ても興味が湧かなかったのに、中央公論社販売部のTwitterにPOPが載っていて俄然読む気になった。 これは新書史に名を残す傑作だ! 読んで後悔はさせません。 僕はサラ金を責められない 本書…

小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている』を読む

小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている』(春秋社)を読む。面白い読書だった。チョンキンマンションのボスことカラマは香港在住のタンザニア人。安ホテルチョンキンマンションの住人で、中古自動車のブローカーなどをしている。香港のタンザ…

冨山和彦『コロナショック・サバイバル』を読む

冨山和彦『コロナショック・サバイバル』(文藝春秋)を読む。副題が「日本経済復興計画」というもの。佐藤優が毎日新聞に書評を書いている(6月6日付)。それを引く。 冨山氏は、新型コロナウイルスがもたらす経済危機は3段階で到来すると予測する。第一波…

佐藤優の書評、冨山和彦著『コロナショック・サバイバル』が興味深い!

佐藤優が冨山和彦著『コロナショック・サバイバル』(文藝春秋)を毎日新聞に紹介している(6月6日)。それがとても興味深い。 冨山氏は、新型コロナウイルスがもたらす経済危機は3段階で到来すると予測する。第1波がローカルクライシスだ。〈出入国制限はも…

猪木武徳『戦後世界経済史』を読む

猪木武徳『戦後世界経済史』(中公新書)を読む。ドナルド・キーンが本には索引が必須と言っていた。索引をみれば、自分に必要な本かどうかが分かるからと。本書の人名索引で「マルクス」を探した。載っていなかった。事項索引には「マルクス主義」が1点だけ…

日経トップリーダー編・構成『なぜ倒産』を読む

日経トップリーダー編集・構成『なぜ倒産』(日経BP社)を読む。副題が「23社の破綻に学ぶ失敗の法則」とあり、表紙に協力として帝国データバンクと東京商工リサーチの名前がある。倒産した中小企業について、帝国データバンクと東京商工リサーチのデータを…

ギャラリイKの葉緑素為吉展を見て、井上智洋『人工知能と経済の未来』を読む

東京京橋のギャラリイKで「葉緑素為吉の質問があります10」が開かれている(2月17日まで)。画廊へ行くと葉緑素さんがお客さんに何やら説明していた。麻袋で作った着ぐるみを着ているのが作家の葉緑素さんだ。壁に描かれた縦棒が今回の作品で、葉緑素さんに…

鈴木貴博『アマゾンのロングテールは、二度笑う』を読んで

鈴木貴博『アマゾンのロングテールは、二度笑う』(講談社)を読む。副題が「50年勝ち残る会社をつくる8つの戦略」というもの。副題のとおり経営戦略の本だ。発行が2006年10月と古い。古い経営戦略の本で、しかも経営とは私に最も遠い世界だ。なぜ読むのか?…

『時間かせぎの資本主義』を読む

ヴォルフガング・シュトレーク/鈴木直・訳『時間かせぎの資本主義』(みすず書房)を読む。最近読んだ本のなかでも極めて興味深い1冊だった。ただかなり難しい内容なので読み終わるのに時間がかかり、よく理解できたとは言いかねる。それでも世の中の仕組み…

伊東光晴『ガルブレイス』を読む

伊東光晴『ガルブレイス』(岩波新書)を読む。副題が「アメリカ資本主義との格闘」。普段ほとんど経済に関する本を読まないのに、読売新聞の書評(2016年4月24日)で政治学者の牧原出が推薦していたので手に取った。その書評から、 『ゆたかな社会』『新し…

原稿料の推測

朝日新聞に益田ミリが「オトナになった女子たちへ」というコラムを連載している。月に2回ほど掲載されるのだろうか。縦4段組み、左右が12センチくらいで自筆のイラストが入っている。先に読んだ中野翠の映画に関するエッセイ同様ゆるい文章だが。益田のこ…

野口悠紀雄『仮想通貨革命』が刺激的だった

野口悠紀雄『仮想通貨革命』(ダイヤモンド社)を読む。これが大変刺激的な本だった。仮想通貨に関する本を読むのはこれが3冊目だったが、もっとも説得力があり、まさに目の鱗が落ちた思いだ。 副題が「ビットコインは始まりにすぎない」というもの。ビット…

『「仮想通貨」の衝撃』がまあまあ面白かった

エドワード・カストロノヴァ『「仮想通貨」の衝撃』(角川EPUB選書)がまあまあ面白かった。仮想通貨といえば、しばらく前にネットを通じて莫大な資産が盗み取られたビットコインの事件を思い出す。ビットコインの位置づけを知りたくて本書を読み始めた。 本…

西部忠『貨幣という謎』という優れた書

西部忠『貨幣という謎』(NHK出版新書)を読む。副題が「金(きん)と日銀券とビットコイン」というもの。優れた貨幣論だ。 毎日新聞の書評で松原隆一郎が紹介していた(2014年6月29日)。 (前略)貨幣とはみながそれを貨幣だと思うから貨幣なのだという貨…

「デフレの正体」がすばらしい

藻谷浩介「デフレの正体」(角川oneテーマ21)を読んだ。とても面白くて、売れている理由がよく分かった。一番の欠点は題名で、何やら難しそうで損をしているだろう。私も買ってから読むまで3カ月も放置していた。副題が「経済は「人口の波」で動く」という…

伊東光晴によるポール・クルーグマン著「格差はつくられた」の書評

毎日新聞2008年9月7日の書評欄に、伊東光晴によるポール・クルーグマン著「格差はつくられた」(早川書房)の書評が載っている。そのほぼ全文。 "ゆたかな国ーーアメリカ" のイメージは、21世紀に入って大きく変った。エーレンライクの「ニッケル・アンド・…

中小企業の事業の承継について

やとわれ社長とはオーナー社長ではないことだ。オーナーは株主だ。やとわれ社長は株主から経営を委託されている。普通やとわれ社長は中小企業の社長のイメージだ。それは間違っていると独立行政法人中小企業基盤整備機構(虎の門)は言う。 上場していない中…