中小企業の事業の承継について

 やとわれ社長とはオーナー社長ではないことだ。オーナーは株主だ。やとわれ社長は株主から経営を委託されている。普通やとわれ社長は中小企業の社長のイメージだ。それは間違っていると独立行政法人中小企業基盤整備機構虎の門)は言う。
 上場していない中小企業が銀行から金を借りるとき、銀行は経営者個人に連帯保証を求めるのが普通だ。倒産すれば経営者は全財産を失うばかりか、自己破産に陥ることになる。中小企業の経営者は大きなリスクを抱えている。ところが株主=オーナーはこのリスクを免れている。それは不当なことだと中小企業基盤整備機構は考えた。そして昨年「中小企業の事業の承継についてのガイドライン」を発表した。
 中小企業のオーナー経営者が年をとって、事業の承継を考えたとき3つの選択肢がある。子供等親族に譲る、M&Aで売却する、社員に譲る。この社員に譲る場合がいろいろ難しい。ガイドラインでは、まず取引先・銀行・社員の同意を得ること、会社の負債は前経営者が完済しておくこと、株の2/3は新しい経営者に譲ること、具体的には新しい経営者に買い取ってもらうのだが、その資金は新しい経営者の報酬に組み込むこと、とある。いずれも妥当だ。
 こうすれば前経営者は株の売却益を得ることができるし、新しい経営者はリスクに見合う資産(株式)を入手できる。さすがは中小企業基盤整備機構の提言だ。
 ちなみに倒産して経営者個人が銀行から取り立てをくらった場合、銀行は債権の回収をプロミスなどサラ金の子会社の債権回収会社に任せるという。債権回収のプロは容赦しないだろう。