魚と食材、ルビンの壺

mmpolo2007-12-01




 友だちが釣りを始めた。彼女は渓流釣りで、ヤマメやイワナを狙っている。初心者なので釣り上げた時に腹を割いて内蔵を取り出すのが苦手だという。それを家に持ち帰り台所で水道水に漬けるともう平気になる。魚が食材に変わるから。
 同じことを私も感じたことがある。娘から父さんてコオロギを食べるよねと言われたことがあり、違う、食べるのはイナゴだと答えたが、佃煮のイナゴしか知らない娘はコオロギもイナゴも区別が付かないのだろう。この時、イナゴは食材だけどコオロギは虫じゃないかと思ったのだ。
 分類上、動物、植物、魚、虫などの自然分類があるが、それらと全く別に食材という分野が平行して存在するのだ。しかし、重なることがある。イナゴは食材だが、ある時虫になる。重なるとはそういう意味だ。しかしルビンの壺のように、同時に見えることはない。虫であって食材であることはないのだ。
(写真はルビンの壺)