壺に入れば抱くのは私

 朝日新聞の連載に「恋する大人の短歌教室」というコラムがある。読者が投稿した短歌を石井辰彦さんが添削するという趣旨。11月2日に東京のあべまりあさんの作品が掲載されていた。ここに掲載するのは添削されたあとのもの。

女好き 女も惚れた夫だが壺に入れば抱くのは私

 え、これはどんな情景だろうと、最初よく分からなかった。解説を読んで壺が骨壺だと分かった。なあんだ、だって勝目梓さんみたいにエロ作家とか官能作家と言われている人たちが書いているじゃないですか。ほら秘壺とか何とか。え、意味? 知りませんよ、そんなこと。
 そういえば、銅版画家の駒井哲郎だったか詩人の黒田三郎だったかが亡くなった時も、夫人が骨壺を抱いて「あなたはもう私だけのもの」と言って号泣したという。