椎根和『銀座Hanako物語』を読む

 椎根和『銀座Hanako物語』(紀伊國屋書店)を読む。雑誌『Hanako」は1988年に女性向け週刊誌としてマガジンハウスから創刊された。ちょうどバブル経済の真っただ中で、翌年には誌名そのものが,新語・流行語大賞の新語部門銀賞を受賞した。選考理由は、「ハナコ族」なる経済力を持ち、結婚も仕事もレジャーも徹底して楽しむ新しい女性群を創出し、いわゆるHanako現象を生み出したというものだった。

 雑誌は成功し、創刊5年後の決算で経常利益92億円と報告された。著者椎根はその創刊時から5年余の期間編集長を務めた。本書は『週刊読書人』に2011年から2年間にわたって連載したものをまとめている。

 さて、私は『Hanako』とは最も縁遠いところにいた。『Hanako』は若い女性向けのオシャレやレジャーなどを特集して成功した雑誌だった。ただ私も広告会社に在籍していたこともあって、創刊号などは買っていたと思う。連載漫画があって、高野文子吉田秋生しりあがり寿江口寿史の4人が、毎週1人ずつ交代で描いていた。私は吉田秋生の漫画「ハナコ月記」が気に入って、それが載った週の『Hanako』だけは買っていた。ただ買っても吉田秋生以外興味がなかったので、会社の女性デザイナーにあげていた。

 今回本書を読んで、『Hanako』が流行を作り上げ、社会現象にまでなったことを知った。記事の影響で銀座のミキモトに客が押し寄せたり、ボージョレヌーボーを日本に紹介したり、シャネルを流行させたり(シャネルの社長が帝国ホテルのショーの時、椎根に土下座した)、ティラミスを流行らせたりした。

 そんな実績があるから、椎根の回顧談はどうしても自画自賛になってしまう。5年間以上の編集長の仕事ではもう少し事件や衝突があったのではないか。だらだらと成功談ばかり聞かされて胸やけがしてしまったほどだ。まあ、この世界に興味がある人には面白いのかもしれないが。