読書

今年特に良かった本29冊

今年は134冊の本を読んだ。その内特に良かったものは下記の通り29冊だった(読書順)。 司馬遼太郎『歴史と風土』(文春文庫) 及川琢英『関東軍』(中公新書) 大木毅『独ソ戦』(岩波新書) 戸矢学『諏訪の神』(河出文庫) 関川夏央『砂のように眠る』(…

大内兵衛・茅誠司 他『私の読書法』を読む

大内兵衛・茅誠司 他『私の読書法』(岩波新書)を読む。岩波書店の雑誌『図書』の昭和31年から35年にかけて20人の学者や作家などに執筆してもらったものをまとめたもの。具体的には、清水幾太郎、杉浦民平、加藤周一、蔵原惟人、茅誠司、大内兵衛、梅棹忠夫…

今年の読書から

今年は125冊の本を読んだ。そのうち特に優れていると思ったのは21冊だった。それらを紹介する(読書順)。 ・海老坂武『戦後文学は生きている』(講談社現代新書) https://mmpolo.hatenadiary.com/entry/2024/02/03/215712 ・井上ひさし『芝居の面白さ、教…

朝日新聞書評委員19人が選ぶ「今年の3点」

年末恒例の朝日新聞「書評委員19人が選ぶ今年の3点」が発表された(12月28日付け)。その中から気になったものを紹介する。 福嶋亮太推薦 岡崎乾二郎『而今而後 批評のあとさき』(亜紀書房) 本書はモダニズムという「妖怪」を探求してきた美術家の評論集…

読売新聞「読書委員が選ぶ2024年の3冊」

年末恒例の読売新聞「読書委員が選ぶ2024年の3冊」が発表された(12月22日付け)。その中から気になったものを紹介する。 小泉悠推薦 成田雅文『日ソ戦争』(中公新書) 今年の3冊にはまず本書を挙げたい。短いが悲惨な戦争の様相を、新史料を駆使して見事…

今年1年間の読書を振り返って

今年1年間で読んだ本は125冊と少な目だった。とても良かったと思った本が22冊、こりゃ駄目だと思ったのが4冊。駄目な本が4冊と少ないのは、元々良さそうな本を選んで読んでいるからだ。それらを読んだ順に挙げてみる。 まずとても良かった本を、 『この国…

読売新聞年末恒例の“書評委員が選ぶ「2022年の3冊」”から

読売新聞年末恒例の“書評委員が選ぶ「2022年の3冊」”が掲載されている(12月25日付け)。書評委員20人が今年出合った「これぞと思う3冊」を挙げている。その中から気になったものを拾ってみる。 *春暮康一『法治の獣』(ハヤカワ文庫) 小川哲・選 本書は…

朝日新聞恒例『書評委員が選ぶ「今年の3点」』から

年末恒例の朝日新聞書評委員が選ぶ「今年の3点」から、気になったものを拾った。 毎日新聞の今年の「この3点」でも2人の書評委員が選んでいた『地図と拳』、朝日新聞でも2人が選んでいる。 *小川哲『地図と拳』(集英社) 澤田瞳子・選 歴史上、十数年だ…

毎日新聞恒例:今年の「この3冊」より

毎日新聞年末恒例の今年の「この3冊」が発表された。書評委員が年間で最も良かったと挙げた3冊だ。その内私が印象に残ったものを拾ってみた。 *鷲見洋一『編集者ディドロ:仲間と歩く「百科全書」の森』(平凡社) 本書は3人が選んでいる。 辻原登・選 …

中村葉子と長谷川龍生の詩、そして図書館の利用法

中村葉子の詩集『夜、ながい電車に乗って』(ポプラ社)を読んだ。その中に「口ずさむ」という詩がある。その全文を引く。 口ずさむ わたしには「口ずさむ詩」がある。 いつも生活の中心に詩があった。 電車に乗ってどこかへ行く途中の、眠たい朝に。 昼下が…

2019年に読んだ本から

2019年は126冊の本を読んでいる。その中から特に良かったものを挙げてみる。順不同、思いつくままに並べていて、決して良い順というわけではない。小説は2冊だけで、どちらもスタニスワフ・レムのSFだ。美術史が3冊。音楽論が5冊だが、その内4冊が片山杜秀だ…

東大出版会の雑誌『UP』について

私は新刊情報を知るために、土曜日の朝日新聞の書評欄、日曜日の毎日新聞と読売新聞の書評欄を毎週、もう40年近く愛読している。それよりもっと古くから定期購読している雑誌が各出版社が発行しているPR誌で、現在『図書』(岩波書店)、『波』(新潮社)、…

繰り返し読んだ本

熊谷に住む岳父を訪問した。土産代わりに野長瀬正夫の詩集『夕日の老人ブルース』(かど創房)を持参した。帰宅してしばらくしたら岳父より電話があり、本のお礼と著者について尋ねられた。詩集はおもしろくすぐ読んでしまったとのこと。 野長瀬は十津川出身…

読売新聞書評委員の2018年の3冊

読売新聞も年末恒例の書評委員による「2018年の3冊」を発表した(12月23日)。21人が3冊ずつ、計63冊を挙げている。そのうち私が気になったものを。 苅部直(推薦) 佐々木雄一著『陸奥宗光――「日本外交の祖」の生涯』(中公新書、900円) すぐれた評伝であ…

朝日新聞書評委員が選ぶ「今年の3点」から

朝日新聞も年末書評欄で恒例の「書評委員が選ぶ今年の3点」を特集している(12月29日)。書評委員がそれぞれ2018年のベスト3冊を推薦している。その中から私も興味を持った思った本を選んでみた。 椹木野衣(推薦) 『時のかたち 事物の歴史をめぐって』(ジ…

毎日新聞「2018この3冊」から

毎日新聞が年末書評欄で恒例の「2018この3冊」を2回にわたって特集した(12月9日、12月16日)。書評委員がそれぞれ2018年のベスト3冊を推薦している。その中から私も興味を持った思った本を選んでみた。 山崎正和(推薦) 『エドゥアール・マネ 西洋絵画史の…

『図書 臨時増刊2018 はじめての新書』を読む

岩波書店のPR誌『図書 臨時増刊2018 はじめての新書』を読む。岩波新書創刊80年記念とある。最初に著名人15人が「はじめての新書」と題して、見開き2ページのエッセイを書いている。伊東光春、國分功一郎、丹羽宇一郎、池上彰、高橋源一郎、田中優子などだが…

井上理津子『すごい古書店 変な図書館』を読む

井上理津子『すごい古書店 変な図書館』(祥伝社新書)を読む。『日刊ゲンダイ』に連載したもので、東京を中心に85軒の古書店と32館の図書館を、それぞれ見開き2ページで紹介している。著者は『さいごの色街 飛田』を書いた人。 荻窪のささま書店。34坪に4万…

橋爪大三郎『正しい本の読み方』を読む

優れた社会学者である橋爪大三郎の『正しい本の読み方』(講談社現代新書)を読む。8つの章の見出しを拾うと、「なぜ本を読むのか」「どんな本を選べばよいのか」「どのように本を読めばよいのか」「本から何を学べばよいのか」「どのように覚えればよいの…

『淀川さんと横尾さん』を読む

淀川長治・横尾忠則連続対話『淀川さんと横尾さん』(ちくま文庫)を読む。1991年から1993年にかけて3回行われた対談の記録。気が合う二人が言いたいことを言いあっていて楽しく読んだ。 淀川の話。淀川の母が具合が悪くなって、夜中に背中をさすってあげて…

3大紙の書評、その他を読む

毎週日曜日はもう何十年も読売、朝日、毎日の3大紙を購入して書評欄を読んでいる。4月3日の書評では松山巌が推薦する嵐山光三郎著『漂流怪人・きだみのる』(小学館)が良かった(朝日新聞)。きだはファーブルの『昆虫記』10巻を山田吉彦名で訳し、『気違…

読書のメカニズム

本を読んでいるときに電話がかかってきたり、来客があってチャイムが鳴ったりして読書が中断されることがある。用件を済ませて本に戻ったとき、最後に読んだ2行ほどは、確かに読んだ記憶はあるものの、その内容を理解していないことがしばしばある。このこと…

『〈狐〉が選んだ入門書』は有益なガイドブック

山村修『〈狐〉が選んだ入門書』(ちくま新書)を読む。2007年6月初版発行、その月のうちに買っておいたが今回やっと読んだ。何となく入門書の紹介なんて……という気がしていたのか、読まないでいた。間違いだった。とても有益なブックガイドだった。 山村は…

『騎手の一分』という変わった本を読む

藤田伸二『騎手の一分』(講談社現代新書)を読む。タイトルは藤沢周平の時代小説を翻案した映画『武士の一分』から採っているのだろう。副題が「競馬界の真実」。競馬は知らない世界だが、著者はJRA(日本中央競馬会)の花形騎手らしい。歴代8位の通算1,82…

成毛眞『面白い本』を読む

成毛眞『面白い本』(岩波新書)を読む。面白いノンフィクションのガイド本で、約100冊を紹介している。この内私はやっと5冊を読んだにすぎない。だが、この5冊はすべて面白かった。すると、これらの100冊も外れは少ないのではないだろうか。私が読んで面…

専門家の読書量

東大出版会のPR誌「UP」4月号に、立花隆と対談をした小林康夫がそれを要約して報告している。その中から専門の研究者になるための読書量について触れている部分を取り上げる。 立花さんは、大学に入ったときの読書について語りはじめる。 立花 要するに、十…

三橋貴明「ドル崩壊!」をお勧めする!

ドル崩壊!作者: 三橋貴明,渡邉哲也出版社/メーカー: 彩図社発売日: 2008/08/22メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 34回この商品を含むブログ (8件) を見る 三橋貴明「ドル崩壊!」(彩図社)が面白い。いや面白いなんて言っちゃいけない。…

2008年の読書ベスト13

2008年はおよそ150冊の本を読んだ。その中でとても良かったものを選んだら13冊になった。そのベスト13を挙げると次のようになる。小説は3冊が再読だった。日本人作家で気に入ったものがなかった。特に思想関係で軽いものが多かった。 【小説】 *ジョン・ル…

立川談春「赤めだか」が面白かった

立川談春の「赤めだか」(扶桑社)は評判どおり面白かった。談春は中学生のころから競艇選手になりたくて、サングラスをかけ髭を描いて競艇場に入り浸る。しかし高校1年のときに身長が172cmになってしまう。競艇選手は170cm以内でないと書類審査が通らない…

冷泉彰彦「『関係の空気』『場の空気』」が面白かった

横浜逍遙亭で冷泉彰彦「『関係の空気』『場の空気』」(講談社現代新書)が紹介されていた(id:taknakayama:20080716)。 私も読んでみたが大変おもしろかった。まず最近の若い娘たちが男言葉を使うきっかけが1996年のテレビドラマ「ロングバケーション」で…