成毛眞『面白い本』を読む

 成毛眞『面白い本』(岩波新書)を読む。面白いノンフィクションのガイド本で、約100冊を紹介している。この内私はやっと5冊を読んだにすぎない。だが、この5冊はすべて面白かった。すると、これらの100冊も外れは少ないのではないだろうか。私が読んで面白かった5冊は、
*小倉美恵子『オオカミの護符』(新潮社)
小倉美恵子『オオカミの護符』を読む(2012年2月12日)
*キャリー・マリス『マリス博士の奇想天外な人生』(ハヤカワ文庫)
*レニー・ソールズベリー/アリー・スジョ『偽りの来歴』(白水社
西洋近代絵画の贋作を扱った『偽りの来歴』を読む(2013年1月29日)
辺見庸『もの食う人びと』(角川文庫)
米原万里『不実な美女か、貞淑な醜女(ブス)か』(新潮文庫
「不実な美女か 貞淑な醜女(ブス)か」を読んで(2011年6月4日)
 まだ読んでない本で、ここに紹介されて特に面白そうな本。

『はい、泳げません』(高橋秀美著=新潮文庫)は間違いなく大爆笑してしまうので、電車の中で読むと大変なことになる。
 本書は、エンタメ系ノンフィクション界ではイチオシの作家である高橋秀美が、身をもって体験した水泳教室の一部始終が書かれている。

『エロティック・ジャポン』(アニエス・ジアール著=河出書房新社)は、フランス人ジャーナリストが書いた日本のエロティシズムの比較文化論である。外からの視点で客観的に見てはじめてわかることだが、日本人が普通だと思っているエロ文化は、じつは非常にユニークなのだ。

『資本主義対資本主義(改訂新版)』(ミシェル・アルベール著=竹内書店新社)は、テキストとしては有名ではないが、日本で活躍する経済コメンテーターといわれる評論家や学者にとっては、なくてはならない参考書である。数多くの現場を踏んだ経済人ならではの読み物だ。筆者はヨーロッパ投資銀行理事、ヨーロッパ委員会経済構造・開発局長、フランス総合保険グループ会長などを歴任した人物だ。
 本書は、20世紀後半からの資本主義を、アメリカ・イギリスの「ネオアメリカ型資本主義」と、日本を含めたドイツ・スイスの「ライン型資本主義」間の相克として描き出す。
 2つの資本主義の相克は、フランスの保険会社とイギリスの保険会社の違いに始まる。フランスの保険会社は無尽講であり、皆からお金を集めて、たまたま不幸に見舞われた人にそのお金を配るという発想が基本だった。これにたいしてイギリスの保険会社は、海上火災が基本。つまり儲けるための保険会社であって、事故さえなければ大儲けができるという仕組みになっている。ビジネス以前に思想がまったく違うことに気づかされる。
 本書は、この違いに代表される2つの資本主義の対立を予言した。この予言が外れなかったことは、ご存知のとおりだ。評論家の参考書として地位を確立したゆえんである。

 とても参考になるガイドブックだと思うが、最後に苦言を少々。173ページという薄い本に100冊を紹介している。そのため個々の紹介が短くて、本当の魅力が紹介し切れていないように思う。50冊ていどに精選してもっと詳しく書いてほしかった。


面白い本 (岩波新書)

面白い本 (岩波新書)

資本主義対資本主義

資本主義対資本主義

  • 作者: ミシェルアルベール,久水宏之,Michel Albert,小池はるひ
  • 出版社/メーカー: 竹内書店新社
  • 発売日: 2011/10
  • メディア: 単行本
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エロティック・ジャポン

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はい、泳げません (新潮文庫)

はい、泳げません (新潮文庫)