ギャラリイKの内山翔二郎展に圧倒される


 東京京橋のギャラリイKの内山翔二郎展を見る(2月9日まで)。内山は1984年神奈川県生まれ、2008年に日大芸術学部彫刻コースを卒業、2010年同大学大学院芸術研究科博士前期課程彫刻分野修了。2010年にギャラリイKで初個展、2012年にプラザギャラリーで個展をしている。


 作品は鉄で作った巨大な蚊の成虫だ。ギャラリーの空間一杯に脚を広げて居座っている。日本の主な吸血性の蚊は、アカイエカ、チカイエカ、コガタアカイエカヒトスジシマカ、トウゴウヤブカ、オオクロヤブカ、シナハマダラカなどだろう。マラリアを媒介するシナハマダラカは静止するとき尻を高く持ち上げる。内山の蚊はこのハマダラカ以外の蚊で、触角から見ると雄のようだ。


 画廊の片隅には小型の蚊の彫刻と殺虫剤のスプレーを象った作品が置かれている。この小型の蚊も雄のようだ。しかし、こうして大小の蚊の作品を並べて見ると、巨大な蚊の作品は単に大きくなっただけではなく、別の意味を帯びてくる。大きさが別の意味を持ってくるのだ。量の質への転換という弁証法の法則を思い出す。写実的な蚊の立体ではなく、現代美術の作品の範疇に変わってくる。まさに大きさに圧倒されるのだ。
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内山翔二郎展「Summertime Blues」
2013年1月28日(月)ー2月9日(土)
11:30−19:00(土曜−17:00まで、日曜休廊)
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
電話03-3563-4578
http://homepage3.nifty.com/galleryk