ギャラリイKの洞山舞展「鉄に溶ける」を見る

 東京京橋のギャラリイKで洞山舞展「鉄に溶ける」が開かれている(12月15日まで)。本展は毎年恒例の多摩美大学院彫刻専攻生の選抜展だ。つまり多摩美大学院彫刻科一押しの作家が取り上げられている。
 洞山は1992年岐阜県生まれ、2017年に多摩美術大学彫刻学科を首席で卒業している。ことしいりや画廊で初個展。大学では多和圭三に師事し鉄を使った彫刻を制作している。現在同大学大学院博士課程前期課程彫刻専攻に在籍している。


 立方体の作品は御影石の桝型を作り、そこへ鉄の造形物をはめ込んでいる。鉄は小さな塊を溶接して成形し、石の枠にはまるように削っていった。きわめて寡黙な作品だ。重量は100キロを超えているという。


 もう一つの作品は拳より小さな鉄の塊を溶接して枝のように伸ばしていったもの。左右2メートルあるが、立方体の作品より軽いという。洞山の過去の作品をファイルの写真で見せてもらったが、鉄を使いながら割合奔放な形を作っている。その意味では立方体の寡黙な作品の方が洞山としては異色なようだ。
 普段大きな作品を作っているが、ギャラリイKのエレベーターの規制からやや小さめの作品を展示しているという。初個展のいりや画廊は重量や大きさの規制が少ないので作りやすかったのだろう。本来奔放な作風の作家のようだった。
 ただファイルに塊のような作品があったので訊くと、国立台湾芸術大学の企画した展覧会に送った作品とのこと。出品規定の関係で小さなものを作ったという。それは今回の立方体の作品とも共通して内向している印象を受けた。すると洞山は奔放な作風にも内向した寡黙な作風にも優れた資質を持っているのではないか。
 さすが多摩美大学院彫刻科一押しの作家だと思った。師の多和圭三から強い影響を受けているようだ。千里の馬は常にあれども伯楽は常には在らじの諺を思い出す。
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洞山舞展「鉄に溶ける」
2018年12月3日(月)−12月15日(土)
11:30−19:00(土曜日17:00まで)日曜休廊
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
電話03-3563-4578
http://galleryk.la.coocan.jp/